「頑固な羊の動かし方」(ケヴィン・レーマン)
「1人でも部下を持ったら読む本」というサブタイトルだけなら違和感がないが、タイトルが「頑固な羊の動かし方」(ケヴィン・レーマン著 草思社刊)。
部下を羊に例えて、どうしたら手なづけられるかを説いた本かと思うと、人間的ではないなあと、ためらいもあったが、とても参考になった。
管理職だから読むのではない。学級担任でもぜひ読んでみるとよい。
学級担任にはトップリーダーとなるべき心かまえとそれなりのスキルが必要だからだ。
逆に向山洋一氏の「授業の腕を上げる法則」がビジネスリーダーにも読まれたのも、同じ理屈だ。
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「究極のリーダーシップとは、ただ進むべき方向を示せるかどうかだけにあるのではない。その方向に群れを動かせるかどうかにあるんだ。君の部下たちが、君をリーダーだと思わなかったら、彼らは君に信頼を寄せることはないし、ついていくこともない。」
「なるほど、分かりました。私は自分がついていくに値する人物かどうか、日々彼らに見せ続けなくてはならないということですね。」
「もし君が部下から信頼や忠誠心を得たければ、まず君から彼らを信頼し、忠誠心を示さねばならない。もし君がいい加減なリーダーシップしか示さなかったら、彼らも適当にしかついてこない。しかし、もし君が彼らにすべてを費やし、彼らのことを本当に思っていたら、彼らは心から君についていこうという気になるだろう」
P165/166
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深い会話だなあ、
「信頼されたければ、まず自分が信頼せよ。信頼されるに足る人間になる努力をせよ」ということか。
付箋を貼った以下の部分も、「信頼される自分であれ」と説いている。
◆「人々は、一貫性があり、信頼でき、思いやりがあるリーダーを望んでいる。それらを持ち合わせたリーダーは、部下の厚い信頼や忠誠心を勝ち取ることができる」P76
◆「偉大なリーダーは、つねに部下たちに自分の価値観や使命を伝えつづけることによって、自らの理念を彼らに植えつけている。 人の気持ちはすぐに揺らいでしまうものだ。だから、良きリーダーはつねにコミュニケーションを取ることで、部下たちにそのグループにいることの意味や使命感を呼び起こしているんだ。」P77
◆「もし明日どうなるかわからなくても、今日信じることができるリーダーが目の前にいれば、不安を乗り越えることができる」P101
◆「(二つ目のポイントは)問題を放っておかない、ということだ。これまで、たった一匹の羊が群れ全体に悪影響を及ぼした例を、どれほど多く見てきたことか・・」P102
◆「新しいマネージャーは、つい部下たちをがんじがらめに管理しようとしてしまうものだ。彼らは、チームワークとは、みなが同じやり方をすることだと考えている。(中略)方向性の提示や目標の設定はしなくてはいけないが、どうやってそこまでたどりつくかは、彼らにまかせてしまうことだ」P117
◆「規律とは、罰を与えたり相手をけなしたりすることではない。それは教える、つまり指導することだ。(中略)だから、彼らの失敗を責め立てることとはまったくちがう。つまり羊飼いが群れを離れた羊めがけて棍棒を投げるのは、お前のことをいつも見ているよ、という表れなんだ。」p142
◆「だれでも自分が間違っているなどとは、指摘されたくないものだ。しかし、そのメッセージが、自分が心から信頼し、尊敬できる人からの言葉だったら、彼らはそれを、まるで信頼できる友人からの忠告のように喜んで受け入れるはずだ。だがそのためには、まず、君が信頼に値する人物であることを示さねばならない」
・・打ち込むことで、ひしひしと感じることができた。
論語にあった「信なくば立たず」とも重なってくる。
場合によってはリーダーには命を預けることにもなるのだから、預けるに足るだけの信頼がなければ、誰も命は預けないのだ。
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