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October 31, 2018

読書は脳の想像力を高める

Nou
 誤解を生じさせる興味深い事例が、次のメールの文面。

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例の案件ですが、次の日程で会議は可能ですか?

① 11日10:00~11:00
② 12日10:00~11:00
③ 14日10:00~11:00

本日中にご返事ください
============

A:3回とも会議を行うものして、参加の有無を聞いている。
B:3つの日程のいずれかで会議を行うものとして、希望調査をしている。

AとBは、どちらも読める。
だから、自分の解釈が相手の意図と違うかもしれないと想像して混乱を回避しなければならない。
むろん、メールを出す側も、誤解を生じる可能性があるかどうかを吟味しないといけない。
自分のメールを客観的に見直す「メタ認知能力」が必要だと言える。

これは『脳を創る読書』酒井邦嘉(実業之日本社)の一節。
同書には、次のように書いてある。

◆想像力が身についていない人は、メールなど文字だけの情報の場合、読んでも相手の意図を察することができないので、日常的に多くの失敗を経験していることだろう。しかも、その原因が自分自身にあると自覚していないため、何度も同じ失敗を繰り返してしまう。p125


「脳はなぜ行間を読むことができるのか」の項には、次のようにある。

◆人間はいつも外界を受容しながらモデルを作り、それを外界の情報で確認しながら次の展開を予想して先読みを続けている。だから、出来事だけが書かれていて主人公の心情については書かれていない場面でも、「主人公はきっとこう思っているのに違いない」というモデルを脳の中に作り、「きっと話はこう展開していくだろう」・・などと予測しながら読んでいるわけだ。こうして文章に表現されていない部分のモデルが脳の中に作られているからこそ、行間を読むことができる。p98

・・・この主張の例示として登場するのが有名な「サリーとアン」のテストの話だ。

◆「アンがボールを箱の中に移し替えたのだが、このことをサリーは知らないはずだ」ということを想像力で補わない限り、実際にボールの入っている箱のほうを答えてしまうだろう。我々は頭の中に、それぞれの登場人物(この場合はサリーとアン)に対して別々のモデルを作り、想像力で行間を埋めながら先の展開を推理しているのだ。
 しかし、一部の子どもたちは、登場人物のモデルをうまく作ることができずに、このテストデ間違える傾向にあるという。p100

・・・「想像力」の重要性が、あちこちに書いてある。

◆文章や漫画から登場人物の心を汲み取るためには、脳の想像力で使って人に対するモデルが作られなくてはならない。
日常生活で相手の心がわかるには、目や表情やわずかな仕草などを読み取り、言葉からの断片的な情報を結びつけて真意を読み取る必要がある。だから、相手の嘘や、その中に隠された真意も見通せるわけだ。人間の想像力は実に奥深い。p102

◆小さいときにあまり本を読まずに、想像力が欠如したまま大人になってしまうのは恐ろしいことだ。文字通りの意味がとれるならまだいいが、自分の思い込みだけで読むようになったら、その間違いを決して自分では修正できなくなってしまう。だいだい自分勝手なことをそのまま書いただけでは、相手が時間をかけて読んでくれるはずがない。相手の立場から自分の文章を読んだらどう受け取るだろうか、という想像力が身について初めて、自分の真意を相手に伝えることができ、相手の心を動かすような文章が書けるようになるのだろう。p122/123

・・・「想像力が言語コミュニケーションを円滑にする」という見出しの項には次のようにある。

◆映像は情報が多い分、想像力の余地を与えない。想像力で補うべき情報は欠落したままなので、知識の応用も利かない。
そのときはわかったつもりになるのだが、想像力で補うことが必要とされないものにばかり接していると、結局、想像力が身につかないことになる。紙の本では、どうしても足らない情報を想像力で補うことによって、その人に合った、自然で個性的な技が磨かれたのだ。p125

・・・クリエイテイブの「創造力」を調べる途中で、「想像力」にぶつかってしまった。
たしかに、正しい読解には、正しい想像が必要だ。
足りない情報を「想像力で補う」という点について、もう少し深めてみたい。

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「類推の思考」で解釈を促す

「教育トークライン」10月号(東京教育技術研究所)の石坂陽先生の実践は「情景描写を的確に捉えさせる」。
言葉の裏の意味を見出していく作業だ。
難易度の高い課題のハードルを下げるための手立てが「類推」である。

◆難しいテストで100点を取った。
 先生にものすごく褒められた。
→外を見ると、太陽が美しくきらきらと輝いていた。


これが「行動」→「情景描写」。
そして、この情景描写が→「うれしさ」「すがすがしさ」を表している。

「じゃあ、みんなも同じように情景描写の表現にチャレンジしてみましょう」では、あまりに無謀だ。
石坂先生の実践では、ここでもう一歩踏み混んで例示している。

◆努力したのに、テストで50点だった。
→外を見ると・・・・・・

 「外を見ると」の後に続く情景描写の文章を書いてごらんなさいと指示を出している。
 そして「外を見ると、枯れた木々が力なく揺れていた」といった文を出させて、「悲しさ」「残念な思い」といった心情を把握させる。

 私は、これは類推型の思考指導だと思っている。

 【AーB】と同じ関係が【C-※】にも成り立つとき、※にはどんな文が当てはまるか考えさせる。
 この場合、A・B・Cを提示して※のみを考えさせているから、無理なく類推できる。

 ただし、正確に言うと、石坂先生の実践は、「行動」-「情景描写」-「心情」の【A-B-C】を例示して【D-※ー※】の2か所の※を考えさせている。

 裏の意味は、テキストにはない言葉を用いなければならないので、例示を含め、やさしく取り組んでちょうどいいくらいだと思う。

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October 28, 2018

創造力の重要性はいつから話題になっているか?

論理力も大切だが、論理を超えた発想力も大切である。

(1)耳の聞こえない人のために音が鳴ると同時に光って合図する電話を作ったが、役に立たなかった。なぜか?

(2)100円玉1個、50円玉2個、10玉3個で、何通りの金額の支払いができるか?

(3)私は3000万円の家を2割引きで買った。その後、知り合いに買い値の2割高でゆずった。私はいくら得したか、あるいはいくら損したか?

・・・(1)は、「電話が光ってもに気づかないことがある」だと考えた。
正解は、いくら電話に出ても、相手の話が聞こえないから。これが「そもそも耳が聞こえないなら、電話が利用できない」という事実を忘れてしまうと正解にたどりつけない。
このパターンなら着信をバイブで知らせても役に立たない。

・・・(2)は、総額230円だから、おつりをもらうことを考えたら1円から230円までの支払いが可能というのが正解。
100円+50円+10円2枚というような組み合わせで考えたらアウト。

・・・(3)は、2400万で買って、その2割高で譲ったのだから2割分の480万の得。
最初の3000万円という数値を無視できないとアウト。

 これらは多湖輝氏の「頭の体操(5)」の問題からの引用(改作)。
「頭の体操」には、明らかに論理的に解くものもあるが、時々ひっかけのようなものが含まれている。
 ひっかけを含んだ幅広い思考力・発想力・問題解決力・常識を疑う能力は、最近のクイズ番組でも求められている。暗記力の勝負だけでは視聴者も満足しないからだろう。
 たとえば、「東大ナゾトレ」のシリーズが書店に並んでおり、キャッチコピーは以下の通り。

◆「頭がやわらかければ小学生でも正解できるが、頭が固ければ大人でも苦戦してしまう問題が満載。試されるのは、あなたの知識ではなくひらめき力です!」

・・・「ひらめきが大事で、クイズやパズルが大流行」というのは今に始まったことではない。
1966年に発刊された多湖輝の「頭の体操」は20集までシリーズ化され、第1集だけでも250万部を超えたと言う。

1999年に復刻された第1集(光文社)のまえがきには次のようにある。

◆当時と比べると時代はすっかり変化し、隔世の感がある。しかし、政治、経済等どの分野をとってみても、今の日本には型破りの発想をするエネルギーが感じられない。
 いやむしろ今の人のほうが「常識」や固定観念に縛られているようにさえ思える。既成の枠にとらわれていたのでは新しい変化に対応できないことはいつの時代でも同じである。

・・・1999年はAIに代替えされる心配など全くなかった時代だが、やはり、既成の枠にとらわては新しい変化に対応できないことが問題視されていた。 
しかし、20年前の多湖氏の指摘は今なお同じだし、ますますニーズが高まっている。
「発想力」「独創力」「ひらめき」「柔軟な思考」「やわらか頭脳」など言い方は様々だが、いずれにしても、今話題の「AIに代替えされないために人間に求められる能力」と同じ意味である。
「既成概念にとらわれない柔軟な発想を」という提言は、実はもっともっとルーツは古いのかもしれない。
 思いもよらぬ発想力・アイデア・独創力はどうやって指導していけばよいのだろうか。
 暗記力だけを評価していないか。
 論理的思考だけを評価していないか。
 そんな点も留意しながら、深堀りしてみようと思っている。
 1960年代に話題になったという「水平思考」にまでさかのぼる必要がある。

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文学で培う健全な批判精神

87


光村図書の「国語教育相談室 中学校」87号に、上記タイトル脳科学者中野信子氏の論考がある。
http://www.mitsumura-tosho.co.jp/material/pdf/kyokasho/c_kokugo/kohoshi_c_kokugo_all.pdf

「ゲシュタルト知覚」を持ち出すところが中野氏である。
「ゲシュタルト知覚」とは、よくも悪くも少ない情報を脳が補ってある認知をしてしまうこと。
プラスで言えば、少ない情報から類推して効率的に情報処理できること。
マイナスで言えば、思い込みや早合点をおこすこと。

中野氏は言う。

◆この機能は、人の思い込みや錯誤を招き、誰かの嘘に惑わされるという危うさをも併せもっている。これを回避すべく私たちの脳に備わっているのが、共感、想像、良心、抑制、長期的な展望などの思考をつかさどる「前頭葉」の働きだ。
(中略)
前頭葉が発達していく時期には、その発達を促すような働きかけを行うことが肝要となる。その働きかけとはすなわち、多様な人々に共感したり、他者の心情を読み取ったり、意図を読み取ったりするなどということだ。文学とは、言語によって伝えられた人の思考の、解釈の仕方について議論を交わす領域である。つまり文学こそ、まさに、前頭葉を鍛えるために大きな役割を果たす実学なのだ。
(中略)
前頭葉が未発達な中学校時代には、文学情報から意味を構築する経験を大いに重ねることが重要だ。そして、ゲシュタルト知覚のみにとらわれず、前頭葉を働かせて、この世界には虚構というものがあること、現実には幾通りにもの解釈があることを理解してほしい。

・・・あまりにポイントが多すぎて、ほぼ全文引用してしまいたいくらいだ。ぜひ、じっくり原文を読んでいただきたい。
 印象に残ったのは、先日読んだ『脳を創る読書』酒井邦嘉(実業日本社)と重なるところがあったからだ。
ここは引用でなく、自分のまとめで示す(矢印記号が上手く出ないと思う)。

◆脳への入力の情報は、活字→音声→映像と増えていく。したがって、想像で補わねばならない情報量は、逆に、映像→音声→活字と増えていく。
活字の場合は行間を読むような想像力が必要になる。読みようによっては多様な解釈も起きてくる。p16〜20

 文学は「ゲシュタルト知覚」を用いて認知されるという中野氏の論考と重ねると、ストンと落ちた。
  映像や音声に比べて、活字は情報量が乏しく想像で補わねば全体像が把握できない。それは必ずしも短所とばかりは言えず、とりわけ文学作品を味わう上では、そこが魅力にもなっている。
 あいまいだから嫌いではなく、あいまいだからこそ面白いと思える子どもを育成できるよう、想像で情報不足を補うことの楽しさを伝えていきたい。

No

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October 27, 2018

10年で結果を出す天野浩氏の展望

名古屋大学で青色LEDで有名な天野浩氏の講演を聴いてきた。
青色LEDが、白色光を実現し、あらゆる発色を可能にし、世界の省エネルギーに貢献したことは知っていた。
そして何といってもLEDなら「光合成」ができることも。
しかし、知っていたのは正直そこまでだった。

今日の話の中で出てきたGaN(窒化ガリウム)に関わいくつかのワード。

◆水の浄化・空気の浄化(深紫外線の殺菌効果)
◆近視の抑制
◆ワイヤレス電力伝達(シリコンに変わる半導体)

テーマは「10年後の未来から、今できることを考える」
青色LEDで30年かかったイノベーションを10年以内に実現するための着実な構想が示された。

投資家は30年待ってくれない。通常は5年。長くても10年で結果を出さないと投資家は資金を出してくれない。
だから「研究」と「開発」と「社会実装」のスピードを上げる。
10年で結果を出すために、逆算して今できることを考える。

GaNインバーター自動車は、2年後の東京オリンピックに間に合うように実現化させたいが、一般道を走るための法規制がネックになるので、ぜめて大学構内で走らせたいとのことだった。

天野氏の熱意にただただ圧倒された講演だった。

なお、帰宅後、下記のサイトにあるような「GaNパワー半導体・GaNパワーデバイス」について読んだところで数パーセントも理解できなかった。

http://eetimes.jp/ee/articles/1604/04/news004.html

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古くて新しい「ブレーンストーミング」

 1つの結論に絞らない話し合い活動を考えた時、「ブレーンストーミング」が浮かんだ。
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ブレーンストーミングという会議の仕方は、問題解決のためにあたらしい発想、アイデイアを作りだすために考えられたものである。
この方式の会議では守るべき四つの注意がある。
第一は同席する他人の意見を批判をしないことである。「そんなアイデイアはだめだ」とかいって否定しないことである。
第二は、自由奔放に意見を述べよということである。つまり、こんなことをいえばばかげた話だと笑われはしないか、とかいうことを気にせず、おおいに自由奔放に思いついたことをいえ、ということである。別のいいかたをすれば、自分に対して批判をするな、自己規制をするなということである。
第三は量である。すなわち、できるだけ多量のアイデイアを出せということである。したがって、いろんな角度からのアイデイアをできるだけたくさん出せということでもある。
そして第四は結合である。これは他人の意見をうけて、さらにそれを発展させるということである。他人の意見から触発されて、他人と自分の意見を結合してゆくことである。

 「発想法」創造性開発のために 改版 川喜多二郎著 
 中公新書 P60/61 改行の一部に手を加えた。
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・・・1967年初版の名著である。
従来の「話し合い」には、ブレーンストーミングの4つの観点はない。
でも、向山実践の「かける」の授業や「分かったこと・気がついたこと・思ったこと」の授業には、このような大量の気づきを列挙して分類整理する方法がとられる。


 話し合いは結論を出すために収束の方向に向かうものだが、ブレストは拡散の方向に向かう。
Aという意見に触発されてBが出たり、思わぬ方向からCが出たり、無理やりDを出したりする自由度の高さがブレストの魅力である。
 結論に導く収束的な話し合いも無論大事だが、多様な解を促すブレスト的な話し合いも注目していい。
むしろ、「正解のない時代」と言われるこれからブレストが重要なのではないかと思う。そして、そのモデルとして向山実践が挙げられる。

 このブレーンストーミングについて、川喜田氏は注文をつける。
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しかしこの方法は、計画という点では大事なものが抜けていると思う。ブレーンストーミングで吐き出したいろんなアイデイアのみならず、この方法の「精神に沿って」吐き出された情報は、単に枚挙するだけでなく、組み立てられなければならない。何らかの構造あるものに組み立てなければいけない。
その組み立てにあたって、いはば統合を見いだしてゆくのに使うのが、のちに述べるKJ法である。これは構造づくりである。それはまたのちにのべる「構造計画」にも通じる。
P62/63
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・・・この「構造計画」が難しい。
 同書では別の個所で「空間的配置」という言葉で説明している。P86
 また、関連付けのための方法として、次の2つの方法を示している。P88

◆単位と単位の間を棒線でつなぐ
 ①相互関係 ←→
 ②対立   >-<
 ③原因・結果の関係 →

◆リング(輪どり)で包み込む
 リングで囲むと、関係があり同類であることがわかる。

・・・「線でつなぐ」「丸で囲む」。
 どこかで聞いたキーワードだ。
 椿原正和氏が提唱している国語B問題対策のポイントだ。
 国語B問題対策が大量の情報を構造化するために「線でつなぐ」「丸で囲む」という作業を課しているということだ。

 ちなみに、「発想法」のあとがきの参考文献には次のようにある。
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オズボーン(上野一郎訳 1958)『独創力を伸ばせ』ダイヤモンド社
ブレーンストーミング技法の原点である。問題解決のためのアイデイアを討論のなかからうちだし、以後チェック・リストでふるいをかけるゆきかたである。
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 オズボーンの9つのチェックリストもまた有名だ。

1.他に使い道は?
・改善・改良して新しい使いみちは
・そのままで新しい使いみちは

2.応用できないか?
・他にこれに似たものはないか
・過去に似たものは無いか
・何か真似できないか

3.修正したら
・新しいひねりは
・意味、色、動き、音、匂い、様式、型などを変えられないか

4.拡大したら
・より大きく
・何か加えられないか
・強く、高く、長く、厚く、頻度は、付加価値は

5.縮小したら
・より小さく
・何か減らせないか
・弱く、低く、短く、薄く、省略は、分割は

6.代用したら
・他の素材は
・他のアプローチは
・他の構成要素は

7.アレンジし直したら
・要素を取り替えたら
・他のパターンは
・原因と結果を入れ替えたら

8.逆にしたら
・後ろ向きにしたら
・上下をひっくり返したら
・主客転倒したら

9.組み合わせたら
・ブレンド、品揃え
・目的を組み合わせたら
・アイデアを組み合わせたら

https://jairo.co.jp/keyword/588

・・・「ブレーンストーミング」も「オズボーンのチェックリスト」も、めちゃくちゃ古いが、今なお新しい。

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本庶教授のメッセージ

ノーベル医学賞を受賞した本庶佑教授は、たたずまいも立派で、テレビの画面で一目見て、徳の髙さが伝わってきた。
いくつかのインタビュー記事をまとめて検索して、あらためて本庶先生のメッセージの重さをかみしめている。
多くの記事が伝えているのは、「好奇心」と「批判的態度」であった。

◆私自身の研究(でのモットー)は、「なにか知りたいという好奇心」がある。それから、もう一つは簡単に信じない。
よくマスコミの人は「ネイチャー、サイエンスに出ているからどうだ」という話をされるけども、僕はいつも「ネイチャー、サイエンスに出ているものの9割は嘘で、10年経ったら残って1割だ」と言っていますし、大体そうだと思っています。
まず、論文とか書いてあることを信じない。自分の目で確信ができるまでやる。それが僕のサイエンスに対する基本的なやり方。
つまり、自分の頭で考えて、納得できるまでやるということです。

 

◆研究者になるにあたって大事なのは「知りたい」と思うこと、「不思議だな」と思う心を大切にすること、教科書に書いてあることを信じないこと、常に疑いを持って「本当はどうなっているのだろう」と。
自分の目で、ものを見る。そして納得する。そこまで諦めない。
そういう小中学生に、研究の道を志してほしいと思います。

 

・・・第一に「好奇心・探求心」。
これは向山実践で言えば、浴びるほどの体験の後の「わ・き・お」の列挙によって保障される(有田実践で言えば「はてな帳」)。
「もっと知りたい」を促す授業を支えるのは、教師自身の知的好奇心の高さであり、子どもの好奇心を支える圧倒的な情報量であると思う。
知識を暗記することも否定はしないが、それだけでは次の世界に進めない。

 

そして第二に「批判的思考」。
教科書すら疑う態度は、立ち合い授業で向山先生が示した実践が筆頭になる。
歴史も科学も常に更新されるが、最新の知見でさえ、なお正しいとは限らない。
知り尽くして、調べつくして、それでもなお「それは本当か」と疑う態度は、知性に対する謙虚さがあってのことで、なんでも斜に構えて疑ってかかるる傲慢な態度とは別次元である。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181001-00010009-bfj-sctch

 

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リ―デイングスキルテスト

 リ―デイングスキルテスト(RST)は、『AI vs教科書が読めない子どもたち』で有名な新井紀子氏がセンター長を勤める国立情報学研究所の考案したテストである。
 本来は有料だが、サンプル提供で参加するので無料でできると言う。そんなルートがあったんだ。
著書を読んで少しは知っていたが、実際に着手するとか子どもに受けさせるとか、そこまで真剣に考えたことはなかった。

 次のサイトから、さまざまな情報が得られるが、情報が多すぎて精選できない。

https://www.s4e.jp/about-s4e

 たとえば奥深くに隠れているPDF資料「リ―デイングスキルテストで測る読解力とは」には、読解力の11項目のプロセスが記してある。
https://www.nii.ac.jp/userimg/press_20160726-1.pdf

1 文節を正しく区切る
2 係り受けの構造を正しく認識する=修飾・被修飾の関係
3 述語項構造や接続詞を正しく解析する=主語述語の構造 
4 照応関係を正しく認識する=指示語
5 ~ 語レベルのマッピング
6 ~ 文構造レベルのマッピング
7 既存の知識と新たに得られた知識に対して、論理推論を働かすことにより、実世界に関するさらなる知識を獲得する。
8 得られた多くの情報間の重要度を適切に付与する。特に与えられた観点において、実世界に関するさらなる知識を獲得する。

など11項目のプロセスが挙げられているが、後半は理解が苦しい。
読解力を測る観点が理解できないのだから、自分が読解力を育てるのは難しいのだと思わざるを得ない。

 AIが苦手な点と通ずるのが、以下の箇所かもしれない。

◆得られた情報を正しく理解しただけでは、そこから豊かな実世界イメージを獲得することはできません。
新しく得られた知識と既存の知識から演繹する、という7のプロセスを経ることにより、ひとつの知識を数十倍、数百倍に拡張することができるのです。

◆単に膨大な知識を獲得しただけでは、それを問題解決に役立てることができるとは限りません。具体的な問題解決にあたっては、8で挙げた、得られた情報を取捨選択するプロセスが必要となります。

 例文は、ごくごく単純な問題だと思うが、逆のこんなところでつまづいていたら、そりゃあ各教科のテストは苦しいなと思う。
https://www.s4e.jp/example

◆近畿地方を中心に、領主や鎌倉幕府に従わず、年貢をうばう武士があらわれた。
→年貢をうばうのは(鎌倉幕府:武士:近畿地方:領主)である。

 このようなレベルでの読みの精度を上げるなら「一字読解」のような丁寧な指導が有効だと思う。

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「地頭のよさ」

『週刊現代』の10月13・20日号の次の特集はよかった。

◆GAFAではもう当たり前 「地頭格差」の時代◆
グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾンで「GAFA」であることは知っていた。
「地頭」の話題も知っていたが、この特集4ページを読んで自分の知識の薄っぺらさが恥ずかしくなった。
 
(1)IT評論家尾原和啓氏の言葉

「これからのIT、デジタルの世界は何が起こるかまったく分からない分野です。解答がある問題を早く解く能力よりも、課題を設定する能力、そしてその課題を解決する仮説を設定する能力が求められます。(中略)答えが分かっている単純作業はAIが担っていき、スキル価値はゼロになっていく。」

「どうしても、日本では記憶型の学問が重視される傾向が強い。しかし、地頭の良さとは、今までにない問題の解き方をどれだけ日常のなかでぐるぐると考え続けられるかで決まってくる。ただ勉強ができるだけではダメなのです。」

「グーグルが一番大事にしている能力は何かというと、自分が解決可能な最大インパクトをもたらす課題を自ら設定し、それを解決するまでやり抜く能力なんです。そして、グーグルには課題を自ら見つけて解くことが面白くて仕方ない人たちが集まっています。」

・・・自分なりに追記すると、これまでは欧米の開発したものを真似し、精錬させることで日本製品は評価された。これからが既にあるモノの応用・転用でなく、全く新しいアイデアの創出が求められている。それが、いわゆる「ZERO TO ONE」の発想である。

(2)ビジネスコンサルタント細谷功氏が示す「地頭の良さ」
・問題そのものを考える
・定義が不明確な問題を解く
・指標そのものを考える
・少ない情報から物事を創造する
・抽象的な課題を扱う
・ルールを作り直す

「プロトタイプを早く作り、何度も失敗を繰り返しながら創造していく。この試行錯誤型の働き方がこれからの時代は重要になってきます。GAFAは、そのような枠に囚われない考え方で成長してきました。」

・・・「地頭の良さ」は「AIが不得意とする分野」を念頭に置いている。

(3)アマゾンジャパンの立ち上げメンバーだった林部健二氏が指摘する「地頭力の3つの要素」「アマゾンの人材発掘」

「初めての業務でも自分なりの仮説を立てて実行できる柔軟性、次に色々な分野の人を巻き込むコミュニケーション能力、それに加えて、アマゾンでよく言われるのは、リーダーシップです。」
「一番良いのは、二軍のトッププレイヤーを採用することです。東大でビリよりも、それより偏差値が下の大学のトップの方が良い。やはりトップということは地頭力を兼ね備えていることになる。

・・・出身大学ではなく、その集団で突出したトップ・枠に収まらない人物が優先されると言う。ジョブズもザッカ―バーグも大学中退だ。

(4)ソフトバンクの三木雄信氏

「アップルからまったく新しいコンセプトの『iPhone』が発売されて、国内メーカーは壊滅状態になりました。その当時、日本の大手企業では地頭が良い社員は、大きな組織のなかでは浮いてしまい、周囲との摩擦を生んでしまうこともあった。
 しかし、これからはそのような人たちが日本企業を変えていき、会社を大きくしていくのは間違いない。さらに言えば、そのような人材はベンチャー企業のほうが才能を発揮できる。結果的にそうした企業は成長していくことで、日本の社会全体が変わっていくことも考えられます」

・・・学歴や年齢では決まらない時代に子どもたちは突入していく。
安定した職業と言われる公立教員にそのチャレンジャーの気概を教えられるだろうか? 
せめて時代の動向には敏感でいたい。

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