家庭連絡のデメリット
「学校の問題解決につながらない対応」という資料が手元にある。
少々古いが「週刊教育資料」2016年7月25日号の石橋昌雄氏の論稿だ。一部を引用する。
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子どもの悪さを毎日家庭に連絡しても無駄
放課後になると何かにつけて、学校での子どもの問題点を毎日のように保護者に連絡してる教員がいる。「A君は、今日こんな悪さをしました。ご家庭でもご指導ください」「Bさんは、毎日ノートを忘れてきます。また友達に悪態をつくので、やめさせるように言って下さい」
(中略)
そこで私が「その連絡でが逆効果だと思いますよ。A君が学校でこんな悪いことをしたと言われても、保護者はすみませんとしかいいようがなく当惑するばかりです。学校でどんなことがあって、教師がどんな指導をしたのか、そこで家庭ではどんな指導をしてほしいのかを具体的に連絡しないと、あまり効果がありませんよ。子どもの悪さを連絡しても、保護者は100%納得はしておらず、先生の注意の仕方が悪いとか、先生の指導力がないと最後は言ってくるのです。(後略)」
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・・・若い先生には、トラブルなった子の様子について家庭連絡をさせているが、上記のように「学校でこんな困ったことを起こしたから、よく叱って下さい」といった上から目線にならないようアドバイスをしている。
「学校でどうしてそんな行動をしたか聞いてみたけどよく分からない。自分は〇〇が原因かと思うのだけど別の理由があるかもしれない。一度本人の気持ちを聞いていただけますか。友達同士話し合いが必要なら場をつくるし、自分の指導が悪いなら改めます」
というような「お願い」を言うように促している。
家庭で問い詰めたときに、思わぬ理由を子どもが言い出したら、原因を決め打ちした担任は信頼を下げてしまう。目に見える問題行動は把握しているが、行動の背景にある心の動きまでは把握しきれていないと報告するのがベターである。
いくら先生が困っていると訴えても「それが仕事でしょ」と言われたら弱い。
家庭連絡するなら、この子のために協力してほしい・ご家庭でも悩みや怒りの中身を聞いてほしいというスタンスが必要だと思う。
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