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February 03, 2019

哲学を学べば「知的生産」ができる

「1+1はいくつですか」と聞けば当たり前の答えしか返ってこない。
しかし「1+1は幸せですか」と聞けば「増えることは幸せなこと」のような答えが出てくる。

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つまり哲学が始まるのです。

 「超・知的生産術P29 小川仁志 PHP 
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と言う。
 これが「哲学」か。大学でさぼってたので、いまだに「哲学」がよく分からない。恥ずかしながら驚いてしまった。
 「論理的思考」を著した宇佐美寛氏の専門は「哲学」。
 プレゼンの極意はアリストテレスの「修辞学」までさかのぼる。
 「主体的・対話的・深い学び」と言われるが、「対話」はソクラテスの「問答法」にさかのぼる。 マイケルサンデル教授の「白熱教室」も「ソクラテスの問答法」を含む哲学の講義だ。

 哲学は「思考の探究」であり、「知的生産」であると小川氏は述べる。フランスの哲学者ジル・ドウルーズの言葉

◆「つねに新たな概念を創造すること、それこそが哲学の目的なのである」

を引用して

◆哲学とは自分の言葉で物事の意味(=概念)を確定していくという作業ですから、それはまさに概念の創造だといっても過言ではないと思うのです。P25

と述べている。
 そして哲学の本当のやり方と称して「質問をする」「変な質問をする」を提示し、「相手の口から真理を導きださせる」=ソクラテスメソッドが大事だと述べている。

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物事の本質を探究するのに求められるのは、色々な物の見方です。P32
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といった箇所などを読むと、向山先生が「発問の吟味」を強調されたのは、哲学的な意味=思考の訓練があったからなのだと推察できる。異次元から切り込むようなあっと驚く発問なしに、知的な授業を組み立てることはできないのだ。

例えば、「討論」はAかBかに決着をつけるためのものではない。

◆生じてくる問題を切り捨てることなく、むしろ取り込むことによって発展した答えを導こうとするロジック P57

・・・これが「ヘーゲル哲学の根幹ともいうべき弁証法」だから、向山学級の討論は極めて「弁証法」的である。

例えば、我々は大量の情報をカテゴリー別に分類するが、この「カテゴリー」はカントが提唱したのだと言う(P92)。

 十分に理解しきれていないが「哲学的思考術」として列挙された以下の10項目も、向山実践と重なりを感じるものが多い。

①透視思考(プラトンが唱えたイデアの概念)
心の目によって見えないものを見る。

②対概念思考
対になる概念を探し、二つセットで全体を見る。
「主観と客観」「理想と現実」「一と多」のように。

③媒介思考(ヘーゲルが重視した概念)
現象と原因をつなぐ隠れた媒介を見つける
どんなものも何らかの関係性や原因があって存在する
「直接性」の否定

④弁証法思考(ソクラテスからヘーゲルへ)
問題を切り捨てることなく発展させ、よりよい解決法を見出す

⑤プラグマテイズム思考(デユーイ)
前向きな妥協を見出す
うまくいけばそれが正しい

⑥逆算思考(パスカルの『パンセ』)
結果から逆算して、現状を把握したり、事態を推測したりする。

⑦比喩思考
比喩を用いることで、本質をあぶるだす。

⑧非人間中心思考
物事を人間中心に考えない
人間の感覚は相対的である。

⑨落選着目思考
なぜそれ以外ではないのか考える
論じなかったものを考えることで視野が広がる。

⑩補助線思考
一見関係ないと思われるものとつなげることで見方を変える
 P132・133

 ビジネス書の思考法・知的生産術も大半は、哲学思考そのものであると言う。フレームワークの大枠は「①構造主義パターン ②カテゴリーパターン ③問答法パターン」の三つに集約できると言う。

 哲学か。
 新しいビジネス書ばかり選ばないで、古典にも目を通さないといけない。


※追記 2011年のブログより

「実践!英語でしゃべらナイト2011年7月号」のテキスト。
 
◆ プレゼンの極意は、2300年前にギリシャでアリストテレスが「修辞学」で述べている。

とはびっくり。大学でさぼった「哲学」の領域か。


◆修辞学は公衆に向かって効果的に話し、伝える技術です。
「公衆の面前で話すこと」、つまりプレゼンテーションの極意がここにあります。アリストテレスは、公衆の面前で話すこと(プレゼンテーション)は、3つの要素(ロゴス、パトス、エトス)のバランスだと言いました。P19

 ロゴス・パトス・エトス・・・聞いたことはあるが、全く忘れていたし、本気で考えたことも、「これは使える!」などと思ったこともなかった。
 知らずにいたこと・気付かずにいたことで、これほどショックを受けたのも久しぶりだった。

 ロゴス(論理)
パトス(感情)
エトス(信頼)
の3つのバランス。

◆アリストテレスはこう言いました。「人間はとても感情的な生き物である。人を説得しようとするとき、私がどんなに論理的でも、もし感情に訴えかけることができず、自分の味方についてくれるような感情を彼らに抱かせることができなければ、その説得内容が何であれ、すべては無駄」なのだと。(P36)

・・・これは自分の正しさだけを攻撃的に主張するパッシブでは相手を説得できないと述べる「アサーション・アサーテイブ」の考えとも通じる。

◆アリストテレスはロゴス、パトス、エトスの3つのうち、エトスを最重要としました。なぜでしょう? P54

という問いに対する解説の納得。中身の濃いテキストだった。

 「エトス」の要所をメモ書きしておくと

①聴衆は最初の2分であなたを判断します。
②プレゼンで信頼感を与える最良の方法は、聴衆を一番に考えることです。
③最終的にはあなた本人が聴衆に受け入れられ、信頼されるかどうかにかかっているのです。

 自分は、これまで、ロゴス(論理)ばかり優先してきたように思う。
 だから、アサーションを知った時も反省した。
 そして、今回、聞いたことのある言葉であるにもかかわらず、パトス・エトスについて全く記憶になかった自分が、いかに独りよがりであったことかと恥じ入るばかりである。

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