よい授業の条件
2月11日(祝)、日本文教出版の道徳セミナーで、畿央大学大学院の島恒夫教授先生の話を聴いてきた。
中教審道徳専門部会の委員を務め、学習指導要領解説の作成協力者もされている。
たくさん授業を参観した経験を元に、具体的によい授業の条件を話された。
「子どもにとっても教師にとっても楽しい道徳科とは?」に書かれたレジメの条件は、道徳以外でも通じる内容だ。
◆子どもにとって、「納得」と「発見」のある授業。
◆子どもの頭がフル回転する授業
◆子ども1人1人の思いが自由に出て、認め合いのある授業
◆45分OR50分があっという間に感じる授業
◆授業が終わってからも、教室のあちらこちらで、まだ話が続いたり、余韻に浸っている授業。
◆「先生、またしようよ」という声の出る授業。
「教師がしゃべり過ぎない授業のために」に書かれたレジメも同じだ。
◆「質の高い問い」
・・子どもの頭の中に「?」が生まれる問い。
◆集団づくり
・・「友達の考えに関心を寄せる集団
◆教師のコーデイネート
・・「陰の最大の理解者となり、役者を演じる
こんな授業はダメだ、というNGは、
×教師からの問いに答えるだけの授業
×「今のは、いい意見だ」と教師が即断してしまう授業
×子どもの意見を先生が都合よくまとめてしまう授業
×子どもが先生の意図を探り合う授業
「道徳セミナー」の中で、畿央大学の嶋教授がNG授業をいくつか紹介した。
その中に「正解に誘導する」類のものがあった。
◆お気に入りの意見が出た時に、間髪入れずに「いい意見だね」とほめるような授業。
◆子どもの意見が拙いときに「つまり、こういうことを言いたかったんだよね」と大人の言葉でまとめてしまうような授業。
たまたま読んでいた吉井理人の「最高のコーチは教えない」と重なった。
◆コーチは絶対に「答え」を言ってはならない。P88
◆コーチは、選手に自分の言葉で語らせることに、徹底して意識的にならなければならない。
いくらじれったくても、まどろっこしくても、我慢して、耐えるべきだ。選手が「わからない」と口にしても、すぐに「こうだ」と断定してはならない。もし言おうとしても、せいぜい、「自分だったらこうしたかもしれない」「こんな選択肢もあるかもしれない」というヒントを口にする程度にとどめておかねばならない。P89
・・・だからコーチは質問に徹する。
「どうしたい?」「なぜ?」「どうすればいい?」
集団で行われる道徳の授業の場合は、発言した子以外のみんなに問いかければいいと島氏は言う。
「みんな、今の意見、分かった?」
「他の子で、説明できる?」
「今の意見、黒板に何てまとめたらいい?」
と他の子どもを利用して、翻訳させたり、具体化させたり、例示させたりして、学級全体に浸透させていけばいい。
そのことを島氏は
◆子どもに手柄を取らせる
と書いている。
教師がでしゃばって、おいしいところを全部説明したら、子どもはしらけてしまうだけなのだ。
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