脳科学についての覚え書き(2015年)
脳科学の分野との関連論文では、ドーパミン・セレトニンのような脳内物質の分泌を促す授業スキル・指導方法が注目されている。
たとえば、ドーパミンは、注意力を高め行動抑制につながる物質。
成功体験や、褒められることによる快感によって分泌されるが、その他にも
①運動や活動場面を取り入れる
②授業に変化を付ける
③得点を与える
④見通しを示す
⑤目的(数値目標)を伝える
などによって分泌が促されることが指摘されている。
ADHDの子については、次のように言われる。
①彼らは動きたくて動いているのではなく、動くことを脳が欲している。
②動くことでドーパミンを増やしている。
③したがって「動くな」「我慢しろ」という注意は間違った指導である。
④授業の中でノートを持ってこさせたり、黒板に答えを書かせたりする活動場面を設定することが、効果的である。
また、「セレトニン対応」も注目されている。セレトニンは安心感をもたらし、衝動抑制につながる物質である。
①見つめる
②ほほえむ
③話しかける
④ほめる
⑤触れる
といった教師や保護者の対応によって、気持ちの安定がもたらされる。
こうした脳科学の見地を知ると、効果のある指導・成果の上がる対応術が明らかになってくる。
~ほめる効用~脳科学と応用行動分析学のアプローチ~
茂木健一郎氏『脳を活かす勉強法』(PHP)の書籍紹介には次のように書いてある。
=================
"喜びを感じることで、「快感」を産み出す脳内物質「ドーパミン」が分泌され、脳はその快感を再現しようとして脳内に新しいシナプス(神経回路網)を形成する。それにより快感を生み出す行動が次第にクセになり、繰り返していくうちにその行動が上達していく…。
これを「強化学習」といいます。"(本文より抜粋)
==================
褒められる快感が次の行動の刺激になる好循環が「ドーパミン強化学習」である。
①他人からの称賛、感謝、愛情を受けると、脳の腹側被蓋野(ふくそくひがいや=「報酬系」と呼ばれている部位)などの部分が刺激を受ける。
②ここからドーパミンという快楽を生み出すホルモンが大量に分泌され、気分はハイになる。
③もし、報酬系が刺激されず、ドーパミンが十分に分泌されない生活を送っていたら、頑張ってもご褒美がもらえないことに脳が気づき、だんだんとやる気が失われてしまう。
④ドーパミンがどっと出たあとは、セロトニンもおおいに分泌される。
ドーパミンが快楽を高め、感情をたかぶらせると、セロトニンがドーパミンの暴走を防ぎ、感情を鎮めるアクセルとブレーキのような関係である。
⑤「ほめ言葉」によって報酬系の部位が刺激されるとドーパピンが分泌され、同じく心を鎮めるセレトニンが分泌されるので、イライラもせず、ニコニコしていられる。
・・・「褒める」ことの効用が、ドーパミン・セレトニンといった脳科学で説明できる。
一方、「応用行動分析学」でも「褒める」の効用を述べている。
行動の「ABCモデル」について、以下のサイト記事が分かりやすかった。
===============
Aは、Antecedents(誘発要因)
Bは、Behavior(行動)
Cは、Consequences(行動結果)
人が行動を起こす前には、何かしら、その行動を促す事柄やきっかけがあります。
これが「誘発要因」です。
次に、それをきっかけとして、何らかの「行動」が起こります。
その結果、行動者にポジティブな事柄やネガティブな事柄が起こり、行動者は何かを感じることになります。
これを「行動結果」と呼びます。
人間の行動はすべて、このように「誘発要因→行動→行動結果」というサイクルに沿って起こるのだそうです。
例えば、「レストランの看板を見て、店に入り、食事をする。値段が手頃でおいしかった」という一連の行動をABCモデルに当てはめると次のようになります。
誘発要因 レストランの看板を見る
→行動 店に入り、食事をする
→行動結果 値段が手頃でおいしかった
このような体験をすると、みなさんどうでしょう。
次にこのレストランの看板を見たときに、「また入ろう」ってなりますよね。
でも、「値段が高くてまずかった」という行動結果であれば、そのレストランの看板を見てもまた入ろうとはしないはずです。
このように、将来、再びその行動が起こるか否か、その可能性を高めたり、減少させたりするのは、「行動結果」によるのです。
ここでもう一度おさらいしておきましょう。
将来の行動の頻度は、行動の前に存在する条件(誘発要因)ではなくその行動の直後に何が起こったのかにより決定される
ここに、最近 ”ほめる” ということが注目されている理由があるんですね。
単に、部下をほめておだてたり、気持ちよくさせるためにほめるのではなく、次の行動を促すためにほめるのです。
これは、子育てでも同じですね。
「宿題しなさい」「~しなさい」と口うるさく言うよりも(誘発要因)、「宿題をちゃんとやったり」望ましい行動をしたときにタイミングを逃さずほめてあげることが大切なんですね。
http://wakuwakubooks.seesaa.net/article/117190300.html
===================
・・・人が思うように動かないと叱責し罰を与えるのは大きな間違い。良い結果を起こし、よい評価(褒め言葉)を得られたら、人はますます、その良い行動を繰り返そうとする。最も重要なのは「ABCモデル」でいうところの「結果」なのだと言う。
この行動のABCは、ビジネスシーン(マネジメント)でも、大切なポイントとして紹介されている。
・・・・我々教師の中にも、人が動かないと叱責する「大きな間違い」が放置されている。しっかり意識改革していかなくてはならない。
2015年4月、教え方セミナーを前に書いた覚書を手直しした。
書いても忘れ、全然自分のものになっていないことを痛感している。
たとえば、ドーパミンは、注意力を高め行動抑制につながる物質。
成功体験や、褒められることによる快感によって分泌されるが、その他にも
①運動や活動場面を取り入れる
②授業に変化を付ける
③得点を与える
④見通しを示す
⑤目的(数値目標)を伝える
などによって分泌が促されることが指摘されている。
ADHDの子については、次のように言われる。
①彼らは動きたくて動いているのではなく、動くことを脳が欲している。
②動くことでドーパミンを増やしている。
③したがって「動くな」「我慢しろ」という注意は間違った指導である。
④授業の中でノートを持ってこさせたり、黒板に答えを書かせたりする活動場面を設定することが、効果的である。
また、「セレトニン対応」も注目されている。セレトニンは安心感をもたらし、衝動抑制につながる物質である。
①見つめる
②ほほえむ
③話しかける
④ほめる
⑤触れる
といった教師や保護者の対応によって、気持ちの安定がもたらされる。
こうした脳科学の見地を知ると、効果のある指導・成果の上がる対応術が明らかになってくる。
~ほめる効用~脳科学と応用行動分析学のアプローチ~
茂木健一郎氏『脳を活かす勉強法』(PHP)の書籍紹介には次のように書いてある。
=================
"喜びを感じることで、「快感」を産み出す脳内物質「ドーパミン」が分泌され、脳はその快感を再現しようとして脳内に新しいシナプス(神経回路網)を形成する。それにより快感を生み出す行動が次第にクセになり、繰り返していくうちにその行動が上達していく…。
これを「強化学習」といいます。"(本文より抜粋)
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褒められる快感が次の行動の刺激になる好循環が「ドーパミン強化学習」である。
①他人からの称賛、感謝、愛情を受けると、脳の腹側被蓋野(ふくそくひがいや=「報酬系」と呼ばれている部位)などの部分が刺激を受ける。
②ここからドーパミンという快楽を生み出すホルモンが大量に分泌され、気分はハイになる。
③もし、報酬系が刺激されず、ドーパミンが十分に分泌されない生活を送っていたら、頑張ってもご褒美がもらえないことに脳が気づき、だんだんとやる気が失われてしまう。
④ドーパミンがどっと出たあとは、セロトニンもおおいに分泌される。
ドーパミンが快楽を高め、感情をたかぶらせると、セロトニンがドーパミンの暴走を防ぎ、感情を鎮めるアクセルとブレーキのような関係である。
⑤「ほめ言葉」によって報酬系の部位が刺激されるとドーパピンが分泌され、同じく心を鎮めるセレトニンが分泌されるので、イライラもせず、ニコニコしていられる。
・・・「褒める」ことの効用が、ドーパミン・セレトニンといった脳科学で説明できる。
一方、「応用行動分析学」でも「褒める」の効用を述べている。
行動の「ABCモデル」について、以下のサイト記事が分かりやすかった。
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Aは、Antecedents(誘発要因)
Bは、Behavior(行動)
Cは、Consequences(行動結果)
人が行動を起こす前には、何かしら、その行動を促す事柄やきっかけがあります。
これが「誘発要因」です。
次に、それをきっかけとして、何らかの「行動」が起こります。
その結果、行動者にポジティブな事柄やネガティブな事柄が起こり、行動者は何かを感じることになります。
これを「行動結果」と呼びます。
人間の行動はすべて、このように「誘発要因→行動→行動結果」というサイクルに沿って起こるのだそうです。
例えば、「レストランの看板を見て、店に入り、食事をする。値段が手頃でおいしかった」という一連の行動をABCモデルに当てはめると次のようになります。
誘発要因 レストランの看板を見る
→行動 店に入り、食事をする
→行動結果 値段が手頃でおいしかった
このような体験をすると、みなさんどうでしょう。
次にこのレストランの看板を見たときに、「また入ろう」ってなりますよね。
でも、「値段が高くてまずかった」という行動結果であれば、そのレストランの看板を見てもまた入ろうとはしないはずです。
このように、将来、再びその行動が起こるか否か、その可能性を高めたり、減少させたりするのは、「行動結果」によるのです。
ここでもう一度おさらいしておきましょう。
将来の行動の頻度は、行動の前に存在する条件(誘発要因)ではなくその行動の直後に何が起こったのかにより決定される
ここに、最近 ”ほめる” ということが注目されている理由があるんですね。
単に、部下をほめておだてたり、気持ちよくさせるためにほめるのではなく、次の行動を促すためにほめるのです。
これは、子育てでも同じですね。
「宿題しなさい」「~しなさい」と口うるさく言うよりも(誘発要因)、「宿題をちゃんとやったり」望ましい行動をしたときにタイミングを逃さずほめてあげることが大切なんですね。
http://wakuwakubooks.seesaa.net/article/117190300.html
===================
・・・人が思うように動かないと叱責し罰を与えるのは大きな間違い。良い結果を起こし、よい評価(褒め言葉)を得られたら、人はますます、その良い行動を繰り返そうとする。最も重要なのは「ABCモデル」でいうところの「結果」なのだと言う。
この行動のABCは、ビジネスシーン(マネジメント)でも、大切なポイントとして紹介されている。
・・・・我々教師の中にも、人が動かないと叱責する「大きな間違い」が放置されている。しっかり意識改革していかなくてはならない。
2015年4月、教え方セミナーを前に書いた覚書を手直しした。
書いても忘れ、全然自分のものになっていないことを痛感している。
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