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May 23, 2019

「文章法」とは何か?

 松本成二氏は、「文章法の原則 リレーションの三大種類」として、3つを挙げている(『現代文の科学的研究1』P46)。

①同一指示(coreference) 
②分析(analysis) 敷衍(paraphrase・amplyfication)
③近接(contiguity)類似(similarity)
  
  さて「近接と類似」って何だ?
  実は、1990年にこの本を読んでいながら、「近接と類似」は、ずっと保留したままだった。
  松本氏の書籍でも、「近接と類似は少しその概念がつかみづらい」と書いてある(P124)
 手持ちの書籍を見ても、図書館に行っても、書店に行っても、ネットで調べても、なかなか明快な解説を得ることができなかった。ネット検索すると、人工知能のような分野でヒットする。

  かすかに理解できたのが、以下のような記載。
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◆連想というのは,あることと他のことの間に何らかの関連性があると感じることである。
  心理学では、この連想のもととなる関連性を「類似性(similarity)」と「近接性(contiguity)」に分ける。

  類似性は2つの物事が似ているということで、これは形状,色彩、材質、機能,組成などさまざまの面に関して認められる。
  近接性は2つの物事の間に特別に近い関係があるということで,その関係は空間的なものばかりではなく、時間的、あるいは因果関係的なものまで、様々な場合がある(p133)。

   例) 白→黒      (類似性)
      白→雪・雲・塩・米 (近接性)

  『意味の世界:現代言語学から視る』池上嘉彦著
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・・・松本氏のもう1冊の書『知の学としての国語』(2013年)の解説を簡略化して示す。結局、この解説が一番分かりやすかったのだ。

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 R・ヤーコブソン
「すべてのテキストは、類似性(simirarity)と近接性(contiguity)とで形の上でも内容的にも展開され、組み立てられている」

  言葉の【類似性】とは、まったく同じ言葉で繰り返したり(同一語 tautology)、似た言葉に置き換えたり(同一指示語 coreference)すること。
  言葉の【近接性】とは、「冬と寒い・雪とスキー」のように、ふつういつも存在するもので置き換えること。
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・・・どうして、「類似・近接」にこだわるかというと、松本氏が次のように主張しており、受験国語の「基本のキ」だからだ。

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テキスト展開の本質は「似た言葉を絶えず繰り返し」たり、「いつも一緒にある言葉で繰り返し」たりすることにあるというヤーコブソンの原理は、空欄補充の設問にも、選択肢設問にも、整序問題にも、その他あらゆる設問の解析に使える。P16
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・・・このヤーコブソンの原理を読むと「類似性」「近接性」が大事なことが分かる。

ただ、松本氏が引用した次のハリスの言葉を読むと、「敷衍(paraphrase)」も大事だということが分かる。

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Z・S・ハリス
「言語表現の本質は、絶えざる言い換え(paraphrase)であり、ある言語表現は、同じ言語で翻訳されることを前提としている。
  一つの言語表現を理解するとは、絶えざる言い換え(paraphrase)を理解することだ」(P13)
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・・・、むしろ「言い換え」と類似・近接」の区別がつかなくて、まだまだ保留が続くのだ。


 参考(というより理解できなかった文献例)
◆ロマン・ヤコブソンのコミュニケーション論
http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/publictn/slavic-studies/56/08asazuma.pdf

◆ローマン・ヤコブソンによる言語の二軸理論
http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/Biaxial_theory_Roman_Jakobson.html

◆初心者のための記号論-

http://www.wind.sannet.ne.jp/masa-t/retorikku/rhetoric.html
 ◆ウイキペデイア「デイヴィッド・ヒューム」の認識論
ヒュームは『人間本性論』では、人はどのように世界を認識しているかという認識論より検討を始めている。
 人間の知覚(perception、これはヒューム独自の用法であり、心に現れるもの全てを指す)を、印象(impression)と、そこから作り出される観念(idea)の二種類に分けている。
 印象と観念には、それぞれ単純(simple)なものと複合(complex)なものとがあり、全ての観念は印象から生まれると主張した。
そして印象は観念の源泉となるが、観念から印象は生じないとした。
これらの観念が結合することにより知識が成立され、この結合についてはヒュームは二種類の関係を想定した。
 一つを「自然的関係」と呼び、もう一つを「哲学的関係」と呼んだ。
 前者は「類似(similarity)」「時空的近接(contiguity)」「因果関係(causality)」であり、後者は量・質・類似・反対および時空・同一性・因果である。

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