生徒指導とプログラミング的思考
心理カウンセラー竹内成彦氏の講演会で、働かない我が子(成年)に対してきちんとダメと言うべきだとの指摘があった。
大人になるということは、経済的自立・自分でメシを食えること。
生物学的に言うと、さらに「子孫を残す」という条件が入る。動物の中で子孫を残すことに興味をもたないのは人類だけだ。
◆「働きたくないのか、そうかそうか、無理しなく働かなくたっていいぞ」
◆「お金がないから万引きしちゃったのか、そうかそうか、じゃあお小遣いを値上げしようかな」
といった対応では、いつまでたっても子どもは自立しない。
そりゃそうだ、居心地の悪さがなければ、現状を変えるモチベーションは上がらない。
カウンセラーの元にお手上げの保護者が来院するが、肝心の子どもに「困り感」がないと何も変化しないそうだ。
子ども自身が、「このままではいけない」と自覚しない限り、治療には結びつかない。
◆働きたいか、働きたくないかは問題ではない。
そこにあなたの選択肢、つまり分岐点はない。
大事なのは、自分一人で生活できるか、できないかだ。
働かずに自分1人で生活できるんだったら、誰も責めはしない。
しかし、自分1人では生きていけない状況であるのに、働きたいか働きたくないかの選択肢を持ち出して
「だって働きたくないんだもん」
「そうか、そうか無理して働かなくてもいいぞ」
といったずれた親子の会話が成立してしまう事例がある。
むしろ親が「オレの死後、我が子がどうなろうか知った事ではない」と現実逃避(未来逃避)しているとしか思えない。
プログラミング的思考で言えば、
◆「働きたいか、働きたくないか」で分岐するのではなく
◆「自分は一人で生活できるか」で分岐せねばならない。
自分1人で生活できるなら、今のままでよいかもしれないが、
自分1人で生活できないなら、どうしたらよいか考えねばならない。その選択肢の1つが「働く」だ。
これは、下記の英語のフレーズについて書いた、かつてのダイアリーと重なるところだ。
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問答無用? 〜Whether you like it or not〜
平成30年11月26日の「ラジオ英会話」の内容に感激した。
◆Rika, I don’t like cleaning the classroom every day. It’s so boring.
リカ、僕は毎日、教室を掃除するなんて嫌だよ。とてもつまらないし。
◆Whether you like it or not isn’t important.
We have to do it. It’s part of being a student at this school.
あなたがしたいかどうかなんて問題(重要)じゃないのよ。私たちはそれをしなければならない。それはこの学校の生徒であることの一部なんだから。
◆In the U.S., students don’t have to clean the classroom.
Professionals do it at night.
アメリカでは、生徒は教室を掃除しなくてもいいんだ。専門の業者が夜やってくれるからね。
◆Well, that’s the American way, but we are in Japan.
This is the Japanese way.
それはアメリカのやり方だけど、私たちは日本にいるのよ。これが日本のやり方なの。
Whether you like it or not あなたがそれを好きかどうかは
Japanese way 日本のやり方
https://fujiijuku.net/radio-english/2018-11-26-l156/
「あなたが好きか嫌いかは問題ではない。」
「アメリカではどうかは関係ない」
「これが日本のやり方なんだから。」
・・・こうした言い切りができることは、すごく大事で、保護者も学級担任は、ビシッと言わないと統率が取れない。
いつでも「問答無用」では、不満を抱かせるが、ダメなものはダメ、決まりは決まりと毅然とした態度で対峙する力強さはほしい。
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以前は「ダメなものはダメ」と解釈した。
今は「分岐させる箇所が違うのだ」と解釈している。
◆「掃除がしたいかしたくないか」は、分岐にならない。
分岐が必要なのは「あなたは本校の学生かどうか」である。
そして、「本校の学生」であるならば順次処理で「掃除をする」しかない。「やる・やらない」の分岐はない。
あるいは、分岐が必要なのは「ここはアメリカか、日本か」である。
そして「ここが日本」であるならば順次処理で「掃除をする」しかない。「やる・やらない」の分岐はない。
分岐点を間違えてはいけない。
分岐点のすり替えにごまかされてはいけない。
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