「PISA型読解力」をどう捉えるのか?
平成17年12月文部科学省より出された「読解力向上プログラム」に、PISA型「読解力」の定義がある。
◆自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力
◆なお、PISA調査の「読解力」とは、「Reading Literacy」の訳であるが、わが国の国語教育等で従来用いられてきた「読解」ないしは「読解力」という語の意味するところとは大きく異なるので、本プログラムでは単に「読解力」とはせずに、あえてPISA型「読解力」と表記することとした。
・・・本来、「Reading Literacy」と書くべきところを「PISA型読解力」としてしまった。
なのに、冊子のタイトルは「読解力向上プログラム」。
従来の「読解力」とは大きく異なると明記しているが、世の中は保守的なので結局意識が変わらない。
2019年になってもマスコミは「PISA型読解力」「Reading Literacy」と書かずに、「読解力」と表記して騒ぐ。
そして順位が下がると従来型の読解力の強化を図る。
ダメじゃん。
PISA調査の「Reading Literacy」は、従来の日本の読解力とは大きく異なる。
「Reading Literacy」に沿った対応をしなくては成果が上がるわけがない。
それが、学力テスト、大学入試問題であったはずだ。
せめて、教師は、従来の読解力と、「PISA型読解力」を明確に区別して、その対応策を意識するべきだ。
それでも曖昧なら、やはり原点に戻って「Reading Literacy」の言葉を用いた方がいい。
①ハイブリッド読解力
②PISA型読解力=Reading Literacy
③基礎的読解力
④基盤的学力
⑤情報リテラシー
⑥汎用的読解力
これらが同じ意味なら、多種多様な言葉を使う必要もない。
人によって多様に解釈される危険があるなら、しっかり整理しないと、進むべき方向がずれていく。
※なお、紛らわしい概念に「クリテイカル・シンキング」がある。
この「批判的思考」と「リテラシー 」も極めて近い概念で、厄介なのだ。
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