論理化=具体化と抽象化の往復作業
例えば、自分の好き嫌いを分析する場合は、具体化して考えてみる(実話ではありません)。
①カツ丼いいなあ。
②ラーメンもいいなあ。
③チャーハンもいいなあ。
その後、①②③の3つの具体例から共通項を見出す。
◆ということは、結局、俺って脂っこいものが好きなんだ。
◆色々あるけど、要するに俺って脂っこいものが好きなんだ。
これが「抽象化」である。
キーワードは
「ということは」「つまり」「要するに」「結局」
だ。
その後、「抽象化」から再度「具体化」を導く。
◆ということは、俺って天ぷらも好きかな。うん、確かにそうだ。
◆ということは、俺って魚より肉が好きかな。うん、確かにそうだ。
具体と抽象の往復活動・・・それが「論理化」である。
楠木建氏の「経営センスの論理」(新潮選書)の6章。
「思考の論理」ということで、「抽象」と「具体」の往復運動について数ページ書いてある。
◆抽象的な思考がなければ具体についての深い理解や具体的なアクションは生まれない。P211
◆実務経験がある人でも、具体的な経験はしょせんある仕事や業界の範囲に限定されている。抽象と具体の往復運動ができない人は、いまそこにある具体に縛られるあまり、ちょっと違った世界に行くとさっぱり力が発揮できなくなってしまう。
また、同じ業界や企業で仕事を続けていても、「抽象化や論理化ができない人は、同じような失敗を繰り返す。ごく具体的な詳細のレベルでは、ひとつとして同じ仕事はないからだ。
必ず少しずつ違ってくる。抽象化で問題の本質を押さえておかないと、論理的には似たような問題に直面したときでも、せっかくの具体的な経験をいかすことができなくなる。P217\
・・・「授業の腕をあげる法則」の10原則は、いはば「抽象化」だ。
この原則は、具体例が身に染みるから、体に入って来る。
体験の少ない学生よりは、数年、学級がうまくいかない体験をした先生の方が、具体例に共感できるから、抽象化された10の原則の意味や価値に気づくことができる。
そして、10の原則が、自分のふだんの授業行為、指導場面のどこでどういかせばよいかを具体的に考え実行してみることで、その原則の意味や価値にさらに気づくことができる。
これが「抽象と具体の往復」だ。
「抽象から具体」が弱い人は、書籍に載った場面でしか追試できない。原則を自分の実践に応用できずに終わってしまう。
「具体から抽象」が弱い人は、自分がうまくいったとき・自分がうまくいかなかったときの原因を、共通化できない。うまくいった実践が「たまたま」で終わったり、うなくいかなかった指導をその後も繰り返したりする恐れがある。
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