国語の学習は「テキストを正確に詳しく読むこと」
TOSSMEDIA「向山型国語教え方教室⑧学テ・PISA型読解力を育成する授業づくり」で、向山洋一氏の巻頭論文が見ることができる。
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さて、国語の学習での「読み」とは、「テキスト」(教材)を「読む」ことが中心となる。
正確に読むことである。
一字一句にも、心を配って読むことである。
深く読むことである。
国語の学習とは、いかなる国においても「テキストを正確に、くわしく読む」ことが中心なのである。
教材を紙芝居にして発表するなど、信じられない学習である。
ある県の公開発表では、「野菜」についての説明文の授業で、「野菜の気持ちになってみよう」という「芝居」を発表していた。
これでは、「文を読む力」がつくわけがない。
PISA型テストとは、国語学力テストB問題とは、つまり「テキストを正確に読みとる」という問題である。
これまでの日本の国語授業の常識を超えて「さまざまな文」「さまざまな表現」「長文」からも、「正確に読みとりなさい」ということなのである。
それを基本にして、「自分の考え」を問うているのである。
これは向山型国語が一貫して追究してきたことである。
「テキストを正しく深く読む」授業をすすめよう。
(教室ツーウェイ2007年9-10月39号)
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教師が、問いと答えに敏感でなければ、子どもの言語感覚は育たない。
このような細部にこだわった指導が「向山型一字読解指導」だと理解している。
以下、『向山型一字読解指導』東田昌樹先生の著書より引用する。
◆私は「問い」と「答え」の基本を学ばせるために、学期に一、二度は「一字読解」という指導法をする。
というのが、『向山型国語教え方教室」(2000年10月 呼びかけ号)の巻頭論文での主張だ。
もう少し詳しく引用する。
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子どもの行ノートに、番号をつけさせる。
一行に一問を答えさせるのである。
通例は、ノートには答えを書かせるが、時として「問い」を書かせる時もある。
「問い」について、まるで習っていない子どもたちには、最初は「問い」も書かせる。
教科書のタイトルから読み始めて、イチイチ問題を出し、ノートに書かせ、答を言い、丸をつけさせるのである。
説明は簡単にして、テンポよく進める。
話し合いなどはさせない。
最初は、例えば「この作品の題は何ですか」あるいは「作者は誰ですか」ということになる。
簡単だ。簡単でいいのである。
こういう問題を20問、30問と続けて出して、基礎体力をつけるのである。
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・・・「イチイチ問題を出し」という表現、がたまらない。「基礎体力をつける」という主張にゾクゾクしてしまう。
『教室ツーウエイ』1994年10月号では「国語のテストの答え方」について、次のように述べているとある。
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「どんなこと」と聴かれたら、答えは必ず「こと」で終わること。
「どんな気持ち」と聞かれたら、答えは必ず「気持ち」で終わること。
このようなことは、基本中の基本だ。
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・・・ 向国の呼びかけ号には「テストの解き方の基本パターン15」が示されている。
東田氏は「向山型一字読解指導10の原則」の原則9として「テストの解き方15パターンを意識せよ」を挙げている。
テストの解き方と一字読解はセットだというと、必ず受験テクニックの指導だという批判があるが、そうではない。
目的は「問い」と「答え」の基本を学ばせ、基礎的な読解力をつけることである。
だから、新井紀子氏の主張する「基礎的読解力の保証」が可能になる。
教科書の内容が正しく読み取れない子をなくすには、一字読解のような取り組みが最適だ。
しかも、テンポよくやれば、1時間で作品全体の内容を網羅できる。
場面に分けて当たり前のこと当たり前の言葉に置き換えるフニャケタ授業から脱却できるのだ。
授業時間が不足する中で指導内容の厳選が求められる。向山型国語・一字読解の指導が威力を発揮する!
※向山氏の向国呼びかけ号巻頭論文は、TOSSMEDIA「向山型国語教え方教室❶」で見られます。
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