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August 14, 2020

物語の展開(プロット)を考える 〜「ベストセラーコード」①〜

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​『ベストセラーコード』(日経BP社)は、たまたま目にした1冊だが非常に興味深いものだった。


「テキストマイニング」によって、コンピューターがヒット作品の傾向を分析する。
そして、トピック構成、プロット、文体、キャラクターなどの傾向から新たなベストセラー作品を予測する。
 

◆小説であれ、映画であれ、舞台であれ、物語の基本は3幕構成であり、それは古代ギリシャの時代から変わらない。一般的には設定、対立、解決と言われており、簡単に言えば、ストーリーが盛り上がり、クライマックスに達し、その後収束する、という流れになる。この基本を身に付けている作家であれば、物語の3分の1のところで話を転回させ、さらに3分の2のところで再び方向を変えることを意識するだろう。129ページ

・・・ストーリーのパターンについて読んでいて、手塚治虫の作品傾向からAIが作成した「ぱいどん」を思い出した。
TEZUKA2020の企画は、多くの手塚作品から、AIが、手塚らしさを抽出し新作を作り出そうとするもので、ヒット小説を予測する「ベストセラーコード」の過程とよく似たプロジェクトだ。

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物語の展開は「発端」「展開」「結末」の3つに分けられ、さらにその中で「日常」「事件」など13の段階に分けられるということがわかりました。

日常 事件 決意 苦境 支援 成長 転換  試練 危機 糸口 対決 排除 満足

映画など大方の作品はこの13個のパーツで収まっています。
つまり、この流れに基づいていれば、少なくとも一貫性があった話として、腑に落ちるプロット(あらすじ)になる可能性が高いということです。

手塚治虫の新作漫画に挑んだ裏側 ーAIを活用したあらすじ&キャラクター生成 2020年7月3日
https://ainow.ai/2020/03/06/190130/
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・・・「フェイズ」=局面は、馴染みのない言葉だったが、この13の「フェイズ」は、「プロット」のパーツと言えるだろうか。

「ベストセラーコード」では、「プロットライン」という言葉が出てくる。「小説の中で描く登場人物ひいては読者の感情の浮き沈み浮き沈みを示したもの」の意味で、この「フェイズ」と「プロットライン」がよく似ている。
この「プロットライン」は、「センチメント分析」と呼ばれる「感情の分析」に通じるもので、感情の起伏がグラフ化される。これも初耳。

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◆感情といった目に見えないものをどうやってとらえて、書きあらわしているのだろうか。実は、自然言語処理の世界には感情のアップダウンをとらえて、曲線で表現する方法がすでにある。センチメント分析と呼ばれるもので、実際にオンライン映画や商品のレビューの分析などに利用されているが、私たちは同じツールを使って物語も分析できることに気づいた。簡単に言えば、ポジティブな感情をあらわす言葉とネガティブな感情をあらわす言葉に注目しながら物語を読むことをコンピューターに教えたのである。p145

◆物語の中でこうしたポジティブな感情とネガティブな感情は積もったり、消散したりする。小説はそれぞれが独自の旅であり、著者は困難にぶち当たったり、乗り越えたりする登場人物を通して読者に様々な感情を体験させる。こうして積み上がった感情はストーリーにとっての句読点となり、コンピューターが発見する感情の高みや落ち込みは重要な転換点になる。こうしたデータを使ってコンピューターはグラフを描く。
 たくさんのプロットラインを分析してみて、ベストセラーは基本的な3幕構成のいずれかの形を取っていることがわかった。147ページ
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・・・第3章 「センセーション 完璧なカーブをどうやって作るか」は、ベストセラーとなる作品のプロットラインには7つのタイプがあるというもので、この図を見たとき、いわゆる「心情曲線」の事かとびっくりした。

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ちなみに、「ダヴィンチ・コード」のフェーズは次にように分析されている。
 

講演会 →死体発見 → モナリザの謎を解く →ファーシュから逃げる → ソフィーが謎を解く
→ テイーピング宅襲撃 → テンプル騎士団の謎が解ける → レミーとシラス→ すべての謎が解ける


・・・心情曲線は授業で使ったことがないが、使った授業を見たことはあるし、実践記録をWEBで見たことがある。
「プロットライン」「センチメント分析」など、これまで自分がやらないからと軽視してきたが、馬鹿にできないかもしれない。

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