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August 14, 2020

ヒーロー・ヒロインの「動詞」の特徴 ~人格は運命なり~



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「ベストセラーコード」(日経BP社) は、「テキストマイニング」によってコンピューターがヒット作品の傾向を分析した様子を描いている。トピック構成、プロット、文体、キャラクターなどの傾向から新たなベストセラー作品を予測する。
 
第5章の「ノワール 『ガール』は何を求めているか」の章は、人物キャラクターの分析である。

強いキャラクターには行為主体性(エージェンシー)がある。パワーがあり、動機があり、推進力がある。その力を駆使して何をするか、そしてどういう邪魔が入るか、というのが、キャラクター重視の小説の読みどころだ。P215

この後のキャラクター分析を読んで感じたのは、主人公であるヒーロー・ヒロインの行動は、確かに小説の中の出来事ではあるが、現実世界でも、やはり憧れの行動になる点だ。
魅力ある人物の「行為主体性=エージェンシー」を分析するために、コンピューターは「動詞」に着目する。
 
◆そのキャラクターがどういう人物なのか、読者が判断するための手がかりは外見、性別、人種などたくさんある。しかし、その人物の行動を見るまではその人を本当にわかったことにはならない。この研究において私たちが知りたいのは、ベストセラーにつながる動詞、行動があるのかどうかと言うことだ。217ページ

◆ベストセラーの主人公は男女問わず、必ず何かを必要として(need)いて、それを表明している。必ず何かほしがって(want)いて、読者は主人公が求めているものを知る。needとwantは、ベストセラー小説には欠かせない動詞なのだ。
(中略) 
ベストセラー小説の世界では、登場人物は自らの行為主体性を自覚し、コントロールし、表現する。使われる動詞は迷いがなく、自信が伴っている。彼らはつかんで(grab)、実行し(do)、考えて(think)、訊いて(ask)、見て(look)、離さない(hold)。そして、愛する(love)。彼らは自分をよくわかっている。自分自身を好きであるとは限らないが、自分をしっかりと持っている。自分の人生を生きて、ことを起こす。ベストセラーのキャラクターは男女問わず、伝えて(tell)、好み(like)、見て(see)、聴いて(hear)、笑って(smile)、達成する(raach)。そこにはエネルギーがある。引いて(pull)、押して(push)、何かをはじめ(start)、働いて(work)、知り(know)、そして到達する(arrive)。ニューヨーク・タイムズのベストセラーリストに載るキャラクターは、目的と能力と自信を持ちあわせている。一方、リストに乗らなかった小説では、これらの動詞が見られる回数は少なくなる。
 
 自信を持って行動するキャラクターとは対照的なキャラクターを見てみよう。モデルが抽出した結果によれば、彼らはあまり何かをしようとせず、求めず、行動せず、語らず、達成しない。そのかわり、立ち止まり(hart)、諦める(drop)。ところが読者は、一方的に要求しながら(demand)、見かけだけではっきりせず(seem)、じっと待って(wait)、邪魔をする(interrupt)キャラクターにはつきあいたくはないと思っている。読者は見かけだけではなくてはっきりさせて欲しいと思っている。
待つのではなく、行動してほしいと思っている。要求して邪魔をするのではなく、自信と品格を持ってほしいと思っている。魅力のないキャラクターは、男でも女でも、声を張り上げて(shput)、放り投げ(fling)、突然向きを変えて(whirl)、相手を押しのける(thrust)。勘弁してほしいと思うだろう。さらには、ぶつぶつと文句を言い(murmur)、抗議して(protest)おきながら、ためらう(hesitate)。読者は呆れるに違いない。これらの動詞は物語の主人公というより、ぐずる子供のためのものだ。「ためらう者は機会を逃す」というが、小説にもあてはまるようだ。「ためらい」はページをめくらせない。あなたが小説の登場人物で、立ち止まったり、あきらめたり、ためらってばかりいるとしたら、それは空白のページを生み出しているに等しい。P221~222
 
・・・この後もキャラクター分析は続くが、要するにヒーローヒロインの積極的な生き方が読者の支持を得ることが分かる。
ベストセラー小説から列挙された動詞を見るだけで、「アクテイブ・ポジテイブ」が感じられる。
それは無論小説だけのことではない。日常生活においても積極的な生き方をする人物が求められ信頼されることの証だと思う。

我々教師は、現実社会の中で、子どもに良い意味で影響を与える「行為主体性」を持っていたいと思う。

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