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September 18, 2020

教育における「父性」と「母性」のバランス

 

「学校でもっと厳しくしてほしい」と保護者から言われることがある。
 
「父性」と「母性」の発揮の仕方が問われているのだと思う。
 
父性度の高さは例えば次のような傾向に現れる。
①妥協しない。簡単に許さない。
②ルールは厳正に守らせる。
③子供が乗り越えるための壁になる。
 
母性度の高さは例えば次のような傾向に現れる。
①まずは受け止める。受け入れる。
②厳しく叱らない。
③教師の穏やかで優しい対応が、しなやかな学級を育てる。
 
それぞれ短所もある。
 
父性的な先生は、大声で叱責し、威嚇するから、子供が怖がっている」というような苦情を受ける。
母性的な先生は「優柔不断で結局許してしまうから、しまりがない。子どもがわがままになってきた」というような苦情を受ける。
 
自分の傾向を知り、両方を使い分けることが大事だと言われているが、どの先生も自分の逆の立場からの批判を受ける可能性があると覚悟しておくとよいのかもしれない。
教師がチームになって、父性と母性の役割分担をすることが大事だと言われるが、学校の傾向としても、我が校が父性的か母性的か、分かれるのではないだろうか。
 
子供を受け入れて安心させる母性型の指導は、子供に嫌われることもないので実行しやすい。しかし子供が好き勝手するようになると歯止めがきかなくなる。
 
小学館の「小三教育技術」2017年10月号では次のような注意事項が述べてある。
 
【父性タイプの教師】
×強すぎる大声は子供を委縮させる。
×厳し過ぎるとクラスのムードがピリピリすることも。
×最近の子供は忍耐力がないので要注意。
× 干渉しすぎも子供が嫌う。
 
【母性タイプの教師】
×まずルールの守れないような子供にしてはならない。
×見守りすぎて手遅れにならないように。
×ときには理屈も出さないと、信用されない。
×許してはいけないことを見逃さない。
 
・・・バランスの問題ではあるが、今回は、保護者から担任の対応が「甘やかし」との批判を受けた。
「父性」の指導が足りなかったのだ。
 
厳しい保護者が求めるような「力の指導」をしろということではない。
 
向山洋一氏の言葉で言えば

「子供の中に権威を打ち立てよ」

だ。

「権威である。権力ではない。権力(たとえば腕力で)打ち立てた力は弱くもろい」と但し書きがある。
 
◆アドバルーンを叩く
◆ダメな場合はきちんとやり直しをさせる
 
といった指導の一貫性をこころがけ、子どもに不安や不信を抱かせないようにする。
その程度の「父性」を発揮しなくては、教室を統率することはできない。
なめられるような行為を繰り返せば、子どもが「この先生は、なめてかかってもいい」と誤学習するのは当然なのだ。

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