要約は、総合的な表現活動である(1)
(1)大事な箇所を絞り込む
大事な部分に線を引くように指示すると、何行も線を引く子がいる。一文どころか二文・三文とまたいでしまう。自信がないから絞れないのだろう。
だから、次のように、飾りの部分を削り大事な句や単語まで絞り込ませる訓練が必要になる。
◆「環境を大事にすべきではないでしょうか」→「環境を大事に」
◆「秘密を発見することができた」→「秘密を発見」
・・・要約指導は、主に理解活動として扱われるが、この「大事な箇所を絞り込む」を含む日々の表現活動の訓練の成果が如実に現れる。
1 常体で書く訓練
2 文末の「思う」を削る訓練
3 主語述語を見抜き、修飾語を削る訓練
4 「まず〇〇について述べる」のように、主張内容を〇〇で括る訓練(ラベリング)
5 意味段落に見出しをつける訓練(ラベリング)
6 主張や結論を先に述べる訓練
7 統括語や同義語等で縮める訓練
(2) ラベリング
作文やスピーチに取り組むと、「要するに何が言いたいのか」がはっきりしない子がいる。
主張や結論を明確に表現させる訓練の一つが、「次の○○」の部分のように予告文を入れたり、まとめの言葉を入れたりする「ラベリング」だ。
これが、上の5、6に該当する。
◆「まず○○について述べる」
◆「結論は○○である。その理由を二つ述べる」
◆「以上で、○○の発表を終わります」
本文が「具体」であるのに対して、ラベリングの言葉は「抽象語・統括語」になる。
このラベリングが難しいのは、文中にない言葉に置き換える場合だ。抜き出しなら容易だが、自分で考えるのは難しい。
◆「ちょっ、あんないたずらをしなけりゃよかった」 →「後悔」
◆栗や松たけを運ぶ →「償う」
◆ごんのしわざだと勘違いして撃ってしまう →「誤解」
など、状況や心境を端的に表す適切な言葉を自分で考える訓練が必要で、これが上記の7だ。
受験でも「主人公の心境にふさわしい語を次から選べ」といった設問がある。答えに幅ができるから選択肢問題になる場合が多い。
同義語・類義語・対義語・抽象的な語彙をどれだけ身に付けさせるかで、要約文の質は、がらりと違ってくる。
だから「語彙」の指導が重要になるのだ。
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