語彙力を鍛える(2)
樋口裕一氏の2冊の本。
◆「『頭がいい」の正体は読解力」 幻冬舎新書 2019年11月版
◆「すばやく鍛える読解力 」幻冬舎新書 2020年9月版
どっちがどっちか分からなくなるほど、同じようなテーマ。全く同じ内容の部分もある。
(1)語彙力を鍛える
(2)文章力を鍛える
(3)読解力を鍛える。
2019年の書籍を、2020年に焼き直したという印象が強い。
語彙力を鍛えるためには「言い換え力」が大切だと説き、練習問題を課している点は同じだが、2020版は、リニューアルして7つに減っていた。
①提示された一文に合う具体例を示す
②提示された一文に合うまとめの言葉を入れる
③持って回った表現をわかりやすく書き直す
④漢字熟語などを加えて簡潔な文に変える
⑤直接表現を婉曲表現に書き直す
⑥「言う」「行く」などを別の表現に改める
⑦古文を現代文に訳す
・・・この中で、まず、面白いと思った1つが⑥。
「言う」は、抗議する・叱る・語る・つぶやく・ぼやく・約束するなど、場面に応じて様々な表現が可能だ。
逆に場面状況を理解しないと、適切な「言う」の代案が出てこない。
こういう指導は、とても大事だと思う。
光村図書の「国語教育相談室(小学校)」98号にあった実践は、セリフ中心の「お手紙」で、「言いました」で終わりそうな箇所に、別の表現を入れてみようという試みだ。
https://sns.toss-online.com/u/54vxkxbuoo/gufhfoyok6usjt
これぞ、語彙指導の授業だ。
続いて、面白いと思ったのが③と④。例文が良いので納得感が強い。
③は、わかりにくい文を、やさしい文に改める問題
◆政府の度重なる失態が原因で国民の信頼が失われ、その結果として経済が末期的症状を呈するに至ったため(後略)
→政府が何度も失敗したため、国民が信用しなくなりって経済がひどいことになったので・・・
④は、③の逆で簡潔に言い換える問題
◆子どもたちが勉強したいという気持ちをだんだんともたなくなっているのが、勉強できない子が増えている原因だと思うが(後略)
→学習意欲の減退が学力不足の子どもが増加している原因だと思うが・・
・・・子供の言い訳が冗長すぎるとき「結局、何があったの?」と結論をきちんと言わせるのは、まさに、この③や④の対応なのだと思う。
やさしく言い換えたらかえって分かりづらくなることもあるし、簡潔に言い換えたら熟語が多くてかえって分かりづらくなることもある。
そのバランスを調整できるのが「語彙力」だ。
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