新井紀子氏のアドバイス 〜時系列をまとめるフォーマット〜
新井紀子氏のRST(リーデイングスキルテスト)を特集した5分程度のニュースがある。
2020年2月の映像だ。
https://www.youtube.com/watch?v=udNdUzrkAMg
後半に、理科の実験結果を1つの文にまとめることについての新井氏のコメントがある。
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特に理科の場合は、時系列で物事が動くっていう意味で、非常に特徴的な科目です。
最初は何々していたが、徐々に何々して、やがてどうなった みたいな理科に特有の言葉というのがあり、
そのような接続詞を使って一文にまとめるっていうのは、国語の授業ではなかなかできないようなものの書き方、指導・・・
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新井氏の読解力指導は、「読み方」であり「書き方」であることも分かる。
さて、理科の場合は時系列で物事が動くから国語とは違うというような話だが、ここは疑問だ。
国語の物語作品は大半が時系列だから
◆最初は何々していたが、徐々に何々して、やがてどうなった
◆最初は何々していたが、やがて何々して、最後はどうなった
という「はじめー中ー終わり」の形で一文にまとめることが可能だ。
例えば、国語の「大造じいさんとがん」。
これは、行動の変化というよりは心境の変化だ。
じいさんのガンを捕まえる猟師としての行動に変化はないからだ。
(はじめ)ガンを捕まえることだけを考えていたじいさんが
(徐々に) 残雪の知恵や勇気(頭領らしさ)に心を打たれて
(最後には)残雪と堂々と戦おうと決心する
といった具合に一文になる。
ただし、(はじめ)の部分は、作品を最後まで読まないと、このような表現にはまとめられない。
「いまいましい」「たかが鳥」「あの残雪め」といった表現が重要な意味をもつかどうかは、最後まで読んでみないと分からない。
「ただの鳥に対しているような気がしない」
「いかにも頭領らしい」
「がんの英雄」「えらぶつ」
という表現が出てくるから、その対比表現として、あらためて物語の前半の意味が分かることになる。
あえて、行動の変化でまとめてみると
(はじめ)ガンを捕まえようと作戦を練ったじいさんが
(中) 残雪の狙うのをやめ(銃を下し)
(最後には)残雪をおりから放ち、見守った。
といった具合に一文になる。この場合は、真ん中にクライマックスを入れるのが妥当だろう。
冗長になるが、心情と行動の変化を合体させると、次のようになる。
(はじめ)ガンを捕まえることだけを考えて、作戦を繰り返してきたじいさんが
(中) 残雪の知恵や勇気(頭領らしさ)に心を打たれて、銃を下し
(おわり)堂々と戦おうと決心して、残雪をおりから放ち見守った。
ところで、算数の文章問題も時系列でとらえられるものが多い。
(はじめ)学年だよりを115枚印刷しました。
(なか) 35枚ずつ束にしていくと、
(おわり)何束できて何枚あまりますか?
時系列のテキストは、教科にかかわらず「はじめ、 途中で、 最後に」の観点でまとめられると考えるとスッキリする。
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