要約は総合的な表現活動である(2)
かつて、中三の教科書(光村図書)に「要約文の書き方」のコーナーがあり、次のような解説があった。
◆字数の制限に合わせて、この3つの要点を短くまとめたり、必要なことをやったりして、意味がよく通るようにつなぎ合わせていくと、正しい要約ができあがる。
・・・ これは「桃太郎」を文末にして「鬼退治」「犬・猿・きじ」を含めて20字でまとめる向山型の要約法と同じである。
ちなみに松本成ニ氏の次の主張も同じ意味である。
◆「○○字の要約」を求める場合、ともすると文中の<単語>を適当に抜き出して字数制限いっぱいにまとめ上げる人がいるが、それは根本的に間違っている。Sum up または Summarizeという作業は文章中の<命題>を大事な順に抜き出して足していくのである。「現代文の科学的研究1 評論編」あずみの書房 26ページ
・・・主人公や題名を第一キーワードを決めたら字数制限まで拡大させる。
要約なのに「字数を増やす」ことができるのだ。
◆つぐないが通じず兵十に撃たれた「ごんぎつね」
◆「アップでルーズ」の違いを生かして効果的に伝える
◆「三つのお願い」で一番大切なものは友達だと気づいたレナ
◆「初雪のふる日」に白うさぎにさらわれそうになった女の子
・・・ なお、松本氏は前掲書で、「モチーフは、テーマをさらに煮詰めて『〇〇の××』のようなフレーズ(句)の形に直したもの」と述べている(49ページ)。「桃太郎」の要約指導は、句の形で表現させるモチーフ型ということになる。
蛇足ながら、向山洋一氏の実践の1つ、「恵理子は昨日新潟に行った」を「恵理子」「昨日」「新潟」で終わる一文に書き直すレトリックの指導は先の要約指導につながっている。
要約指導が日々の表現活動の訓練の成果であることがよく分かる。
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