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December 03, 2020

「能動的な学び」の理解を深める(今さらですが)

市内の研究指定校でアドバイザーをされていた高橋純先生の講演を視聴した。

新学習指導要領の解説として印象に残ったのは

①能動的な学び
②知識・理解の質の向上


この2点は、正直なところ、今まで意識してこなかったので、驚きでもあった。

①は、総則解説のP3にある。
実に長い一文である。

◆子どもたちが、学習内容を人生や社会の在り方と結び付けて深く理解し、これからの時代に求められる資質・能力を身に付け、生涯にわたって能動的に学び続けることができるようにするためには、これまでの学校教育の蓄積を生かし、学習の質を一層高める従業改善の取組を活性化していくことが必要であり、我が国の優れた教育実践に見られる普遍的な視点である「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善(アクテイブ・ラーニングの視点に立った授業改善)を推進することが求められる。

・・・「受動的」の対語が「能動的」だから「受け身でない学び(従来の詰め込み型とは異なる学び)」を推奨していることが分かる。ただし「主体的」とどう違うのかは、正直、疑問。


さて、この「能動的な学び」の背景は、総則解説の冒頭「改訂の経緯」とつながっている。

◆今の子供たちやこれから誕生する子供たちが、成人して社会で活躍する頃には、我が国は厳しい挑戦の時代を迎えていると予想される。生産年齢人口の減少、グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により、社会構造や雇用環境は大きく、また急速に変化しており、予測が困難な時代となっている。
(中略)
このような時代にあって、学校教育には、子供たちが様々な変化に積極的に向き合い、他者と協働して課題を解決していくことや、様々な情報を見極め知識の概念的な理解を実現し情報を再構成するなどして新たな価値につなげていくこと、複雑な状況変化の中で目的を再構築することができるようにすることが求められている。


キーワードを抽出すると

①厳しい挑戦の時代
②予測困難な時代
③新たな価値の創造
④協働して課題解決
⑤知識の概念的な理解
⑥情報の再構成
⑦複雑な状況変化の中で目的の再構築


コロナ禍の学校休校中は、よく「学びを止めるな」と言われたが、これからの世の中は、昨日の学問が通用しないほど変化が激しい。

生涯にわたって自分が活躍するためには、生涯にわたって自分で課題意識をもって、学び続けねばならない。
それが「生涯にわたって能動的に学ぶ」の意味だ。中教審答申に出てくる「自己のキャリア形成」とも重なってくる。


学力調査で課題になったのが、諸外国に比べて家庭学習の時間が少ないことや読書の時間が少ないことだ。
「自分のための学び」の意識が薄いから、家に帰ったら勉強しないし読書もしない。自宅のPCやスマホは、エンタメにしか使わない。
あるいは、大学入学がゴールになっていて、大学に入ったとたん、学びをやめてバイトにあけくれてしまう。

子どもたち(というより我が国のすべての人々)が、能動的に新たな課題に向かって創造的に取り組まないと、国家が傾くという危機意識が、「総則」の文面に表れている。

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