テキストを鵜呑みにしないために、「拡散的思考」で読む。
一読総合法では、教材文のシートに「書き込み」をしながら読ませていく。
宇佐美寛氏は「ケンカ読み」と言って一文ずつ疑って読むことを勧めた。
ずいぶん前の「ウミガメのはまを守る」(小四 東京書籍)の授業メモが出てきた。
第一段落は次の通り。
静岡県御前崎町のすなはまには、毎年五月から九月にかけて、アカウミガメがたまごを産みに上陸します。その数は百頭以上、多い年は五百頭を超えます。毎年これだけの数のアカウミガメが上陸するすなはまは、それほど多くはありません。
・・・最初は、要約で授業を進めるつもりだったが、本文を見て、ここは導入でもあるし、一文ずつ疑問を出させていきたいなと思った。
「収束的思考」よりも「拡散的思考」を狙ったと言える。
テキストを鵜呑みにしない「情報リテラシー」の態度の育成とも言える。
「主体的に読む」ということになるかもしれない。
◆静岡県御前崎町のすなはまには、毎年五月から九月にかけて、アカウミガメがたまごを産みに上陸します。
①ウミガメが上陸するのは御前崎町だけか。
②なぜ五月から九月なのか。
③アカウミガメってどういう亀なのか。
④アオウミガメはいるのか。
⑤なぜアカウミガメと言うのか。
◆その数は百頭以上、多い年は五百頭を超えます。
⑥最近は減ってきているのか。
⑦今年は何頭来たのか。
⑧五月から九月で上陸する数は違うのか。
◆毎年これだけの数のアカウミガメが上陸するすなはまは、それほど多くはありません。
⑨「多くはない」ということは、他にどこに上陸するのか。
・・・一段落、三文しかないのに、たくさん疑問が出たね、と感心してみせた。
ここで出した疑問について教材の後半で答えが出ることもあるし、教科書だけでは最後まで分からないこともある。
それでも「疑問を出させる」ことは「細部にこだわる」ことである。
確かな意味を確かに読みの力を育てるには細部にこだわるよりも必要であると思う。
この時は「疑問」を用いた。
今なら「わ・き・お」を使って、まずは拡散させるだろう。
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