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October 31, 2021

身体の「超回復」と、心の「トラウマ後成長」

大学時代に「超回復」という言葉を知った。
今はネットで検索するとたくさんヒットする。効果的なトレーニング・負荷と休養のバランスを知る重要なキーワードだ。

ブリタニカ国際大百科事典
◆運動前よりもエネルギーを増加させ大きな回復力を示す現象をいう。一般的に,運動することで筋肉のグリコーゲンは減るはずであるが,休養と栄養補給で逆にふえることがある。こうした反応を利用することで,ゲーム前にエネルギーを大量に貯蔵したり,筋肉を効率よく増強することができる

大辞林
◆強い運動後疲労がたまった筋肉が、休養により運動前より高い筋力を得ること。

「知恵蔵」の1行目のみ。
◆運動で消費された筋肉のグリコーゲン量が、休息と炭水化物補給によって運動前の貯蔵量を大幅に超えて回復を示すこと。

https://kotobank.jp/word/%E8%B6%85%E5%9B%9E%E5%BE%A9-163344

当時、理解した内容も、およそ、こんなところだ。

ただ、今になってネット辞書後半を読むと、ちょっと違うニュアンスが含まれている。
自分は陸上部に所属していたが、体育科ではなかったので、この部分の理解が不足していた。

デジタル大辞泉の解説
強い負荷をかけることで傷つき衰えた筋肉細胞が休息によって回復し、さらに負荷を受ける前よりも筋力が強くなる現象</op:b>。過負荷から2~4日間が超回復の期間といわれ、その期間に過負荷運動を行い、次の回復を待つということを繰り返すことで筋力を合理的に増強できると考えられている。

他のサイトでは、もっとはっきり書いてある。

トレーニングを行うと、筋繊維が破壊される。筋線維が破壊されると、人間の身体は、壊れた組織を修復しようとする。この修復にかかるのが、一般的に24~48時間と言われている。筋線維が壊れてから修復するまでのプロセスを、超回復と呼ぶのだ。
https://moneytimes.jp/sense/detail/id=2827

・・・知っている人にとっては当然のことだ。

トレーニングを行うと、筋繊維は破壊される。
我々は、筋トレと称して、筋繊維・筋肉細胞を傷つけている。
そして、その回復のメカニズムをうまく活用することで、傷ついた筋力を前よりを強くしている。

これが、身体的な回復と成長のメカニズム。

心理的なストレスやトラウマに対して、ポジテイブ心理学の研究では「トラウマ後成長=PTG」と呼ばれる現象があると指摘されている。

以下「トラウマ後成長と回復」ステーヴン・ジョゼフ著 筑摩選書より、


◆現実に研究結果が示しているのは、トラウマになりかねない出来事に直面した多くの人たちのが相応の回復力を持ち、ストレスに屈しないか、屈したとしても急速に回復でき、その後も比較的高レベルの機能を維持できるということだ。p19

◆こういった変化は「ベネフィット・ファインデイング」「逆境後の成長」「自己変革」「ストレスに伴う成長」「スライビング」など様々に表現されてきた。
なかでも、1990年代半ばに二人の臨床心理学者リチャード・テデスキとローレンス・カルホーンが考案した「トラウマ体験後の成長posttraumatic growth」という言葉はもっとも関心を呼び、現在では、トラウマがどのように幸福感を高める足がかりになるかを探求する新たな研究領域を示すものとして広く用いられている。P39

・・・筋トレと異なり、好きで不幸な状況に身を投じる人はいない。
それでも不幸が過ぎた後、それまでの自分より、どこかポジテイブな生き方ができるようになる人は一定数の割合でいるという(無論、苦難に打ちひしがれてしまう人もいる)。

「トラウマ体験後の成長=PTG」は、トラウマ体験前のレベルを超えるという点で、筋トレの「超回復」と同じなのだ(という解説は見られなかったが、自分はそう思っている)

 筋トレは筋肉を傷つけていると知った衝撃
 筋肉の超回復と、心のPTGが酷似していると知った衝撃

 だから勉強はやめられない。

 

PTG関連書籍
①「トラウマ後 成長と回復―心の傷を超えるための6つのステップ」 (筑摩選書)
②「悲しみから人が成長するとき―PTG 」(風間書房)
③「PTG 心的外傷後成長: トラウマを超えて」 (金子書房)近藤 卓

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