授業が子供を傷つける
『教育トークライン』(東京教育技術研究所)2016年1月号 小児発達学博士である和久田学氏の「結局は授業が基本」という論稿より引用。
何も加える言葉はありません。
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授業が子どもを傷つける
とにかく授業が下手だった。
授業者である担任は、子供をじっと見ていなかった。その上、活動がなく、教師の言葉が多すぎる。その学年の子供が理解できる内容でも量でもなかった。もしかしたら一人か二人、必死で教師の言葉を理解する子供がいたかもしれない。だが、教室にいる大部分の子供は、まるで教師を哀れむような表情していた。そして、時々、教室の隅で遊んでいる友達を見る。自分たちの担任がクラスをコントロールできてない事実を認識して悲しい気持ちになっている。その証拠に賢そうな顔をした女の子が、私の参観中、保健室に行きたいと申し出てきた。腹が痛いと言ったが、そうではないだろう。意味の分からない話を続ける教師、 授業中なのに遊んでいる友達が共存する空間の居心地の悪さに、耐えられなくなったのに違いない。
授業のまずさが子供を傷つけ、問題行動に追いやる事実を、 私はこれほどはっきりとは目の当たりにしたことはなかった。
先日、その話を杉山登志郎先生に話したところ、「それをエディケーショナル・アビューズ(教育虐待)と言うんだよ」と教えてくださった。なるほど、授業が子供を痛めつけ、問題行動に追いやっているのだ。確かに虐待だ。それもプロがやっている。私は心底、落胆した。(中略)
全ての子供は良い子になりたいし、勉強ができるようになりたい。授業に参加し、みんなと一緒に活動したい。
だとすると、基本は授業だ。良い授業、理にかなった指導は子供を救う。だからこそ、プロとして、プライドを持って、 すべての子供のニーズに合わせた授業を展開してもらいたい。
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