算数文章題を構造で読み解く
次の2つの文章題を見たとき、迷ってしまった。
【A】
良子はみかんを3個もっています。
邦子が良子にみかんを5個あげました。
良子は今何個のみかんをもっているでしょう。
【B】
良子はみかんを8個もっています。
良子は邦子にみかんを5個あげました。
良子は今何個のみかんをもっているでしょう。
2つを同時に並べられると、間違い探しのようで「どこが違うの?」と困ってしまう。
どちらも、「開始量」「変化量」「結果量」の3文構造になっている。
あるいは「割りあて文」「関係文」「質問文」の3文構造になっている。
よく読めば、2文目が異なっていて、良子さんのみかんが5個増えたAと、5個減ったBの違いが分かる。
大人が「よく読めば」なのだから、分からない子がいても仕方ないのかもしれない。
どちらも良子と邦子の2人が登場するが、誤読しやすいのはAだ。
良子はみかんを3個もっています。邦子が良子にみかんを5個あげました。
開始量は、良子が主体。
変化量は、邦子が主体。
主体を良子に揃えるなら、2文目は
良子はみかんを3個もっています。良子は邦子からみかんを5個もらいました。
になる。増加がイメージしやすいので3+5の立式もできる。
Bの場合は、主語が一貫しているので
良子はみかんを8個もっていて、邦子にみかんを5個あげました。
と減少がイメージしやすいので、8-5の立式もできる。
参考 『子どもは数をどのように理解しているのか』吉田甫(新曜社)
算数の文章問題の基本的な構造は
「開始量」
「変化量」
「結果量」
で示すことができる。
未知数の位置はどこにあるかによって立式は異なるが、「はじめーなかーおわり」といった感じだ。
こうした算数の意味とは違って、文章問題には、次の3つの要素がある。
「割りあて文」
「関係文」
「質問文」
中途半端に2文になっている次のような問題は、3部構造に置き換えると良い。
◆良子はみかんを3個もっています。
邦子が良子にみかんを5個あげたら、良子はみかんは何個になるでしょう。
◆良子はみかんを8個もっていて、邦子に5個あげました。
良子は今何個のみかんをもっているでしょう。
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