« 「思いやり」を育むのは、教師の「相手意識」 | Main | 「風」に無自覚な教師が使う毒語 »

December 28, 2021

算数文章題を構造で読み解く

次の2つの文章題を見たとき、迷ってしまった。

【A】
良子はみかんを3個もっています。
邦子が良子にみかんを5個あげました。
良子は今何個のみかんをもっているでしょう。

【B】
良子はみかんを8個もっています。
良子は邦子にみかんを5個あげました。
良子は今何個のみかんをもっているでしょう。

2つを同時に並べられると、間違い探しのようで「どこが違うの?」と困ってしまう。
どちらも、「開始量」「変化量」「結果量」の3文構造になっている。
あるいは「割りあて文」「関係文」「質問文」の3文構造になっている。

よく読めば、2文目が異なっていて、良子さんのみかんが5個増えたAと、5個減ったBの違いが分かる。
大人が「よく読めば」なのだから、分からない子がいても仕方ないのかもしれない。


どちらも良子と邦子の2人が登場するが、誤読しやすいのはAだ。

良子はみかんを3個もっています。邦子が良子にみかんを5個あげました。

開始量は、良子が主体。
変化量は、邦子が主体。

主体を良子に揃えるなら、2文目は

良子はみかんを3個もっています。良子は邦子からみかんを5個もらいました。

になる。増加がイメージしやすいので3+5の立式もできる。

Bの場合は、主語が一貫しているので

良子はみかんを8個もっていて、邦子にみかんを5個あげました。

と減少がイメージしやすいので、8-5の立式もできる。


参考 『子どもは数をどのように理解しているのか』吉田甫(新曜社)


算数の文章問題の基本的な構造は
「開始量」
「変化量」
「結果量」
で示すことができる。
未知数の位置はどこにあるかによって立式は異なるが、「はじめーなかーおわり」といった感じだ。

こうした算数の意味とは違って、文章問題には、次の3つの要素がある。


「割りあて文」
「関係文」
「質問文」

 

中途半端に2文になっている次のような問題は、3部構造に置き換えると良い。

◆良子はみかんを3個もっています。
邦子が良子にみかんを5個あげたら、良子はみかんは何個になるでしょう。

◆良子はみかんを8個もっていて、邦子に5個あげました。
良子は今何個のみかんをもっているでしょう。

|

« 「思いやり」を育むのは、教師の「相手意識」 | Main | 「風」に無自覚な教師が使う毒語 »

論理」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 「思いやり」を育むのは、教師の「相手意識」 | Main | 「風」に無自覚な教師が使う毒語 »