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December 26, 2021

算数の文章題のつまずきを整理する

計算はできるのに文章題で式が立てらない要因について、次のような指摘がある。

子どもたちが苦手とする文章題のタイプ

◆「Aは5個持っています。AはBより3個少ないです。Bはいくつ?」という問題は、「少ない」と書かれていることから「5ー3」と立式してしまう誤答が目立つという。この場合、文章の意味、数量の対象が理解できていないと捉えられがちだが、子供は問題文に引っ張られると指摘している。

このように、文章題の難しさは、文章の意味理解(読解)ができないということよりも、問題構造が捉えられず、数学的な意味が捉えられない(演算的知識)ために、誤った式を立ててしまうことが原因であり、統合過程のつまずきであることがわかる。

月刊「実践みんなの特別支援教育」12月号P32

 

「算数・数学が苦手な子どもの指導のヒント』の連載で、著者は伊藤一美氏。

連載2回目の今月号は「繰り上がり、繰り下がりの計算と加算、減算の文章題」。

 

◆算数の文章題の問題解決過程は「理解過程」と「解決過程」とに分けられる。

「理解過程」は、一文ずつの意味内容を理解するための言語知識や文理解のための意味的な知識を使う「変換過程」と、そこで理解した意味内容をスキーマを働かせまとめ上げる「統合過程」に分けられる。

「解決過程」は、理解した内容を反映した式に構成するために、どのように立式するかの方略に関する知識を使用する「プラン化過程」と、立式を演算するために四則計算の手続き的知識を適用する「実行過程」から構成される。

 

・・・整理すると次のようになる。

 

文章題の問題解決過程

1、理解過程

①変換過程・・・意味内容の理解

②統合過程・・・意味内容の統合

2、解決過程

①ブラン化過程・・・立式

②実行過程・・・演算

 

「算数文章題のつまずきは、統合過程にあることが知られている」という指摘は、1の②がつまずきやすいという意味だ。

 

◆文章題の難しさは、「文章題の意味構造」と「未知数の位置」が関係している◆

 

という指摘もなるほどと思った。

足し算引き算の文章題の意味構造は「変化」「合併」「比較」の3種類だと書いてある。

①数量が増減するのが、変化タイプ

②全体と部分の関係性を問うのが、合併タイプ

③数量を比較するのが、比較タイプ

 

また、未知数の位置は、変化タイプの場合、次の3種類あると書いてある。

①最初の数量(初期量)が分からない場合。

②変化分(増減した数量)が分からない場合。

③結果が分からない場合。

 

足し算も引き算も、「初期量」が未知数の場合が最も難易度が高いと書いてある。

「はじめにいくら持っていたでしょうか」という形で四角やxを用いて立式するパタンの問題だ。

変化タイプは「初めー中ー終わり」の構造だから、上述の①②③の位置に未知数がくることは、よく分かる。

「比較タイプ」の未知数の位置は、①A ②B ③両者の差 の3種類になる(はず)。

「合併タイプ」の未知数の位置は、①全体 ②部分A ③部分B の3種類になる(はず)。

 

◆文章読解ができることと演算の理解だけでは解くことはできない。そのため、数量関係を捉えることの重要性を低学年のたし算、ひき算の文章題から指導指導しておくこともカギとなる。◆

 

・・・文章題の内容が複雑になる前に、そして四則計算の使い方が複雑になる前に、数量関係を整理したり、図示したりできるスキルを身につけておく必要があるのだと理解した。

それは、低学年の説明文のうちに文章構造をつかんでおく必要がある国語の場合とよく似ている。

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