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April 28, 2022

漢字の読み書きのつまずきについて

かつて、漢字の読み書きのつまずきについて(発見と対策)という1枚のレジメを配布した。

『実践障害児教育』2013年に連載された「読み書きのつまずき発見は支援のチャンス!」村井敏宏氏を参考にした。


1 漢字の難しさには、3点あります。
(1)習う文字が多いこと。
特に3・4年生は1年間で200文字を学習するので大変です。

(2)画数が多く、形が複雑な漢字があること。
小学校で20画の漢字もあるので大変です。

(3)複数の読み方の漢字があること。
読み方を文脈で判断する必要があるので大変です。


2 漢字の誤り=漢字の混同には3要素があります。
(1)同じ音の漢字(同音異字)と混同する子。 

「意味」の習得が不十分な場合、
「黒板→国板」「多い→大い」のような間違いを起こします。

対策① 部首の意味や漢字の意味を意識させる。
対策② 低学年では、絵と漢字とを対応させる。

(2)似た意味の漢字と混同する子。
「音」の習得が不十分な場合、
「ふゆ→雪」「にく→牛」「先生→生先」のような間違いを起こします。

読みがなから漢字が思い出しにくい子や、漢字のまとめのテストで点がとれない子に多いです。

対策① 漢字の練習時には読みを唱えさせる。
対策② 文章中の漢字や熟語を読む練習をしっかりさせる。
対策③ 意味のつながりで漢字を覚えることは得意なので、漢字の「仲間集め」もよい。

(3)漢字の形を混同する子。
 「形」の習得が不十分な場合で、次のような間違いのパターンがあります。  

①形の似た漢字との誤り
・・教える→考える、親友→新友
②部分的な形の誤り
・・・線が1本足りない、点の数が多い、線が突き出ているなど
③全体的な誤り
・・・部首の一部が別の字、形が大きくゆがんでいるなど
④部首の配置の誤り
・・・へんとつくりが逆・部首に位置が違うなど

時間をかけて練習していてもなかなか漢字を覚えられない子の中には、練習しながら別のことを考えたり、偏だけを先に書いたりして、覚えるための練習になっていない場合が多いそうです。

対策① 漢字の部首やパーツを意識させると、一画ずつ覚えるよりもまとまりで覚えられるので効率的だそうです。
たとえば16画の「親」の字も、「立つ」「木」「見る」の3パーツで覚えれば習得しやすい。

部首やパーツの意味を意識すると、漢字を覚える手がかりも増えるので、漢字は丸暗記でなく、語源を意識させるとよい。

対策② 少ない練習回数でも、部首の意味を考え、部首の名前を唱え、漢字の読み方も言いながら練習すると漢字が覚えやすい。

対策③ 鉛筆でノートに書くのが遅い子は、失敗が苦にならない指書きを多くさせると、練習量が増えて、定着しやすい。

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「学習性無力感」への対応

光村WEBマガジンの「子ども理解の『そこ大事!』」(川上康則氏)は、非常に役立つ連載だった。
引用するとキリがないが、たとえば「学習性無力感」。少し改変して以下に示す。

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中学校や高校で、ノートを開くこともせず、ただ机に突っ伏し続ける生徒がいます。
「やる気が起きない」という無気力な状態を、アメリカの心理学者マーティン・セリグマンは「学習性無力感(Learned Helplessness)」とよびました。学習性無力感とは、「自分の行動が結果を伴わないことを何度も経験していくうちに、やがて何をしても無意味だと思うようになっていき、たとえ結果を変えられるような場面でも自分から行動を起こさない状態」をいいます。学習性無力感の状態に陥ると、人は「次は成功するかもしれない」という期待や、「再度挑戦してみよう」という意欲をもてなくなると考えられています。


生徒がすでに学習性無力感に陥っているケースでは、「やってみよう」という意欲が湧かないところからのアプローチを考えなければなりません。一回誘ったくらいでは行動につながりません。懇切丁寧な関わりを繰り返し、「この人となら、がんばってみてもいいかな」と、その子が思えるような関係づくりから始める必要があります。

また、「やってもうまくいかなかった」という経験の直後に、一緒にその原因について考え直す習慣を作ることです。結果の原因について考え直すことを「再帰属」といいます。ミスやエラーの原因を丁寧に分析したうえで、「こうすればうまくできそうだ」という方法を見つけることができたり、「別のやり方で乗り越えられそうだ」と方略を見直すことができたりすると、前向きな気持ちになります。
そうした再帰属を後押しする大人や仲間の存在は、あきらめ感や無気力感を軽減させていくのです。

https://www.mitsumura-tosho.co.jp/webmaga/kodomo_rikai/detail03.html
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セリグマンの実験は、電気ショックを与えられ続けた犬は逃げる気力を失ってしまうというものだ。

苦労を重ねた先生なら、学習課題に積極的に取り組めなかったり、拒否したりする「学習性無力感」の子どもの気持ちが痛いほど分かる。
失敗を重ねた先生ほど、結果が伴わない生徒に寄り添い温かく声をかける教師になれる。
もちろん、「どうせ何をやっても駄目だ」のモードに入る前に、失敗体験を未然に防ぐことができたら、もっと良いだろう。無力感に陥ると分かっていて、そこに追い込む教師にはなりたくない。

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April 27, 2022

自分の成長を恐れる「ヨナ・コンプレックス」

現状を打破するモチベーションを保つのは難しい。

かつて的を得たワードがあったよなと探してみたら、「ヨナ・コンプレックス」だった。

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アメリカの心理学者アブラハム・マズローは、自分の能力を発揮することを恐れる傾向を「ヨナ・コンプレックス」と名づけた。旧約聖書の中で、自分の使命を果たすことから逃げようとする預言者、ヨナにちなんでこの名前がつけられた。
 「できない自分」でいることは残念で困ったことのようだが、一方で「安定」はしている。「できない自分」が「できる自分」になってしまうと、世界が変わってしまう。何よりも自分が変わる。
 「できる自分」になって、自分や世界が変わるのは不安だから、「できない自分」のままがいい。そんなふうに現状維持をよしとする傾向が、私たちの中にはある。

 PREDIDENT 2019・11.29 「世界一の発想」茂木健一郎
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◆自分の敵は自分
◆リミッターを外せ
◆ぬるま湯(コンフォートゾーン)から抜け出せ

なども同じだ。

もっともっと自分を変えていこうと思う反面、ひっそりとマイペースでやっていればいいじゃないかという思いがふとよぎる。

自分にも、ヨナ・コンプレックスがあったのだとよく分かる。
分かるからこそ、断ち切らねばならない。

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April 20, 2022

明日はきっといい日になる

明日はきっといい日になる いい日になる いい日になるのさ

笑い合えたらいい日になる いい日になる いい日になるのさ

今日よりずっといい日になる いい日になる いい日にするのさ

君が笑えばいい日になる いい日になる いい日になるでしょう

 

コマーシャルで聞いた程度だったので、最後まで聞いたことはなかったが、先日、たまたま最後の部分を聞いた。

 

いい日になる

いい日にする

 

何度も出てくるフレーズの中で、一箇所だけ「いい日にする」が出てくる。

そう、いい日になるかどうかを望むだけでは他人任せだから、

本当にいい日にしたければ、自分でいい日にするしかないのだ。

冒頭に示したラスト4行は、まさに起承転結になっている。

すごいな。

 

高橋優初監督MV作品「明日はきっといい日になる」オモクリ監督エディットバージョン(Short size

高橋優初監督MV作品「明日はきっといい日になる」オモクリ監督エディットバージョン(Short size)

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フルセンテンスだから思考訓練ができる ~法則化運動から学んだ文化~

Amazonの企画書はパワポの箇条書きではなく、文章表現だという。

◆欧米は契約社会で『書いてあることがすべて』という意識が強いため、資料でも文章が好まれる。一方、日本では『行間を読む』文化があり、単語や短いセンテンスの方が伝わりやすい。

https://dot.asahi.com/aera/2018122600031.html?page=2

◆資料を1ページにする発想は他の会社に無いわけではないが、アマゾンならではの流儀といえるのが、図やグラフ、箇条書き形式を廃していること。議題に応じておのおのが工夫して、文章で表現することが求められる。

 「なぜなら、図や箇条書きでは読み手によって解釈にブレが生じるから。文章なら“行間を読む”必要が無くなり、共通認識を全員で持つことができる。会議に出席しなかった人が見ても真意をきちんと伝えられる」(佐藤氏)

文章(ナレーティブ)で記述する
・経緯や説明はファクトベースで
・「ゴール」「結論」が先、「何をするか」は後
・1文はできるだけ短く

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00447/00007/

 

◆端的にいうと、パワポによるプレゼンでは、平凡なアイデアが立派に見えてしまったり、聞き手を「わかった気」にさせるだけで、メッセージが記憶に残りにくいといった問題がありました。

 そこで、会議で使う資料はパワポより叙述形式の文章でしっかり書き込んだほうがいいだろうということになったんです。叙述形式で書けば、発表者の意図を十分に説明できますし、受け手が誰であれ、メッセージの受け取り方に大きな齟齬が出ません。

 https://diamond.jp/articles/-/298547

 

さて、私たちの周りでも、講演記録や研究協議会記録などは、箇条書きが基本である。
しかし、向山洋一氏の実物資料・法則化運動の活字文化は違った。
学級通信、研究通信、サークル通信などが、いわゆるフルセンテンスだった。
フルセンテンスだから、場面が詳細に語られ、理解が深まった。
詳細なストーリーはエピソード記憶としてインプットされるので、内容が後々まで頭に残った。

併せて、宇佐美寛氏からは、書籍を通して、「主語の明確化」「一文一義」「結論を先に」「丁寧な引用を」といったアカデミックライテイングの作法を教わった。

おかげで、新卒のころから、フルセンテンスで書くことに対する抵抗がなかった。
子供の作文や通知表の所見など他人の文章を読むと、主語述語のねじれや不自然な文末表現などに違和感をもつ言語感覚を磨くことができた。

LINEのようなSNSがもたらす、ワンセンテンス・ワンワードの文化。今やその一言の代わりにスタンプで表現する時代。

そんな時代だからこそ、教育現場では「フルセンテンス」を指導せねばならない。

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April 19, 2022

タブレットの付箋機能は授業改善の効果が高い

JEES 全国初等教育研究会が発行するフリーマガジン「wutan」20213学期号に、GIGAスクール構想に対する様々な提言がある。

主体的、対話的な学びに適した「付箋機能」についての解説は、とても分かりやすかった。

 

低学年は「画面を見る」

中学年は「入力する」

高学年は「見たり入力したりする」

 

という段階的な活用があり、その延長線上に「関係を考え、まとめる」という高度な活用があると説明している。

 

◆ジャムボードは 、クラウド 上で付箋を動かしたり 線や矢印を書き込んだりできます。先生が出した課題のキーワードが書かれた付箋をそれぞれの関係を伝えられるように位置を変えたり書き込んだりしてまとめていくのです。付箋に書かれたそれぞれのキーワードについて質問するのは、一問一答になるので覚えていれば答えられます。けれど、それらの関係を表すとなると、とても難しい。子供達はもう持てる知識を総動員して考えることになり一人ひとりが自分なりの考えを導き出します。

 このような、習得した知識を活用して考える課題を、日本の子どもは苦手としています。社会に出れば絶対に必要な力ですし、できるようにならねばなりません。とはいえとても高度な活動ですから、今までのようなノートに書くやり方では多くの子どもが何をどう書けばいいか分からず途方にくれるでしょう。それをクラウド上で作業すれば、友達の考えをいつでも見て参考にできます。みんなに見られますから参考にはしますが、丸写しはしません。自分なりに工夫して違いを出そうとします。クラウドで共有できるからこそ、このような課題も、みんなができるようになっていくのです。P5

 

・・・クラウド上の付箋機能は、授業中、子供たちの頭上に浮かんでいる吹き出しを覗いてみるようなもので、挙手してない子も発表したがらない子の思いも瞬時に知ることができるのだから、授業の展開も大きく変わる。

 

 サークルのオンライン例会。ある中学校では、生徒が教師の提示した課題に沿って付箋に書き込みをして、その画面を見せながら周りの子に説明していた。

主体的で、対話的で、深い学びを具現化していることがよく分かった。

付箋機能は、

①手軽に自分の意見を表出できる。

②手軽に他人の意見を確認できる。

③手軽に相互交流できる。

といった利点がある。

討論の前にノートにそのまま発言できる意見文を書かせたことがあるが、それをみんなに公開すると、他の子はその意見文に引っ張られてしまう。

しかし、付箋機能でキーワード、キーセンテンス程度を交流させれば、他人の意見に引っ張られることはなく、どの子もキーワードを使いながら、自分の言葉でうまく繋いでいける。

同じキーワードでも、組み合わせる際に、個々の判断が伴い、オリジナルな意見になる(しかも大きく外れない)。

 

キーワード・キーセンテンスをPCに入力し、それをつなげて発表する

 

というスタイルはデジタルとアナログの融合で、すごく効率が良い。

 

ところで、本校での過日の研究授業反省会でもジャムボードの付箋機能を使ったが、文末に自分の名前を入れた。

一方、例会で見せてもらった授業では、氏名は入れなかった。

 

誰が書いたかではなく、何が書いてあるかが大事にされている

 

これも、とても重要だと思う。

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そういう人に自分もなりたい

先週の土曜日、たまたま聞いていた福山雅治の『福のラジオ』で、親切な方に出会った人の投稿を紹介していた。
投稿者が、スーパーで買い物をした帰り、雨のマンホールに滑って転んで、レジ袋の買い物が散らかり、顔を打って鼻血でマスクが赤く染まり、痛みでうずくまっていた時、
見知らぬ人が駆け寄ってきて、
「座ってなさい」と休ませて、
道に散らかった荷物を拾ってくれて、
破れたレジ袋の代わりに自分のエコバックに入れて、
自転車のカゴに入れてくれて、
近くのコンビニでマスクとテイッシュを買って来てくれて、
お金は要らないからと立ち去っていったという。
聞いているだけでも、感謝の気持ちでいっぱいになった。
司会の福山雅治さんも、一つ二つならできても、こんなにたくさんの行動はできないとコメントしていた。
併せて「儀礼的無関心」といって、あえて見ぬふりをする残念な慣習があることも・・・。
困っている人を見たら放っておけない方だったのだろうか。
困っている人を見たら助けよと教わってきた方だったのだろうか。
以前助けられた経験があるのだとしたら、それは「恩送り」の精神だ。
自分も一歩でも近づきたいと思う。

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April 17, 2022

掛け算は遺伝し、足し算は遺伝子を破壊する

NHKスペシャル「数学者は宇宙をつなげるか?abc予想証明をめぐる数奇な物語」
4/10(日) 午後9:00-午後9:59
再放送で視聴したが、いやー面白かった(大半は理解できていないが)。
(1)掛け算は、素数の組み合わせで成り立つから答えが予想できる。
 4×21=2×2×3×7
(2)足し算は元の素数と異なる素数が出現するので、答えの予想が難しい。
 4+21=5×5

(3)掛け算の答えは元の数の素数(「遺伝子)を受け継いでいるが、足し算は遺伝子を破壊する。
(4)数学の難問が多いのは、足し算があるから。
   フェルマーの最終定理も足し算だから難しい。掛け算ならすぐに証明できる。
「素数の魅力」・・・・分数の授業で何気なく習う素因数分解は、数学の入り口なのだと改めて思った。
ポアンカレーの言葉「数学は異なるものを同じものとみなす」を超えた異次元の数学の理解はできないが、興味は沸いた。
知らない世界に触れる刺激的な番組だった。

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「全員」と「全体」の区別ができているか?

「全員の原則」にこだわると、空白禁止に抵触する。

「いい、みんな聞いてるかな」
「ちょっと、みんな聞いて。まだこっち向いていない子がいるよ」
・・・聞き漏らしのないように「全体への指示」を意識しているのはよく分かる。
しかし「全員が揃う」まで待てば、待っている子は、ただ待つしかない。
自動車に乗っている人なら分かるだろう。信号がいちいち赤になるとイライラする。
「せっかくスピードがのってきたところでブレーキ」の連続はストレスがたまる。
待っている時間は退屈なので、そこから荒れが生じる。
あくまで私見だが
「全員」と「全体」の区別が大事なのではないか。
と考えている。
大事なのは「全体」だ。
明らかに他ごとをやっている子は、後回しにして、「全体」を優先する。
「全体」に指示を出して、作業させた後で、個別支援に入れば、それが「全員」への対応になる。
全員を優先するあまり「A君、聞いてないよ」を繰り返せば、A君の自尊感情は下がる。外見的には(しぶしぶ)聞いているかもしれないが、不機嫌モードになってしまえば内心ではシャットダウンしている。活動意欲も下がるから、その後も「A君、まだ終わってないよ」のように何度も注意しなくてはならなくなる。負のスパイラルである。
「また、A君のせいで授業が中断した」という事実が重なればA君への不満に繋がる。それは「教師発のいじめ」でもある。

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丁寧な個別対応が全体を崩壊させる

ある学級の授業場面。

2年生の子供なので、というのも言い訳にならないが、個別によく子供が聞きに来る。
「授業中でも困ったことがあれば担任の元の言いに行っていい」という指導が染みついているのだろうか。何人もの子が授業中でもつかつかと歩いて行って担任と小声でやりとりしている。
当然、その間、全体指導は中断するわけで、こうして学級が荒れていくのは向山先生の著書の通りだ。
丁寧な個別指導が「よい行為」と思っている先生が多いのかもしれない。
そういえば、学習支援のT2の立場の先生が、一部の子にずっと張り付いて、道具の出し入れまで丁寧に手を出している場面を見かける。そうやって子供の自立の機会を奪っているのかと思うと、「小さな親切は大きな迷惑」だ。
個別指導が最善策ではない。集団で授業している以上、全体が優先されるべきだ。
そして、いちいち聞きに来る子には「みんなの前で意思表示させる」ことも大事なスキルとして身に付けさせる必要がある。
全体にも関わる質問なら皆に「今、〇〇さんが大事なことを聞きに来たから、みんなの前で言ってもらいます」と質問させてあげれば良い。

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April 13, 2022

特別支援教育の知見を広げなければ



 特別支援教育については、20年ほど前に全国各地で研修が進められた。
 同じような趣旨で10年ほど前にユニバーサルデザインの研修が進められた。
 管理職やコーデイネーターだけでなく多くの先生方が公的な研修に動員され、校内研修も積極的に進められた。
 今の若い教務主任の中には、当時の研修を受けていない人もいる。時代が変わった。
 それは、けっこう心配な事態だ。
 特別支援教育に対する理解がないと、たった1人の子どもに振り回される事態が起こる。その危機感が共有されていない。
 加えて、最近は支援員のようなT2の加配が増えて、担任の中には
◆自分はフツーの面倒をみるから、手にかかる子はT2に丸投げ
という感覚の先生もいる。
 年配者には当たり前の知見も、若い先生にとって初耳である事が多い。
 もちろんTOSSの書籍を紹介する事も必要だが、公的な資料の方が受け入れられやすいこともある。
 例えば、平成24年度に尼崎市の教員に配付された「みんなの特別支援教育〜授業のユニバーサルデザイン化をめざして〜」
 子どもの特性、困り感、学級経営(学年初めの3日間)、特別支援教育の視点を導入した分かりやすい授業づくりのコツなどが紹介されている。
 授業スキルアップの10のポイントも、TOSSの盗作かと思えるほどだが、そこはグッとこらえて、TOSSの主張はオーソドックスなのだということの証なのだと受け止めたい。
 ぜひ、皆さんも参照ください。







平成24年度 研修配付資料 「みんなの特別支援教育」 - 尼崎市立教育総合センター

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年度当初に、学級の最終日をイメージする

初任と話をしていて、前任校で修了式の日に保護者からお礼の言葉をもらった担任の話題になった。

・一年間ありがとうございました。
・おかげで息子は一年間おだやかにすごすことができました。
・できたら、来年度の担任もお願いしたいです。
最終日に、保護者からこんな連絡帳をもらったら、本当にうれしいよね
子どもの反応で言えば、
・来年もこのクラスがいいな。
というリアクションがあったら、担任としては、うれしい。
狙ってできることではないが、どうしたらこんな言葉をもらえるか、逆算して学級経営を考えてみてほしい。
その1つが、「納得して子供を帰宅させること」。
喧嘩やトラブルがあったとき、不満を抱えて帰宅させると、そのまま保護者に伝えるから厄介なことになる。
保護者にとっては子供から聞いた内容が「事実」だ。
だから、納得させて帰宅させる。
「もう大丈夫? 先生からおうちの方に電話しようか?」
子供が毎日楽しく過ごし、楽しく帰宅するから、次の日もは学校に来たくなる。
 
「毎日学校が楽しい」
「来年も、このクラスがいい」
一部の子だけでなく、多くの子がこう感じるような学級づくりのワザを解明したい。

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柔軟な計画変更を、「レベルアップ」と考える。

黄金の三日間の初動が肝心で、計画変更は慎重にすべきだとは承知している。
しかし、経験の浅い先生は何がベストかもよく分からないまま、学級づくりや授業作りの準備を手探りで行なっている。
情報不足でいい加減な対応をしてしまうこともあれば、諸先輩のアドバイスを聞きすぎて飽和状態になっていることもある。
実施してみれば、当然、反省点も修正点も生じる。
毎日コロコロ変えるのはどうかと思うが、不備があるのに修正しないのも問題だ。
初任に次のように伝えたら、少し安心したようだった。
◆ 学習のルールも、係や当番の仕事もやってみないと分からないことがある。
とりあえずスタートするしかないが、変更が必要になるかもしれない。
GWが明けたら一度見直すつもりで進めた方が自分の首が締まらないと思うよ。
だからといって無計画にやれば良いというわけではない。
慎重に計画はするが、やってみて不備を修正する柔軟性は必要だという意味だ。
決定後の「修正・変更」は、マイナスイメージがつく。
◆まずは仮決め。問題がないかどうか試してみて、後で相談しよう。
◆GW明けからは、レベルアップするよ。
◆これまではお試し期間、今日からは本格的な○学年だよ。
などと伝えると、子供も前向きにとらえられる。

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April 11, 2022

だから、特別支援教育の知見が必要だ!

かつて、次のような言葉を教わった。
① 聞いたことは忘れる
② 見たことは、覚える
③ やったことはわかる(理解する)
・・・有田和正先生のお話だったと思う。
リズムが良いので、今なお印象に残っている。
その後、TOSSの中で「感覚優位」というワードを知った。
①聞いたことは忘れる・・・・聴覚刺激だけではダメ
② 見たことは、覚える・・・・視覚情報を活用し
③ やったことはわかる・・・・作業化・動作化を加えよ
口頭説明だけで済ます授業は、聴覚優位の子が学びやすい。
プロジェクターを使ったり板書をしたりする授業は、視覚優位の子が学びやすい。
「前に出る」「立つ」「指でおさえる」など動作化させる授業は、体感覚優位の子が学びやすい。
①スライドを見せつつ、
②詳細を口頭で説明し、
③スライドを印刷したプリントを配って、メモ書きOKなら
「視覚優位/聴覚優位/体感覚優位」の、どの子の「得意(不得意)」もカバーできる。
昔からの言い伝えに学術的な裏付けが加わっている。
このように学術的な裏付けでTOSSの講座は進められるから、話の内容に納得できるし、実際の教育効果も高い。
※あるクラスに、じっと座っているのが苦手な子がいた。
この子は「配達物を配る」という作業がぴったりで、そのことを教師が分かっていれば、授業中、注意せずに、逆に誉めることができる。
ある大学教授は、子供に移動させると騒がしいから、教師が机間指導してノートの丸付けをせよと勧めている。
しかし、授業中、立ち歩くことで脳内が満たされる子もいるし、周囲の子の動きで何をすべきか気づく子もいる。
できた子がノートを持ってくるのは決して悪いことではない(ただし行列をつくってしまったら逆効果だ)。
なぜ、その行為がふさわしいのか、科学的な見地はあるのか。
そこまで踏み込んでくれるセミナーは楽しい!

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