「学習性無力感」への対応
光村WEBマガジンの「子ども理解の『そこ大事!』」(川上康則氏)は、非常に役立つ連載だった。
引用するとキリがないが、たとえば「学習性無力感」。少し改変して以下に示す。
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中学校や高校で、ノートを開くこともせず、ただ机に突っ伏し続ける生徒がいます。
「やる気が起きない」という無気力な状態を、アメリカの心理学者マーティン・セリグマンは「学習性無力感(Learned Helplessness)」とよびました。学習性無力感とは、「自分の行動が結果を伴わないことを何度も経験していくうちに、やがて何をしても無意味だと思うようになっていき、たとえ結果を変えられるような場面でも自分から行動を起こさない状態」をいいます。学習性無力感の状態に陥ると、人は「次は成功するかもしれない」という期待や、「再度挑戦してみよう」という意欲をもてなくなると考えられています。
生徒がすでに学習性無力感に陥っているケースでは、「やってみよう」という意欲が湧かないところからのアプローチを考えなければなりません。一回誘ったくらいでは行動につながりません。懇切丁寧な関わりを繰り返し、「この人となら、がんばってみてもいいかな」と、その子が思えるような関係づくりから始める必要があります。
また、「やってもうまくいかなかった」という経験の直後に、一緒にその原因について考え直す習慣を作ることです。結果の原因について考え直すことを「再帰属」といいます。ミスやエラーの原因を丁寧に分析したうえで、「こうすればうまくできそうだ」という方法を見つけることができたり、「別のやり方で乗り越えられそうだ」と方略を見直すことができたりすると、前向きな気持ちになります。
そうした再帰属を後押しする大人や仲間の存在は、あきらめ感や無気力感を軽減させていくのです。
https://www.mitsumura-tosho.co.jp/webmaga/kodomo_rikai/detail03.html
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セリグマンの実験は、電気ショックを与えられ続けた犬は逃げる気力を失ってしまうというものだ。
苦労を重ねた先生なら、学習課題に積極的に取り組めなかったり、拒否したりする「学習性無力感」の子どもの気持ちが痛いほど分かる。
失敗を重ねた先生ほど、結果が伴わない生徒に寄り添い温かく声をかける教師になれる。
もちろん、「どうせ何をやっても駄目だ」のモードに入る前に、失敗体験を未然に防ぐことができたら、もっと良いだろう。無力感に陥ると分かっていて、そこに追い込む教師にはなりたくない。
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