« 「ABC分析」ではなく「ABC理論」 | Main | 日本の国語教育に求められること »

May 11, 2022

和久田学先生の『科学的に考える子育て』

ハイスコープカリキュラムについては、SNSでもよく発信されているが、ピンとこなかった。

GRIT・ マシュマロテスト・ペリー教育財団・アクティブラーニングに絡んで、次のHPなどを読んだこともあるが、幼児教育関連だからとそっちのけになっていた。

今回、和久田先生の本を読んで、以下の部分の意味が分かった。

=====================

アクティブラーニングの学びにおいては、次の要素を重視した取り組みが行われている。

PLAN→DO→REVIEW

こどもたちが自ら計画を立てて行動し、結果を振り返れるよう、教師はこどもの学び方や遊び方を意図的に誘導する。ハイスコープではこれを「PLAN→DO→REVIEW」と呼んでいる。3ステップで取り組むことによってこどもは意図的に行動し、ほかに楽しそうなことがあっても気を散らさずに自分の決めたテーマに集中できる。計画を立てて遊ばないと、遊び方が衝動的なものになりやすく、自己規制力を養えないからだ。

https://resemom.jp/article/2019/10/04/52768.html

=======================

・・・和久田先生の本のどの章も考えさせられたが、全くノーマークだったのが、この「ハイスコープカリキュラム」のくだりだった。

「ハイスコープカリキュラム」を知る前段階(7章)に、脳の機能がある。これもセミナーで何度も聞いたことだ。

 

◆ヒトの脳は「爬虫類の脳(生命維持)」「大脳辺縁系の脳(情動・欲求)」「大脳新皮質(認知・言葉・抑制)」の3階建てなっている。

◆思春期の脳は大脳辺縁系(アクセル)が強くて、大脳新皮質(ブレーキ)が弱い。つまり欲求と情動が強まるがコントロールができない。

◆大事なのは「抑制脳(大脳新皮質)」を育てること。何かを成し遂げるには、遊びたい、怠けたいという欲望を抑制し、すべきことに集中する必要がある。

◆この大脳新皮質の働きを「実行機能」と呼び、マシュマロテストで分かるように、幼児期から「抑制」を身につけさせると思春期・成人期のリスクを下げられる。

 

という流れがあって、第8章「成功のカギは『実行機能』にあり」に続く。

そして、「ハイスコープカリキュラム」は実行機能を育てることがターゲットの一つだと話が進んでいく。

長くなるが、ここが重要なので引用。

 

◆ 砂場で山を使って作って遊ぶことでも、子供たちは無意識のうちに実行機能を使って遊びを計画し、その計画に沿って行動することでしょう。しかし、それを意識的にさせたらどうでしょうか。大人がそこに関与し、子供に問いかけるのです。何して遊ぶの?と。

すると子供の脳は、ひとりで考えていた時よりずっと早く、意図的に働きます。 何しろ脳の片隅でなんとなく存在した計画を相手に説明しなければなりません。どうしても言葉を使って表現する必要があります。

私たち大人もそうですが、意図や気持ちを言葉にすると急に明確になります。原始的な・・別の言い方をするならば動物的な・・感情も、言葉にした途端はっきりと見えてきて、客観視できるようになります。どうやら私たちの脳の働きは、言語と 切っても切れない関係にあるようなのです。

だから、子供たちに「何して遊ぶ?」のとその子の計画を質問し、「何して遊んだの?」と振り返らせることは、彼らの脳の働きを言語によって深め、明確にさせるという意味で大切です。ハイスコープカリキュラムにある「プラン・ドウ・レビュー」にはそんな秘密があって、だからこそハイスコープによる質の高い幼児教育は、成人後の生活にまで影響を与えるのでしょう。

だとしたら、私たちもやってみるべきでしょう 幼児に限る必要はありません。(中略)頭の中にある一つ一つの計画を言葉にし、行動したら振り返ってみるのはどうでしょうか。P166

 

◆「計画する」「振り返る」のカギは言語化にあって、言葉にするという過程で大脳新皮質を刺激します。

 

という指摘に衝撃を受けた。

 自分一人では言語化の必要がない。他者がいて、聞かれたり、説明したり、主張したりする必要があって、言語化しなくてはならなくなる。

 教師がいて、適切なタイミングで問いかけるから、子供は言語化に必要に迫られる。そして大脳新皮質が刺激されていく。「認知・言葉・抑制」を含む実行機能が育まれていく。

 

 「学習のめあてが大事だよ、学習の振り返りが大事だよ」という教育委員会の指導は、PLAN→DO→REVIEWに基づいているのか(違うかもしれない)。

 だとしたら、「めあてと振り返りなんて馬鹿馬鹿しい」と一蹴する態度も科学的ではない。

「めあてと振り返り」に意味を持たせられるかどうかは、教師の意識の問題だ。

 脳を成長させることの典型が「思考の言語化」で、それは、

※大学入試の国語問題(文学)は、およそ、ハイコンテクストをローコンテクストに言語表現することが基本なのかも。

と重なってくる。この件は次の投稿で。

|

« 「ABC分析」ではなく「ABC理論」 | Main | 日本の国語教育に求められること »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 「ABC分析」ではなく「ABC理論」 | Main | 日本の国語教育に求められること »