「学習評価」のはじめの一歩
『ヤマ場をおさえる学習評価』(図書文化)の編者である石井英真氏(京都大学)のオンライ講演を視聴して、腑に落ちる箇所がたくさんありました。
はじめの一歩として、次の4つのキーワードをおさえておきましょう。
①形成的評価
・・日々の授業で、指導を改善し子どもを伸ばすために行われる評価
②総括的評価
・・単元末や学期末などで、確実に身に付いたかを全員確かめる評価
③パフォーマンス評価
・・ペーパーテストで評価できない部分について、作品・レポート・話し合いの様子などをみる評価
④ルーブリック
・・評価の段階別の基準表
かつて毎時間カルテ表に全員分の達成状況を記録しようとする授業がみられましたが、そのような授業をめざす必要はありません。
成績に反映させるのは単元の山場や終盤で行う「総括的評価」のみだと意識すると、評価に関わる日々の負担を軽減できます。
ただ、単元を終えたとき(山場の授業を終えた時)、評価の対象となる振り返りの言葉が「がんばった」や「よく分かった」では困ります。それでは「この単元・今日の授業で何を学んだか」を子供が意識できていないことになるからです。
通常、評価が徹底しているのは、多くの学校で行われる漢字テスト・計算テスト(コンクール)です。
この場合、求める姿(例えば90点合格という基準)が明示されており、到達しない子は追試が行われます。
本来、不合格の子をそのままにしておかない取組は、この漢字・計算コンクールに限ったものではなく、ふだんの教育活動においても同じであるべきです。
(例として、よく「自動車学校」が挙げられます。自動車学校は習得型なので、合格しないと次のステップに上がれません。)
本当は、いつだって合格基準が示され、全員が到達できるよう指導が行われ、基準に満たない子は再提出や再チャレンジで合格レベルに到達するまでやり直しさせる厳しさが必要です。
それが、指導に対する実行責任です。もしC判定(不合格)の子がたくさん生じたら、それは指導不足だという教師の覚悟が必要で、「聞いていない子が悪い」「提出しない子が悪い」と放置してはいけません。
ペーパーテストについては点数化も容易で、再テストも容易です。
難しいのは、思考・判断・表現や学習に取り組む態度についてのパフォーマンス課題の評価です。
基準表を作成して、「こういう姿が合格ラインですよ」と明示すれば、子供もそこを目指してがんばれます。
それが評価に対する子供の「納得感」です。子供が評価に納得していれば、保護者からもクレームも回避できます。
本人には「上手にできているね」とほめておきながら、成績表でCを付けるやり方は不信を招きます。
「この単元では作文で20点取りましょう」と決めるだけでは困ります。
評価基準表(ルーブリック)で5点刻みや3点刻みのレベルを設定し、できれば子供にも明示します。
テストの点数と同じように子供にその評価を伝えます。
そして、Cの子にやり直しさせるだけでなく、Bの子がAを目指して再挑戦したいと申し出たら受け入れる機会も想定します。
1学期の成績処理の段階になって、ノートやプリントの評価をこまめに記録しておくべきだったと反省することも多いと思います。
2学期は1学期の反省を生かし、その場その場での点検・記載に努めてください。
ただし、日々のノートやプリントを全て成績に反映させる必要はありません。
「ここぞ」と思う授業の山場でこそ総括的評価の意味があるのです。
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