道徳研究
市の初任研道徳研修の資料を見せてもらった。
市内で文科省指定の研究発表したころと、大筋は変わっていない。
日本道徳教育学会名誉会長の横山利弘氏の流れだ。
(1)教材の骨格をつかむポイント
主人公が道徳的に変化する場合の教材の骨格は、国語の物語作品のクライマックス構造の読み取りとよく似ている。
①あらすじをつかむ(一言でいうと、どんな話か)
②主人公(道徳的な変化をした人)をつかむ
③主人公変化のきっかけとなる出来事をつかむ
④主人公が生き方の自覚をする場所をつかむ(変化の頂点)
主人公の変化のきっかけは「助言」と呼ばれる。
道徳の「助言」は、人物が与えるとは限らないのだが、「助言」を与える人物がいる場合は、主役に最も影響を与える「対役」と考えると分かりやすい。
大雑把にいうと、「主人公は、対役に出会い、その一言によって成長する」とすると、国語資料も道徳資料もよく似ている。
主人公の行動や言葉を捉えて、その背後にある内面の「心」を考えさせる問いが、横山流の道徳の中心発問。
直接気持ちを問わないという意味では「間接性の原理」を踏まえている
「何が人物Aを変えたのか・なぜ人物Aは〇〇をしたのか」を考えさせる場面であるが、
「何が人物Aを変えたのか・なぜ人物Aは〇〇をしたのか」を直接問うと反応は出づらい。
だから、個々の資料によって、中心発問は工夫される。
教師の腕の見せ所だが、つい「なぜ~」と聞いてしまう先生も多い。
(2)振り返りプリント
「書く活動は、終末のふり返りのみ」とあるが、これは結構難しい。
行動中心のお話の場合、前半ー後半で2回書かせて、さらに本時の振り返りを書かせることがある。
何度も書くと、時間が足りなくなるし、一番大事な最後の振り返りでエネルギーがなくなる。資料前半の書き込みで盛り上がって、その後、下がっていくことも多い。
振り返りプリントには、「これが書けたら道徳名人」の指標がある。
①「〇〇とは、~だと思った」・・・主題の読み取りだね。
②「最初は〇〇と考えたけど、〇〇だと思った」・・・自分自身の考えの変容だね。
③「今日の授業で~だと分かった」・・自分なりの主題の確定だね。
④「僕は、これから~したい」・・決意表明を強要してはいけないと指導があったね、
⑤「自分は(自分だったら~)・・自我関与だね。自分ならどうするか?
(3)ICT 活用
意見の可視化、分布、意思表明など
①テキストマイニング
②展開の前後で変化を見るためのジャムボード(色分けなども)
③ポートフォリオ
さまざまな場面でICT活用が進むといい。
(4)おまけ
横山利弘氏の道徳動画を何本か視聴した。
資料の内容を含めると【04】「月明りで見送った夜行列車」は、聞いているだけで感動した!
思いやりー粋ー野暮 という解説も納得。
https://yokoyama-doutoku.jp/category/movie/
https://www.aktk.co.jp/channel-dotoku
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