「探索的会話」
◆活発な話し合いを行っているグループの一人ひとりは何も学んでいない。
◆探求活動が行われているグループは、活発な話し合いではなく、静かなつぶやきとぼそぼそ声を交流している。
・・・『総合教育技術』2022年2月号の佐藤学氏の連載は奥が深かった。
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グループ学習は「話し合い」にしないことが最も重要である。学びは既知の世界から未知の世界への旅(経験)であるが、「話し合い」はすでにわかっていることの交流であって、そこには学びが成立しないからである。実際、活発な話し合いを行っているグループの一人ひとりの発言を記録し分析すると、何も学んでいないことがわかる。学びが成立し探求活動が行われているグループは、活発な話し合いではなく、静かなつぶやきとぼそぼそ声を交流している。静かな教室でつぶやきと囁きが交歓されているグループ学習の教室こそが、質の高い探求と共同の学びが遂行されている教室なのである。
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さらに、「会話」には2つのタイプがあるという。
◆ 「発表的会話」は「僕はこう思う」「これはこうだ」という会話。
◆「探索的会話」は「これがヒン トにならないか」「あれとこれは関係しているのではないか」と探りを入れながら推論し思考する会話。
なるほど。
確かに、すでにわかっていることを伝えるだけの交流なら、そこで交わされる会話は「自分はこう思う」「うん、そうだね」で終始してしまう。
そのような会話レベルなら、いくら活発でも、何の生産性もない。
グループ学習はそんな「話し合い」にしないことが重要だという指摘は、すごく新鮮だった。
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グループ学習における「聴き合い・学び 合う」活動の重要性は、ロンドン大学のダグラス・バーンズが1990年代に指摘し、 日本では一柳智紀(新潟大学)がパーンズ を敷衍して探究している。
バーンズはグル ープ学習における子どもの発話を「発表的会(presentational talk)」 と 「探索的会話(exploratory talk)」 に分け、協同的探究は「発表的会話」ではなく「探索的会話」によって遂行されることを示していた。「発表的会話」とは「僕はこう思う」「私 はこう考える」「これはこうだ」という会話であり、「探索的会話」は「これがヒン トにならないか」「あれとこれは関係しているのではないか」というように、探りを入れながら推論し思考する会話である。
協同的学びにおける「探索的会話」の重要性 は、その後、ケンブリッジ大学のニール・ マーサーによって継承され、ヨーロッパ諸国の協同学習の最も強力な理論的基礎になっている。
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・・・「探索的会話」で検索したら、たくさんの論文がヒットした。しっかり追究したい。
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