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August 28, 2022

子供を傷つける教師の毒語 〜教育マルトリートメント〜

あるクラスの先生は、やる気を示さない子が数人いて連鎖反応を起こすので苦労している。

担任は、なかなか指導の手がなく、つい子供を責めてしまう。

「○○君、今、それやる時じゃないよね。」

「○○君、危ないからやめて。」

「○○君、ちゃんとやるって言ったよね。嘘はやめて」

 

先日は、宿題の提出だろうか。朝の会の時点で詰問状態だった。

A君への詰問の空気の重さに、いつも勝手なB君は「俺はちゃんとやってるよ」のオーラを出していた。

後ろのロッカーに向かうA君は明らかに不機嫌そうだった。

1時間目の理科の時は、昨日配ったプリントが見当たらなくて、すねていた。

2時間目、体育で教室が空いていたので、自分がプリントを調べてみたら、ロッカーの奥から出てきた。自分で自分のプリントは管理できない子なのだ。

3時間目の算数の時間、割り算の筆算ができないA君は突っ伏していた。

担任と今後の対応を相談。

みんなの前で追い詰めても本人は面白くないだけだから、個別に話を聞くといいかもしれない。特に今日の不機嫌さはいつもと違うよね。

「どうしたんだ」

「どうしたいんだ」

「大丈夫か」

5時間目は漢字の練習プリントをさせている間、隣の空き教室で話を聞いてもらった。

前日、家庭での出来事を打ち明けて泣き出したそうだ。

そうか、A君が自分の気持ちを打ち明けてくれてよかったね。

少なくとも、今日は、ただの怠け・ただの反抗じゃないと分かってよかったね。

 

担任は朝から詰問モードだったことを反省していた。

授業後、教室の雰囲気をダメにする教師の「毒語」について紹介した。

 

教室に不穏な風を吹かせる毒語

(1)質問攻めの問い詰め

・何回言われたらわかるの?・どうしてそういうことするの?

・ねえ、何やってるの?・誰に向かってそんな口のきき方をするんだ?

(2)裏を読ませる言い方

・やる気がないんだったら、もうやらなくていいから(本当は「やりなさい」)

・勝手にすれば(本当は「勝手なことは許さない」)

・あなたの好きにすれば(本当は「言う事を聞きなさい」)

(3)脅しで動かそうとする

・早くやらないと、〇〇させないよ。

・じゃあ、〇〇できなくなるけどいいね。

(4)虎の威を借りる言い方

・お母さんに言おうか。

・校長先生に叱ってもらおうか。

(5)下学年の子と比較する

・そんなこと1年生でもやりません。

・そんな子は一年生からやり直してください。

(6)見捨てる

・じゃあ、もういいです。

======================

 

「ああ、これ言ってます」と担任は即答。

自分だってついつい口にしてる言葉だ。

誰だって言いたくなる時はあるよ。ただ、アンガーマネジメントと同じだから、発する前に、ちょっと考えてみるといいよね。

言ったところでお互いに嫌な思いをするだけかもしれない。

先生は優しいから大声で怒鳴ることはないけど、その分、やさしく追い詰めてしまうところがあるかもしれないね。

 

上記の言葉は、川上康則氏の論稿による。

「教室マルトリートメント」(東洋館出版)

教室で行われる子どもの心を傷つけるような不適切な指導を示す川上氏の造語だ。

 

毒語を吐くしか手がない教師は、まさに手詰まり。

子供を傷つける言葉を口にした時点で教師の敗北なのだ

 

ある学級で、お楽しみ会の歌で揉めていた。

①諭す・・・みんなで決めたんだから頑張ってやろうよ。

②叱る・・みんなで決めたんだからちゃんとやれよ。

③見放す・歌わない子はほかっておこう。

④脅す・・歌いたくないなら自分は学習発表会の動画に参加しないことを保護者にも伝えておきなさい。

⑤寝かす・・月曜日までみんなで考えよう。来週、もう一度、何が問題か話し合おう。

 

などの複数案を出したのは、クラスの状況がわからないからだ。

歌わない子を強く指導すべきなのか共感したり励ましたりすべきなのか、担任の話だけでは把握できなかった。

しかし、ふと自分のアドバイスを振り返ってみると、子どもを傷つける「毒語」に溢れていた

 

・・・川上氏はこう書いている。

◆自分自身が吹かせる「風」に無自覚な教師は、言葉の重みに気づけない。発する言葉の端々に「毒づいた言葉」を使いながら、子どもたちを知らず知らず苦しめていることがある。

教師のストレス発散(指導力不足へのいらだち)にしか思えない子供への侮辱は禁じ手なのに、自分の対応案の中に毒が入っている。

未熟だから「毒語」に頼ってしまう。相変わらずの自分の未熟さを猛省した。

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