「ごんぎつね」の額縁構造
「ごんぎつね」の額縁構造を考えると、主題も違ってくる。
◆これは、わたしが小さいときに、村の茂平というおじいさんから聞いたお話です。
この話を語った相手が兵十や加助でないということは、長年、伝承されてきたということだ。
◆あれほど孤独だったごんが、死後、たくさんの世代に語り継がれる存在(愛される存在)になった。
という変化があることが分かる。
兵十との関わりで、この話を完結させてはいけない。
①ごんは誰とも関わらず一人で生きてきた。
②しかし最後は、兵十と関わって死んでいった。兵十にごんの思いは伝わった。
③だから、ごんはやさしいきつねとして、ずっと村人に語り継がれる存在になった。
「ごんが死んだ話、銃で撃たれた話」で終わらせず、「ごんは長く村人に愛される存在になった」と解釈するのが、全体の枠組みを意識した読み方だ。
ごんの思いは伝わらず、兵十に誤解されて撃たれてしまったが、ごんのやさしさは、その後もずっと長く語り継がれていった。
「死して、名を遺す」が主題にもなりえるわけだ。
「兵十は、ごんの命を奪ったが、その代わりに名誉を与えた」と言えるかもしれない。
だから、「ごんぎつね」を書いて、名を遺した新見南吉と重なるのだ。
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