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September 21, 2022

「ごんぎつね」の構造 ~ラストまで読んだら振り出しに戻る~

「ごんぎつね」は、「起承転結」ではなく「序破急」で考えると分かりやすいと考えたこともある。

前ばなしー起承転結ー後ばなし

で考えると、「結」も「後ばなし」もないように読める。

「教育科学国語教育」9月号No873の特集は「ごんぎつね」。
誌上座談会で、上月康弘氏(松本大学専任講師)は、次のように発言している。
多くの物語は「設定―展開―山場―終末」といった構造をとることが一般的ですが、「ごんぎつね」は、突然物語が中断され、読者は行き場を失います。「後ばなし」としての「終末」がないからです。しかし、このような一旦の読みも、再読によって更新されます。すなわち、初めの「語り」に戻ることによって、「ごんぎつねというきつねが確かに存在していたことを伝える話」として読めるのです。つまり、2度目の読みによって、「ごんぎつね」作品全体が「後ばなし」としての「終末」に位置付きます。「ごんのつぐないの話」から「兵十のつぐない話」への転回です。そして、3度目は、時間を越えて現在の「私たち」へと語り継がれてきます。このような永遠性をもつ語りのループの中で、ごんと兵十は「今」もなお「解り合い」を求めて悲しくさまよい続けています。
・・・なるほど、全部を理解したわけではないが、「後ばなし」がない作品も、再読で「前話」に戻れば、作品がひとつにつながる。
最後まで読めば、こういう経緯があって、ごんの話は今なお語り継がれているのだよということが分かり、そのまま、もう一度「ごんの話」を読み返す。
後ばなしで後日譚を説明してしまうのは「野暮」と言えるだろうか。
だから、後ばなしを加えずに、前ばなしに戻らせる。
この構造は、「大造じいさんとガン」でも同じだ。(ただし前ばなしのないバージョンもある)。
大造じいさんが囲炉の前で語った武勇伝を「お聞きください」と始まるのだから
「いかがでしたか」と後ばなしを加えてもいいが、なくてもいい。ない方がいい。
「前ばなし」があって「後ばなし」がない作品は、「黙して語らず」の美学に支えられていると考えればいい。
まだまだ、資料分析は終わらない。

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