人に頼る経験を積んで、人に頼っていいことを学ぶ
「実践障害児教育」2014年7月号のコピーが手元にある。
ケースから学ぶアプローチ第4回 「未学習や誤学習を読み解こうの」の巻
執筆は今をときめく川上康則氏なので、敬意をもって自分の責任で抜粋と編集をして紹介させていただく。
できない・わからないが続いた時の子どもたちの様子を3つ提示している。
できない経験を繰り返すと・・がんばろうとしなくなる。
わからない経験を繰り返すと・・理解しようとしなくなる
やってもらう経験を繰り返すと・・自分でやろうとしなくなる
こういう状況を「学習性無力感」と言う。
どうせ何をしても無駄だという気持ちになってしまうと、回復が難しい。
「バカにされるに決まっている・叱られるに決まっている」とシャッターを下ろしてしまう。
「失敗恐怖・敗北恐怖」が行動にブレーキをかける。
「行動すると、心が傷つくと決めてしまう」
・勉強はわからない(ことに決めた)
・自分ばかり叱られる(ことに決めた)
・学校には意味がない(ことに決めた)
・授業には入らない(ことに決めた)
・どうやっても無駄だ(と思うことに決めた)
というわけで心を閉ざし行動にブレーキをかける彼らへの「カギは援助要求スキル」だという。
困難に直面した時「こまった・わからない・むずかしい・思いどおりにいかな」と思う。
そのとき、おすすめしないのが
「なく・さわぐ・にげる・やらない・めちゃくちゃにする・物にあたる・隠す・ごまかす」
そのとき、おすすめするのが
「手伝ってください」「わからないので教えてください」
「聞き逃したのでもう1度言ってください」「助けてください」
◆失敗することは誰にだってある。現実的な課題を受け止め、失敗恐怖を少しでも解消していくためには、他者を頼ることの価値を知り、援助を求めることで壁を乗り越えていけるという「経験を積むことが大切だ。
という言葉が心に響いたのは、「多くの若者がここでギブアップしている」と思ったからだ。
大人が援助要求スキルを使って他人に頼ることは我々だって難しい。
だから、先生が、意図的に子どもに助けてもらったり手伝ったりしてもらう場面をつくり、模範を示しろと提言している。
(上司が部下に頼ることも同じ)
先生(上司)が、弱いところを見せる。依存するところを見せる。
「他者から必要とされる経験」を積んで育つから、自分も「他者に頼っていいんだ」ということを学んでいくのだ。
特別支援教育でなくても重要な「生き方スキル」である。
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