ごんぎつね ~兵十の状況が理解できない子~
他者の理解ができない子は、「どうして兵十はつぐないをしに来たごんを撃ってしまったのだろう」と疑問を持ちます。
読者である自分はごんのつぐないを知っているから、兵十も知っているはずだと思うからです。
発達障害児(自閉症児)の思考(発達障害児がどのように思考するのか)について理解するのに、「サリーとアンの課題」がよく取り上げられます。
前提・・1つの部屋にサリーとアンがいます。部屋には「サリーの青い箱」と「アンの赤い箱」が置いてあります。 ①サリーはお気に入りのビー玉を「サリーの青い箱」の中にしまいました。 ②サリーは部屋から出ていきました。 ③アンは、「サリーの青い箱」からビー玉を取り出し、「アンの赤い箱」の中にしまいました。 ④アンは部屋から出ていきました。 ⑤サリーが部屋に戻ってきて、ビー玉で遊ぼうとしています。 さて、サリーはどこを探すでしょうか?。 |
◆サリーのビー玉は「アンの赤い箱」の中にあります。
しかし、アンが③でビー玉を「アンの赤い箱」の中にしまったことをサリーは知りません。
だから、サリーが探すのは①の「サリーの青い箱」です。
発達障害児に、「サリーとアンの課題」を聞くと、「アンの赤い箱を探す」という答えが返ってくることが多いそうです。
この課題は、サリーの気持ち(サリーが、ビー玉がどこにあると考えているか)を聞いています。
ビー玉が移された事実をサリーは知りませんから、この課題で正しい答えを導き出すためには、
「ビー玉が移された事実を、サリーが知らない」
という「サリーの気持ち(状況)」の理解が必要になってきます。
発達障害児は、客観的事実は理解できるが、他人の気持ちが分からない(「自分は知っていても相手は知らないことがある」と分からない)ことの一例として、この「サリーとアンの課題」は引用されます。
この課題は、発達障害児でなくても幼児は間違えるそうです。ストーリーの複雑さが読み取れない(頭の中でストーリー展開が追い付かないとか、メモリー容量を超えるとかの問題かもしれません)。
低中学年には、発達障害児でなくても他人の気持ち(他人の状況)が理解できない子・複雑な状況設定を読み取れない子がいることを知っておくとよいと思います。
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