小1「くじらぐも」
小学校一年の国語で、本格的に内容読解に入るのは、下の教科書(光村)の『くじらぐも』でしょうか。
かぎカッコで示したセリフの主体を押さえるという学習活動の目標もあり、誰のセリフかを踏まえながら音読することが授業の中心になります。
「くじらぐも」のストーリー前半は、子ども達とクジラとのやり取りが面白いです。何度も『くじらぐも』を読んでいて、文法的に注目したいと思ったのが「も」です。音読練習に慣れてきたら、文の途中で次の箇所を交代読みさせ「も」を意識させたいところです。
子どもたちがたいそうをしていると、(中略)くじらも、たいそうをはじめました。
みんながかけあしでうんどうじょうをまわると、くものくじらも、空をまわりました。
せんせいがふえをふいて、とまれのあいずをすると、くじらもとまりました。
「まわれ、みぎ。」せんせいがごうれいをかけると、くじらも空でまわれみぎをしました。
・・・先生が~する。くじらも~する。みんなが~する。くじらも~する。
この繰り返しが「まねっこ」でおもしろいです。
ここで、次のセリフがあります。セリフの主は「子どもたちの中の一人」ですね。
「あのくじらは、きっと がっこうがすきなんだね。」
・・・なぜ、そう思ったのでしょう。
「だって」を使って続きを言わせる活動が想定できます。
「あのくじらは、きっと がっこうがすきなんだね。だって、ぼくたちといっしょに体育の授業を受けているよ」
そして、行動のやりとりに続いて、今度は会話のやりとりが繰り返されます。
みんなは大きなこえで「おうい。」とよびました。「おうい」と、くじらもこたえました。
「ここへおいでよう。」みんながさそうと「ここへおいでよう」と、くじらもさそいました。
同じ言葉の繰り返しですが、両者の「ここ」は意味が違います。
みんながさそった「ここ」はどこ?・・・運動場
くじらがさそった「ここ」はどこ?・・・答えが次の行に書いてあります。「よしきた。くものくじらにとびのろう」だから「くものくじら」です。
こうして、子どもたちは、くじらにとびのろうとはりきります。(チャレンジ1)
「天まで とどけ、一、二、三。」やっと三十センチぐらいです。
「もっとたかく。もっとたかく。」と、くじらがおうえんしました。(チャレンジ2)
「天まで とどけ、一、二、三。」こんどは、五十センチぐらい。
「もっとたかく。もっとたかく。」と、くじらがおうえんしました。
・・・そして「三度目の正直」のパターンです。
「天まで とどけ、一、二、三。」そのときです。いきなり、かぜが、みんなを空へふきとばしました。
ファンタジーにおける「別世界の入り口」を感じさせる表現です。
もちろん、くじらが人間のように体操する時点で、ファンタジーは始めっています。
最後は、ジャングルジムの上に子どもたちをおろしているので、これといった出口はありません。
無理にファンタジーの入り口・出口の作品構造で読まない方がよいかもしれません。
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