世の中は往々にして、Right と Right の選択
よくある選択問題は、「正解・不正解を見極めて、正解を1つ選ぶ」。
しかし、問題の中には、「どの選択肢も内容としては正しいが、設問の条件に合うものを選ぶ」というパターンがある。
この場合イージーに「正しい答え」を選んではいけないわけだ。
楠木健氏の講演(「ストーリーとしての競争戦略」)のメモ書きが次のように残っている。
◆競争・・メダルは1つ
◆戦争・・一方が勝てば、一方は負ける
◆商売・・複数の勝者が存在する
Right と Wrong なら、Right を選ぶのは当たり前。
Right と Wrong なら、どちらかが「優先」になり、どちらかが「劣後」になる。
しかし、世の中は往々にして、Right と Right の選択。Right と Right の場合、どちらにも「一理」から簡単に決まらない。
「異なる理」のどちらをとるか、自分の判断が大事。
・・・文科省の提言する新しい価値観は、「最適解・正解がない・多様な解が存在する」と言われるから、まさに「Right と Right」 の選択が求められている。
大事なのは、「今の条件に照らした最適解はどれか」という観点を見失わない事なのだと思う。
楠木氏のメモ書きには「商売は複数の勝者が存在する」と書いたが、汎用的に言うと
「実社会は、複数の選択肢が存在する」
なのかなと思う。
※その時の楠木氏の講演内容は少し違うが、以下のような内容。
https://www.ashita-team.com/jinji-online/event-report/2988
改めて読むと、以下の部分もなるほどと思う。
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では、そもそも競争戦略とは何でしょうか。競争戦略とは実は非常に単純で、「競争相手との違いをつくる」ことです。競争戦略理論をつくったマイケル・ポーターは、「違い」には2通りあると論じました。ひとつは「Operational Effectiveness(OE)」。これはBetterという意味の違いです。つまり、AさんよりBさんの方が速く走れるのような、同じモノサシのなかで優劣を競い、違いを見出すやり方と言えるでしょう。
OEに対して、もうひとつの「違い」は、「Strategic Positioning(SP)」という戦略的位置取りです。これは「AとBは性質が異なる」というDifferentを生みだすやり方。
優劣を測るモノサシがない状態です。人にたとえるなら、男女の違い。優劣や勝ち負けで語るものではなく、違いが違いとしてあるだけですよね。
さて、今ご説明した「違いの違い」ですが、なぜ違いを区別することが大切なのでしょうか。それは、先ほどご説明した競争戦略において重要な「競争相手との違いをつくる」とは、Differentだからです。Betterかどうかは二の次。他社よりもBetterであったとしても、それは必ずしも戦略ではありません。つまり、足が速いことも大切ですが、それ以前に他の人と違うゴールに向かって走るようなDifferentの方がもっと重要なのです。
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