対比は奥が深い④ 変化
作品の対比構造(変化)を整理すると、主題が明らかになる。
(1)「ごんぎつね」の変化
◆『ごんぎつね』の作品の中ではじめと終わりでどんな変化があったか「○○から○○」のような対比を考えさない。
◆『ごんぎつね』の作品の中で重要な対比(変化)を考えさない。
たとえば
①いたずら好きだったごんが、兵十に同情して、つぐないをするようになった。だから「いたずら」から「つぐない」へとごんが成長したという変化がある。
②ごんが兵十に撃たれた直後にごんがつぐないに来たことが分かった。だから、すれちがってしまったけど、最後の最後に心が通じ合ったという変化がある。
のような流れがあって
①「いたずら」と「つぐない」②「すれちがい」と「通じ合い」という意見が出る。
(2)「一つの花」の対比
◆「『一つの花』の作品の変化(対比)を考えさない」と問うと、「戦争中/戦後」、「ほしがるゆみ子/与えるゆみ子」、「貧しい/豊か」、「戦争/平和」、「おにぎり/コスモス」といった対比が出る(できれば単語の並列だけでなく、きちんと文章表現させたい。これも「再話」か)。
これらを、大きな対比で括ってみると、「戦時中の貧しさ」と「戦後の豊かさ」あたりが出る。
「戦争中は貧しくておにぎりも十分にもらえなかったゆみ子が、戦争が終わったら豊かな食事を楽しんでいる」対比は強調のレトリックだから、戦争中が悲惨であればあるほど、戦後の豊かさが浮かび上がってくる。
(3)「海の命」の対比
「太一の成長」という変化で考えてみると、たとえば次のような対比ができる。
①「父のような漁師になりたい太一」から「与吉じいさのような漁師になりたい太一」への成長
②「魚をたくさん捕る漁師」から「ほどほどの量で満足できる漁師」への成長
③クエを獲って復讐したい太一から、クエを逃がして「海の命」を守りたい太一への成長
(4)「やまなし」の対比
2枚の幻燈だから「五月/十二月」で分けられることは、すぐに分かる。
変化と言えば変化だが、最初から「2枚の幻燈」ではある。
①「五月/十二月」 ②「かばの花/やまなし」③「かわせみ/やまなし」 ④「こわい/いいにおい」
そして、大きな対比で括ってみると、たとえば
◆「五月は激しい動きの世界で死が訪れる」と「十二月は静かな中で新たな命が生まれる」のようになる。
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