4年生で学ぶ「対比」
4年光村の教科書に、今は「対比」という用語が出てくる。
情報に関する巻頭ページを含めると、4年は「対比」のオンパレードだ。
(1)情報の整理に関する記載。(分ける・くらべる)
◆なかま分けをすると、たくさんの物事や考えを整理することができるよ。
◆くらべると、考えの何が同じで、何が違うかが整理できるよ。
・・・情報に関わる「分ける・くらべる」は、「対比」の思考そのものだ。
(2)説明文教材の「思いやりのデザイン」の解説
この説明文は、相手を思いやるデザインとそうでないデザインとを並べることで、思いやるデザインの良さを際立たせようとしている。それを「対比」の解説例としている。対比 二つのものを比べて、ちがいをはっきりさせること。対比して説明することで、それぞれのにているところや、長所や短所が分かりやすくなる。
(3)説明文教材の「アップとルーズ」
アップの長所短所、ルーズの長所短所を順に並べている。まさに対比構造の典型の説明文だ。これを読むためのトレーニング教材が(2)の「思いやりのデザイン」という組み立てになっている。
(4)文学教材「一つの花」
ここでは、「場面を比べて感想を持とう」とのめあてが示されている。要するに戦争中と戦後を比べて感想を書きましょう、作品の対比構造を読み取りましょうということだ。
;・・・「対比」は、説明文、物語文のいずれも「情報の取り出し、情報の整理」に役に立つ。もちろん、理解領域だけのツールではない。観点ごとに整理し、まとめる表現領域においても対比が有効であることを、(1)の情報の整理が示している。
※ただし、上述した情報の記述は、学習指導要領に当てはめると、低学年レベルである。
「学習指導要領(国語)」の情報の扱い方に関する事項、「情報と情報との関係」の1・2学年の項目が次のようになっている。
ア 共通,相違,事柄の順序など情報と情報との関係について理解すること。その内容についても具体的な記載があり、指導にあたっては、〔思考力,判断力,表現力等〕の「C読むこと」の⑴の「構造と内容の把握」に関する指導事項と関連させよと書いてある。
共通,相違,事柄の順序などに重点を置いて情報と情報との関係を理解することを示している。相手の考えを理解したり自分の思いや考えを表現したりするためには,話や文章の中に含まれている情報と情報とがどのように結び付いているかを捉えたり,整理したりすることが必要となる。共通する関係を理解するとは,事柄同士の中から同じ点を見いだしたり,そのことによって共通であることを認識したりすることである。例えば,一見異なるように見えるもの同士にも見方によっては共通する部分が見いだせることを理解したり,似ているもの同士のどことどこが似ているのかを明らかにしたりすることなどが考えられる。
相違する関係を理解するとは,事柄同士の様子や特徴などについて違う点を見いだしたり,そのことによって相違していることを認識したりすることである。例えば,一見似たように見えるもの同士にも見方によっては異なる部分を見いだせることを理解したり,異なるもの同士のどこが異なっているのかを明らかにしたりすることなどが考えられる。
・・・これらは、ズバリ「対比」の思考とも言える。
「対比思考」は情報処理能力なのだということがよく分かるが、学習指導要領では1・2年の指導内容なのだ。
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