「分析批評」をきちんと世に伝えていきたい
難しいからやらない、時間がないからやらない、よく知らないという若い先生方も多いと思う。
フルスペックの分析批評でないにしろ、エッセンスを取りこむだけでも、授業の密度を上げられると思うのだが、今はどうなのだろうか。
教科書にも、それらしい用語が入ってきているのだが。
分析批評をよく知らない若い先生方に、すんなり受け入れられて反響が多いのが椿原先生の「図読法」だ。
ただ、せっかく椿原先生の「図読法」を学ばれるなら、もう一歩踏み込んで、向山型分析批評についてある程度の知識を身につけていただければと思う。
1995年3月に学習院大学で行われた第4回日本言語技術学会は「文学教材の授業でどんな言語技術を身に付けさせるか」がテーマだった。波多野里望先生、阿部昇先生、市毛先生、宇佐美先生、鶴田先生、井関先生、大内先生、渋谷先生、野口先生、藤岡先生、渋谷先生、江部・樋口両編集長、そして向山先生率いる法則化メンバー。
当然、分析批評も話題になった。いや「分析批評」の特集会と言えたか。
「読み研」の教材分析も分析批評によく似ていた。
井関先生もお見えだった。
ところが、自分自身、会が進む中で、疑問が湧いてきた。
◆教師の教材分析の過程を、そのまま子供にやらせることが「自力読み」か?
◆子供に身に付けさせたい言語技術は、教材分析技術と同じなのか?
鶴田清司氏は、教える価値のある「読みの技術」として、次の項目を提示した(一部略)。
a表現・・反復(類比)、対比、作型、イメージ語、色彩語、比喩、声喩、象徴、倒置法、誇張法・・
b構成・・題名、設定(時・場・人)、エピソード(事件)、全体構成(起承転結・クライマックス)、伏線など
C視点・・作者と話者、話者と人物、内の目と外の目、視点人物と対象人物、視覚の転換、一人称視点・三人称視点
d人物・・主役と対役、人物描写、心の変換てん、人物像の変化、呼称の変化
e文体・・語り口、作調、文末表現、余情表現、ユーモアなど・・・
野口芳宏先生が、「これでは、もう分析ではなく、分解だ」と評した。
自分の頭の中は大混乱だった。当時、サークル通信を出していて、学会報告を発信すると、ある先生から、このような感想をいただいた。
◆一時期、分析批評に凝りましたが、やめました。それは、なんのための分析なのかなと、疑問に感じたからです。始めー終わりー中の考え方、いいですね。すらすら読めるようになって、始めー終わりー中だけの検討で十分ではないかと私も思います。
・・・こういう疑問が払拭できていないのも当時の現状だった。最後に出てきた「始めー終わりー中の考え方」、これは「始めー中ー終わり」の間違いではない。次のブログで書きます。
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