Jamboardの活かし方 〜先進校の強み〜
JEES全国初等教育研究会の情報誌「wutan」の2022年2学期号に春日井市のGIGAの取り組みが特集されています。
「チエルマガジン」と同じく現在の先端校のクラウド学習の状況がよく分かります。
出川小学校の2年生活科では、先生が配信した「朝顔の苗」の写真を観察し、気づいたことをジャムボードに書いていました。友達の意見をリアルタイムで見られるので、お互いに刺激し合って、発見がどんどん増えていったのが印象的でした。簡単な使い方ですが、しっかり「協働的な学び」になっています。p6.7 |
・・・端末活用は、簡単なことから始めればいい。確かにこのような取り組みをさせている学校は山ほどあるでしょう。
しかし、詳細を読むと学ばせ方が全く違います。
一人1シートを使い、観察した写真を取り組み、発見したことを付箋に貼っていく。 付箋の色は目で見て見つけたことは黄色、手で触って見つけたことは緑色、 耳鼻口で見つけたことは水色、そのほかわからないことや感想はピンク色、 友達の発見からわかったことはオレンジ色という色分けで使っていた。 タイピングはまだできないので、手書きで入力。p7 |
ここでは付箋を「目」「手」「耳鼻口」「その他」「友達」で色分けするよう指示しています。
これは「シンキング・レンズ」の着想だということが、高橋純先生の論稿ページを読むと分かります。
例えば、稲穂を子どもたちに見せて「観察して気づいたことを出してください」と指示するだけでは発見はあまり出てきません。(中略) そこでまず、「知覚」として「五感」を働かせます。視覚を働かせて、色や形に注目したり、「触覚」を働かせて触ってみて「籾が固い」ことに気づいたり。子どもたちは情報を得やすくなります。 そうやって「知覚」した情報を、「認知」します。認知には「分類する」や「関連づける」などがありますが、私は「比較する」があらゆることの基本だと思っています。(中略) その上で「多面的・多角的に」考えてみます。P9 |
「観察して気づいたことを出してください」と指示するだけでは意見が出なくて当然というスタンスです。
だから、思考スキル(見方・考え方)を併せて教えていきます。
そこが研究者の指導助言が入った先進校の強さです。
このような普遍的な見方・考え方を習得させるから、一人学びが可能になります。
先生が「色や形に注目して」「ほかの植物と比較してみて」「農家はどうやってお米を育てているのか考えてみよう」などと指示しなくても、自分でどんどん考えて学んでいけます。シンキング・レンズは、子どもが自分で学びを進めるときの、強力な道具になるでしょう。 |
慣れてくれば、とりあえず同じ色の付箋でどんどん列挙させた後、各自の基準で色別に整理していく学習も成り立つでしょう。
「付箋の色の意味を教師が教える段階」と「付箋の色の意味を子供自身で考えさせる段階」があることを意識せずに、最初から「観察して気づいたことを出してください」とだけ指示しても、子どもは育っていきません。
端末を使うかどうかではなく、見方・考え方をきちんと教えるかどうかの教師の配慮の差が子供の学力差につながっていきます。
教師の責任は重いです。
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