○○スタンダードの転換期かな?
○○スタンダードと呼ばれる学習規律がある。勤務する春日井市にもある。
ところが、新たなクラウド活用の時代になると、従来の学習規律では立ちいかなくなるというのが、JAETのシンポジウムを聴いた私の実感。
これまでは、
「先生の指示を無視して勝手にタブレットを開くようでは授業にならない」
という一斉授業に対する秩序維持の規制があったが、これからは
「タブレットを使うかどうかを決めるのは学習者、先生が止めることではない」
「いちいち、タブレットを使うのに許可を得る必要はない」
という形の授業になる。
○○スタンダードも、意識改革が必要なのだが、そこでポイントになるのが、
【ポジティブリストとネガティブリストの違い】
だなと思った。
◆ポジティブリストは、やっていいこと(許可するもの)の一覧
◆ネガティブリストは、やってはいけないこと(禁止するもの)の一覧。
「ポジティブ」の方が良さそうに思えるが、規制は「ポジティブリスト」の方が多い。
やっていいことだけを記載する(書いてないことは不許可)なのだから自由度が低い。
学習規律(○○スタンダード)も、やっていいことだけを記載する(書いてないことは不許可)というタイプが多く、それゆえ自由度が低い。
しかし、「ここだけは守ってね」とNGだけ示すネガテイブリスト型なら、多様な学習が保障できる。
「自他の学習成果をあげるためなら」
A:「みんなと違う資料集を持ってきていいんだよ」
B:「友達と相談してもいいんだよ。自由に席を立って意見交換していいんだよ」
C:「ネット検索して、自由にアクセスしていいんだよ」
D:「教室の画用紙や色ペンを使ってもいいんだよ」
・・・AからDのような許可内容をいちいち挙げたらキリがないから、自分で判断してね。
あくまで「学習に関係する内容でなければならない」「指定時間が守らねばならない」「人の学習の邪魔はいけない」のような大枠の禁止事項さえ守ってもらえればいい。
子供が「先生、○○していいですか」といちいち許可を求めているうちは、ダイナミックな授業にならない。
もちろん、最初はそうだろうが、教師は、そういう質問にいちいち許可を出すのではなく
「あなたはどう思う?」「先生が何て言うと思う?」
と問い返してあげればいい。
「それで自他の学習に役立つことなら、自信を持ってやればいいんだよ」
と促してあげればいい。
学習規律は最低限のルールとしてとても重要であるという人もいれば、そんな風に管理するのはどうかと否定する人もいる。
最低限でいいはずなのに、結局
「具体的に示さないと学校全体の足並みが乱れるから」
といった理由で、あれこれ規制項目が増えていく学校が多い。
春日井市も、最低限の学習規律の「スタンダード」があるが、学校によって上乗せ禁止事項が増えている。
10年以上前、堀田龍也先生が市の指定校の教育アドバイザーになった時、この「スタンダード」を提唱された。
最低限の学習規律がないと、1人1台端末なんて持たせられないよ、というニュアンスもあった。
「教えるべきことはきちんと教える」の中に、ノート指導も含まれ、まずは先生が書くように丁寧なノートを作るということも強調された。
それゆえ、見やすい板書も提言された。
こうして、最低限の学習規律が成り立つベースがあるから、子供に考えさせても、無茶な行動はしないだろう、という信頼関係ができている。
だからこそ、○○スタンダードも「手放すタイミング」「次のステージ」なのだ。
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