楽しい授業は、疑問が次々浮かぶ
4年生の国語の授業「熟語の成分」で、ただ教科書の熟語をノートに書き写すだけの授業を見たことがある。
正確に言うと、デジタル教科書の画面をスクリーンに映し出しているので、担任は板書すらしない。
教室後方で見ながら、熟語の1つ1つが気になって仕方なかった。よく子どもは退屈な授業を我慢しているなあと感心もした。
「登山 山に登る」の例題があった。
見ているだけで、いろいろ連想した。
①「登山の」反対は「下山」。「山を下りる」であって「山を下る」じゃない。
②でも「登る」と「下りる」では「上下」みたいな対語にならないのはなぜ?
③「登る」と「下りる」のセットには「登校・下校」がある。でも、あとは思いつかないが、何かあるかな?
④「上京」の反対は何だ? 「下京」という言葉はないよな。
⑤辞書を引いたら「下向(げこう)は「都から地方へ行くこと」があった。初めて聞いた。
⑥でも、なんで「下向」なんだ? これは訓読みでどうなるのか、
職員室に戻って、WEB大辞林3版で「のぼる」を検索する。
のぼる【上る・登る・昇る】
「上る」は“上方へ行く。上京する。とりあげられる”の意。「坂を上る」「川を上る」「都に上る」「話題に上る」「数億に上る損害」「頭に血が上る」
「登る」は“高い所へ移動する”の意。「山に登る」「壇上に登る」「石段を登る」
「昇る」は“太陽・月・位などが高く上がる”の意。「日が昇る」「煙突から煙が昇る」「高い位に昇る」「天にも昇る心地」
〔いずれも上方へ移動する、という点で共通だが「登る」には一歩一歩地を踏みしめて上がる意が込められ、「昇る」には一気に移動するというニュアンスがある〕
・・・なるほど。「のぼる」に三種類あるなどと意識したことがなかった。
しかし、対にすれば「上下」「昇降」はあるが「登下」はない。「昇り降り・上り下り」のような対語がないのは納得がいかないな。
「登山・下山」「登校・下校」。この「登・下」はすごく気になる存在だ。
・・・国語の「言葉のまど」のような単元は、こうやって次々浮かんでくる疑問を調べたりするから楽しいんだと思う。それが「拡散的思考」だ。
一方、教科書に載っている例文だけ書き写してもちっとも楽しくない。「収束的思考」は、様々な事例を体系化する上で重要ではあるが、そればっかりでは退屈なのだ。
※追記
あれ?、退屈な授業中に、授業そっちのけで自問自答して楽しい時間を生み出していたんだから、「楽しい授業は~」というタイトルに問題があるな。
「つまらない授業でも、疑問をうかべれば自分1人でも楽しめる」の方がよかったかもしれません。
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