子供は知らなくて当たり前
ニュースキャスターの古館さんは、かつて、インタビューの相手から「パワーポイント」という言葉が出たときに、「それは何のことですか?」と問い返しました。
そのシーンを見て私は「古館さんはパワーポイントも知らないのか」と呆れました。
その後、ずいぶん経ってから、その古館さんが次のような話をしていました。
インタビューの相手から知らない言葉が出てきた際に、自分で「それは、こういうことですね」と解説するのは傲慢。 それはどういう意味かと相手に問うて、相手に語らせることが大事。 自分の知識をひけらかすようなことはしてはいけない。 |
古館さんは、自分は知っていても、視聴者の中には知らない方もいるようなら、あえて相手に説明させるのだと知りました。
「知ったかぶり」の反対、「知らないふり」ですね。
視聴者が「知らない自分」に引け目を感じないように、古館さん自身も「知らない側」だというスタンスを取っているのです。
おそらく、かつての「パワーポイント」も古館さんは知っていたのだと思います。
自分が知っているからといって、みんなが知っているわけではありません。
かといって、みんなが知らないからといって、自分が解説すればいいわけではありません。
知っている子供に説明させれば、その子たちは「いい気持ち」になれます。
「教師が子供の手柄を奪ってはいけない」というのは、こういう意味です。
みんなが知らない事を説明するチャンスは子供に譲れば良いのです。
自分自身の使う言葉が、該当学年の子供に通じるのかどうかは、常に意識する必要があります。
先生が話す言葉の意味が分からないけれど質問できないという子はたくさんいます。
相手に合わせて言葉を選ぶのは当たり前。そこを配慮できないようでは、教師は務まりません。
子供は、塾で先回りしていない限り、授業で初めて習うのです。
「自分は分かっているから」という意識で授業をすると、分からない人・知らない人はついていけません。
「なんで、こんなこと分からないの」と怒ってみても何の意味もありません。
「知らない人にも分かってもらえる工夫」が、教師の仕事です。
尊敬するA先生の学級には外国籍の子が多く、「その説明では外国籍のうちのクラスの子供には通じない」という意識で対応を工夫し続けた結果、説明上手な先生になったそうです。
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