「学習評価」大丈夫か?
2年前に書いたものを修正して示す。いまだに「学習評価」について怪しい先生がいるからだ。
「学習評価について指摘されている課題」については、中教審の部会で次のように報告されている。
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〇 例えば、学校や教師の状況によっては、
・学期末や学年末などの事後での評価に終始してしまうことが多く、評価の結果が児童生徒の具体的な学習改善につながっていない、
・現行の「関心・意欲・態度」の観点について、挙手の回数や毎時間ノートを取っているかなど、性格や行動面の傾向が一時的に表出された場面を捉える評価であるような誤解が払拭し切れていない、
・教師によって評価の方針が異なり、学習改善につなげにくい・教師が評価のための「記録」に労力を割かれて、指導に注力できない、
・相当な労力をかけて記述した指導要録が、次学年や次学校段階において十分に活用されていない、といった課題も指摘されている。
「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」平成31年1月21日中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会
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・・・現場の混乱(手抜き)を見透かされたような記載だ。
その後も、「ペーパーテストだけで評価しないように」との指摘が何度も出てくる。
ただし、一文が長いから、読むのが大変。これでは広く浸透しない。
◆「資質・能力のバランスのとれた学習評価を行っていくためには、指導と評価の一体化を図る中で、論述やレポートの作成、発表、グループでの話合い、作品の制作等といった多様な活動に取り組ませるパフォーマンス評価などを取り入れ、ペーパーテストの結果にとどまらない、多面的・多角的な評価を行っていくことが必要である」
◆「知識・技能」の評価は各教科等における学習の過程を通した知識及び技能の習得状況について評価を行うとともに、それらを既有の知識及び技能と関連付けたり活用したりする中で、他の学習や生活の場面でも活用できる程度に概念等を理解したり、技能を習得したりしているかについて評価するものである。
具体的な評価方法としては、ペーパーテストにおいて、事実的な知識の習得を問う問題と、知識の概念的な理解を問う問題とのバランスに配慮するなどの工夫改善を図るとともに、例えば、児童生徒が文章による説明をしたり、各教科等の内容の特質に応じて、観察・実験をしたり、式やグラフで表現したりするなど実際に知識や技能を用いる場面を設けるなど、多様な方法を適切に取り入れていくことが考えられる。
◆「思考・判断・表現」の評価は、各教科等の知識及び技能を活用して課題を解決する等のために必要な思考力、判断力、表現力等を身に付けているかどうかを評価するものである。具体的な評価方法としては、ペーパーテストのみならず、論述やレポートの作成、発表、グループでの話合い、作品の制作や表現等の多様な活動を取り入れたり、それらを集めたポートフォリオを活用したりするなど評価方法を工夫することが考えられる。
◆「主体的に学習に取り組む態度」については、挙手の回数やノートの取り方などの形式的な活動ではなく、児童生徒が「子供たちが自ら学習の目標を持ち、進め方を見直しながら学習を進め、その過程を評価して新たな学習につなげるといった、学習に関する自己調整を行いながら、粘り強く知識・技能を獲得したり思考・判断・表現しようとしたりしているかどうかという、意思的な側面を捉えて評価することが求められる」
○ 単に継続的な行動や積極的な発言等を行うなど、性格や行動面の傾向を評価するということではなく、各教科等の「主体的に学習に取り組む態度」に係る評価の観点の趣旨に照らして、知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりするために、自らの学習状況を把握し、学習の進め方について試行錯誤するなど自らの学習を調整しながら、学ぼうとしているかどうかという意思的な側面を評価することが重要である。
○ 本観点に基づく評価としては、「主体的に学習に取り組む態度」に係る各教科等の評価の観点の趣旨に照らし、
① 知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組を行おうとする側面と、
② ①の粘り強い取組を行う中で、自らの学習を調整しようとする側面、という二つの側面を評価することが求められる。
○ 「主体的に学習に取り組む態度」の具体的な評価の方法としては、ノートやレポート等における記述、授業中の発言、教師による行動観察や、児童生徒による自己評価や相互評価等の状況を教師が評価を行う際に考慮する材料の一つとして用いることなどが考えられる。
その際、各教科等の特質に応じて、児童生徒の発達の段階や一人一人の個性を十分に考慮しながら、「知識・技能」や「思考・判断・表現」の観点の状況を踏まえた上で、評価を行う必要がある。
したがって、例えば、ノートにおける特定の記述などを取り出して、他の観点から切り離して「主体的に学習に取り組む態度」として評価することは適切ではないことに留意する必要がある。
・・・ 椿原先生に紹介していただいた『OECD Education2030 プロジェクトが描く教育の未来」白井俊著(ミネルヴァ書房)にも、次の指摘がある。
「知識・技能」や「思考・判断・思考」が思わしくなくても、授業態度はまじめだからと「CCA」の評価が付くような場合だ。
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「CCA」といった評価をしている教師には、「勉強が苦手は生徒でも、頑張っている状況を何とか評価してあげたい」という切実な願いが込められている場合があることは、心理的にはよく理解できる。
しかしながら、コンピテンシーの統合的性格を前提に理解すれば、「知識」や「思考力」から切り離して、「態度」のみを独立して捉えることはそもそも不適切であるし、逆にそうすることによって、授業中の挙手などの表面的・形式的な態度の獲得も、数学や国語といった教科の「学力」の重要な要素であるという誤ったメッセージにもなりかねない。授業中の挙手の回数や宿題の提出などについては、むしろ普段からの声掛けや面談、通知表の総合所見などにおいて評価すべきことであり、観点別評価は、あくまで各教科を通して身に付けるべき資質・能力を評価するために行うものである。(P9)
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A:普段からの声掛けや面談、通知表の総合所見
B:各教科の観点別評価
このの2つは、明確に区別しろということ。
各校、本当に大丈夫かな?
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