問題解決型学習とシンキングサイクルは別物
日本文教出版のサイトに「算数授業のススメ」という連載がある。
その1回目が「自分でみんなで」学ぶ算数(主体的・対話的で深い学び)勝見芳雄氏担当。令和3年6月18日発行
令和の日本型学校教育の「個別最適な学びと協働的な学び」の実現のためには「一人ひとりの子どもが自分で学ぶ」「複数の子どもがみんなで学ぶ」の2つが必要だとして、算数の問題解決学習の4段階を紹介している。
「課題把握」→「自力解決」→「集団解決(練り上げ)→「まとめ・練習」
・・そう、これは、以前自分が考えていた「個別最適な学びと協働的な学び」のモデルだ。
今年度になって「それでは一斉指導から離れられない」と理解したのだが、自分が誤解する状況が、かつてはフツーに出回っていたのだ。
この連載記事には、次のような解説がある。問題解決的学習の価値と課題だ。
◆日本では、この「問題解決的学習の積み重ねによって世界の中でも算数の高い学力が維持されてきました。
ところが、この学習スタイルだけがひとり歩きした場合、授業が形式的になり子供の思考の流れに合っていないという指摘もなされてきました。
つまり、先生が「はい、では次」と言って問題解決の段階を移行させていては、授業が形式的になってしまうのです。
◆(ポイント)問題解決型学習の段階は、先生が移行させるのではなく、子どもが自分自身の学習によって主体的に移行できるようにする。
・・・今まで通りの練り上げの授業では、うまくいくとは限らないよと警告している。
そして、つい最近の連載記事。2022年12月の第6号では、以下のようなポイントが挙げられている。
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◆「個別最適な学び」を実現するためには、まず、子どもが多様な方法で解決できる課題を設定する。
◆その課題の「自力解決」では、解決する内容や順序を子どもが選択する。
◆「集団解決」で「協働的な学び」を実現するために、まず、子ども一人ひとりの「自力解決」を聞き合い、相互理解する。
◆そして、他者の学習から学んだことをもとに、自分の学習を自己調整し、その結果を「まとめ」に加える。
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ん?
ちょっとだけ「同時多発型」のにおいがするぞ。軌道修正していないか?
令和の日本型学校教育と従来の「練り上げ」の授業とは別物だということで事情が変わってきたのか?
高橋純先生の著書では、問題解決的学習と「シンキング・サイクル」は全く別だと断じている。
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自力解決→協働学習→全体学習→ふり返り、といったものは、本書では学習過程とは言わない。これは子供にとって学習過程というより、教師にとっての単元・授業過程と言うべきか、学習形態というべきもので、子どもが身につけるべき学習の流れとは言えないからだ。
「学び続ける力と問題解決」P67
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理論武装は難しい。
多面的・多角的に情報を集め、かつ適宜アップデートしていかないと取り残されてしまう。
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