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March 31, 2023

最初は、びしっとやればいいのか?

「最初にびしっと注意する」という行為が「信頼」の第一歩という先生もいます。

「鉄は熱いうちに打て」の方針です。

 毅然とした態度を保ち、アドバルーンをたたくことで、本人も周囲の子も、

「今年の先生はちょっと違うな!」

「今年の先生、なかなかやるな!」

と功を奏することもあるでしょう。

確かに、やんちゃ君がやんちゃしないように先手を打つことは大切な戦略です。

しかし、学級を荒らさないようにと気負うあまり、人間関係も不十分な状態で厳しく叱って効果はあるでしょうか?

「あれもダメ、これもダメ」とダメ出しするばかりの先生を「今年の先生は、いい先生だな」と思うでしょうか?

注意が効果を上げるには、相手との信頼関係が大切です。

だからまずは「できていること」をほめます。

教えてほめます。

先生が求めている姿を明示することで、子どもの混乱はなくなります。

 

いくら最初に気合を入れても、何らかの手を加えなければ効力は減っていきます。

最初に厳しい叱責(強い刺激)で学級を作ってしまうと、さらに強い叱責でしか子供が動かなります。

それでは指導者が自分の首を絞めることになります。

 

学級経営がうまくいかなかった先生が、「今度こそ」と気負うあまり厳しくしすぎて、うまくいかなくなることがあります。

「学級が荒れないように、厳しくする」は、必ずしも正しい選択ではありません。

「北風と太陽」のお話を思い出してみてください。

北風型の厳しい対応では、相手は心を閉ざしてしまうのです。

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子どもができることは、子どもに任せる。

年度当初は多くの先生が当番表などをラミネートしています。

しかし、掲示物は子どもに任せれば、それだけ活躍の場ができて、褒める機会もできます。

何から何まで準備するのが「よい先生」ではありません。

(山ほど配付物があるときに、あらかじめ教師がまとめておくようなことは大事な配慮です)。

教科書を配る・職員室から配付物を持ってくる・持ち物を点検するなど、子どもにできることは何かを事前に練っておきます。

年度当初ですから、「誰かお願いします」と言えば、やりたい子はたくさんいます。

「ありがたいな。先生助かるな」

と感謝の気持ちを伝えれば、初日から子供たちにいい気分にさせられます。

じっとしていられないタイプの子ほど、体を動かせるので、進んでお手伝いしてくれます。

 

「子どもの手柄を奪ってはいけない」

 

と教わったことがあります。

さまざまな仕事を係や当番に割り振ってシステムとして動かせば、教師は楽になります。

そして、それだけ教師でしかできない仕事に専念できるのですから、ウィンウィンです。

逆に言うと、子供にでもできることに時間をかけて、教師にしかできないことを時間をかけないのは、それではもったいないです。

 

授業も同じです。

子どもに説明させればいいところで、教師が説明してしまう。

子どもに板書させればいいのに、教師が板書してしまう。

漢字や計算のミニテストを子どもに作らせる方法もあります。 

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何から何まで教師がリードしてしまえば、子どもを伸ばすチャンスは奪われてしまうのです。

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「最初の三日間」の価値を意識する。

最初の三日間、これはその後の一年間を左右する重要なときである。最初の三日間に、学級をきちんと組み立てれば、その後はうまくいくであろう。

最初の三日間、のほほんとくらせば、見るも無惨、聞くも悲惨な学級になるだろう。 

 『向山洋一全集4 最初の三日で学級を組織する』

・・・子供の様子を見ながら、ぼつぼつ学級を作っていこうなどとノンビリ構えない方がよいということです。

向山氏が最初の三日間を「黄金」と名付けたのは、この機会を逃すと、天使のように純朴だった子供たちが、いつもの「やんちゃ君」に戻ってしまうからです。

初めての先生、新しいクラスに緊張しながらも、新たな気持ちで頑張ろうという3日間の内に、教師側のペースに乗せてしまうことが大事です。

3日間のうちに、次の3つを行い、「今年はがんばろう」と新たな気持ちで臨んでいる子供たちの意欲に応えます。

(1)教師の方針を示す。

(2)生活のルールづくり

(3)学習のルールづくり

多くの子どもたちは緊張し、新たな気持ちで頑張ろうとしています。

「いい姿勢だね」「やる気満々だね」「さすが〇年生だね」とほめながら、子どもたちに学習目標や生活目標を書かせましょう。

周りの人に宣言することにより、目標を達成しやすくする効果のことを「宣言効果」と言います。

学期はじめは「宣言効果」の最大のチャンスです。

  新学年である1学期の最初は「黄金の3日間」。学期のはじめはリフレッシュできるので

2学期・3学期は、それぞれ「シルバーの3日間」「ブロンズの3日間」と呼ばれます。

 「3日坊主」と言えばネガティブですが、3日ぐらいなら「やる気」もキープできるし、

先生の指示に従ってちゃんと行動できるのです。

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学級の最終日をイメージする。

年度最後の修了式の日に、保護者からお礼の言葉をもらう先生がいます。

一年間ありがとうございました。おかげで息子は一年間おだやかにすごすことができました。

できたら、来年度の担任もお願いしたいです。

・・・子どもの成長と変容が余程嬉しかったのでしょう。最終日に、保護者からこんな連絡帳をもらったら、本当にうれしいですよね。

また、子どもから「来年もこのクラスがいいな。」というリアクションがあったら、担任冥利です。

狙ってできることではありませんが、どうしたらこんな言葉をもらえるか、逆算して学級経営を考えてみてほしいです。

 

たとえば、「納得して子供を帰宅させること」です。

喧嘩やトラブルがあったとき、不満を抱えて帰宅させると、そのまま自分の都合のよい言い分で保護者に伝えるからあります。

保護者にとっては子供から聞いた内容が「事実」ですから、教師の知らないところで激怒させたり、信頼を失ったりします。

だから、納得させて帰宅させる必要があります。

「もう大丈夫? 先生からおうちの方に電話しようか?」ぐらいに詰めます。

子供が毎日楽しく過ごし、楽しく帰宅するから、次の日も学校に来たくなります。

「毎日学校が楽しい」「

来年も、このクラスがいい」

一部の子だけでなく、多くの子がこう感じるような学級づくりを目指したいものです。

無論、先生自身が

「毎日学校が楽しい」

「来年も、このクラスがいい」

と心から思い、全身からオーラを出さないと、そう思ってもらうのは難しいです。

先生自身の思いが先決です。

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March 30, 2023

我々の仕事は1年走り続けるマラソンランナー

年度当初、学級開きのスタートダッシュが大事であることは間違いありません。

最初で気を抜くと、軌道修正は難しくなります。

しかし、我々の仕事は、長距離ランナー型です。1年間走り続ける必要があります。最初だけがんばって息切れしてトーンダウンするようでは困ります。

「人の2倍も3倍もがんばれない」と同じように、「2日も3日も徹夜できない」ものです。

苦しい時は、往年のマラソンの名選手である君塚健二氏の選手のアドバイスが有効でしょう。

「私は苦しくなると、よくやめたくなるんです。

そんなとき、あの街角まで、あの電柱まで、あと100メートルだけ走ろう、そう自分にいい聞かせながら走るんです。」

・・・このセリフは、1979年の公共広告機構の自殺防止キャンペーン「すててはいけない君の人生」で紹介されたものです。

この広告で自殺を思いとどまった人もいるそうです。

1年間という長期戦だからこそ、短期の目標や、小さなご褒美を用意して、完走できるよう自分を励まし続けましょう。

今はオンラインでも同士を見つけることができる時代です。

一人で苦しい人は、ぜひ仲間(同期)を見つけて一緒に歩きましょう。

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「スキ」のある先生であれ!

リーダー養成の文章の中に「スキをつくれ」とありました。

「好き」ではなく「隙」の方です。

「相談しやすいオーラ」を出せという意味ですね。

「忙しいから今は話しかけないでね」というオーラを出すのはチームリーダーとして失格ということです。

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社内の仕事のなかで、リーダーが最優先するべきことはなんでしょうか?

それは間違いなく、部下の話を聞くことです。

リーダーであるあなたは、「自分にも仕事があるから、部下が話したいときにいつも聞くのは無理」と考えるかもしれません。

しかし、それではリーダーの役割を果たしているとはいえません。

プレイヤーではなく、部下をマネージメントしていくのがリーダーの役割なのに、話を聞かずに部下の状態を把握できるはずがないからです。

「リーダーには自分の時間は存在しない」と考えるぐらいでちょうどいいのです。

リーダーのためのビジネスマナー15

 https://www.kokuyo-furniture.co.jp/solution/mana-biz/2017/10/post-212.php

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・・・このアドバイスに従えば「担任は子どもたちの話を聞くことが最優先されるべきだ」ということになります。

子供が話しかけやすいスキをみせることが、担任の仕事の所作です。

忙しいオーラは厳禁です。

話を聞かずに子供の状態を把握できるはずがないからです。

子どもとの対話を削って、学級事務を進めるのは本末転倒で、放課は(たまには)子どもと元気に遊んでほしいです。

 

※かつて教室でトラブルがあった時、ある先生が保護者に

「すみません、昨日はバタバタと忙しかったので」と謝ると

「先生、それは理由にならないでしょ」と叱責されました。

「結果責任」を考えたら「忙しかったから〇〇できなかった」は理由になりません。

そのような理由で責任を回避することはできないのです。

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「成功」しなくても「成長」はできる!

たまたま「発達障害の二次障害」の次の特徴を読んで、うまくいかない教師のメンタルも同じじゃないかと思ったことがあります。

低い自己評価(自分へのあきらめ) 

・どうすればいいのか分からない困惑(困り感)

・自分の存在を否定する周囲への反発       

・すべてに対するやる気の喪失

・怒りなどの情動抑制の不能          

・自分を評価しない周囲への反発

・自分の将来への悲観(自暴自棄)

「事前準備が万全なら必ずうまくいく」とは限りません。

しかし「うまくいく可能性(成功率)」は高くなりますよね。

数回がんばったくらいで「成功」はしないかもしれないが、数を積めば「成長」はします。

「成功」にこだわると「失敗」が気になって一歩が踏み出せなくなります。毎日が苦しくなります。

だから「成功」なんて、めざさなくていい。

挑戦を繰り返し、少しずつ「成長」していけばいいのです。

 

オリンピックのような大舞台のインタビューで「がんばりました」より「楽しみました」と答える選手が多くいます。

行動そのものを楽しめていれば、結果がどうであろうと胸を張れます。

「仕事を楽しむ」は、慣れない初任にとっては、難しい課題でしょう。

決して容易なことではありませんが、せっかく縁あって就いた職業です。

教職を楽しむ・日々を楽しむという心意気を持ってほしいです。

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※警告 ただし「楽しければ超過勤務でも苦にならないでしょ」という上司の押し付けは「やりがい搾取」であり、パワハラです。

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自分の強みを活用しよう!

初任への最初の教育講話では

「教育実習をしたと言っても、所詮はベテランの先生がつくった教室を間借りしたもの。ゼロから学級をつくるのは全く違う」

「学生ボランテイアをやったことがあると言っても所詮はT2。はT1として自分1人で授業をするのとは全く違う」

と少し脅すことがあります。

たとえ半人前でも、子供の前では諸先輩に劣ってばかりではいけません。

どんな人にも「強味」があるので、それを活用しましょう。

「ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)」は、それぞれでしょうが、教壇に立った時の武器になることはたくさんあります。

「人前に立つ経験」は強みですが、「人前で大きな声を出す経験」なら、なおOK

◆「集団を統率する経験(リーダー経験)」は強みですが、「子供集団を統率する経験」なら、なおOK 

◆「子供に勉強を教えた経験」は強みですが、「子供集団に勉強を教えた経験」なら、なおOK

◆子供たちに披露できる運動、音楽、芸能などの表現活動や、英会話、ITスキルなど。

 

・・・性格のBig5と呼ばれる「創造性」「外向性」「協調性」「情動性」「勤勉性」を育む取り組みがあれば、それらは全て「あなたの強み」になります。

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「嘘を見抜く性格診断  BIG5-BASIC

https://big5-basic.com/front/index.php

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「わからないことがわからない」

あるパネルディスカッションで、2年目の先生が1年目の苦労をプレゼンしていました。

「わからないことがわからない」というフレーズが印象的でした。

「何が大事かが分からない」

「何をどう聞いていいか分からない」

「何をすればいいのかが分からない」

など、様々な意味合いがありますが、初心者って確かにそうだなと思います。

いきなり大海に放り込まれるようなものです。

確かに「分からないことがあったら何でも聞いてね」と諸先輩に言われても、質問するレベルの理解がないと質問すらできません。

ただし、「わからないことがわからない」には、次のような厳しい指摘もあります。

 

◆相談する側もされる側も「わからないことがわからない」という言葉を発した時点で大体思考停止していると思います。

「わからないことがわからない」から脱却する7つの力

 https://note.com/ozamasa0928/n/nb64545b9464c

 

 また、「分かったつもり」も問題です。

「なんとなく」わかったような気になって、自分の中の疑問を掘り下げるということをしていないから、質問も思いつかない。そうなってしまうと、自分の欠点や弱点に気づけていないので、なかなか状況が改善せず、いつまでたっても仕事ができるようにならないという悪循環に陥ってしまう。

「何がわからないかわからない」を減らすためにできる3つのこと 

https://baigie.me/nippo/2020/02/13/reduce_unknown_takashima/

このサイトの、

①日々の小さな気づきを掘り下げる 

②他人事ではなく、自分事として物事をとらえる  

③考えを言語化する

という3つのアドバイスが腑に落ちます。

 

「よく分からないけど、たぶんこれでいいだろう」と勝手に判断して痛い目にあったことがあります。

「聞くは一時の恥、 聞かぬは一生の恥」です。

分からなくて当たり前のうちに、ちゃんと聞いておかないと、いずれ「今更、聞けない」ということになります。

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自転車が乗れない子には補助輪がある。

自転車は「乗れる」ー「乗れない」の間に「補助輪で乗る」のステップが入ります。

いずれ補助輪を外して「乗れる」に移行します(一輪車が難しいのは、補助輪のステップがないからでもあります)。

正規教員になる前に教育実習で「補助輪で教壇に立つ」が位置づけられますが、大学での実習だけでは、補助輪期間としては心細いかもしれません。

ここ数年、教育実習の指定授業時間数が減ってきたように思います。大学からの指定授業数も「特になし、学校事情でお任せします」ということが多いです。

しかし、そう言われても、受け入れる学校側で授業実数を何時間も組むのは学生いじめのようでためらわれます。

実習生にとって授業実数が少ないのは、その場はラッキーかもしれませんが、長い目で見ると不幸です。いざ就職して担任を持った時、あまりに経験が乏しくて立ち往生するからです。

この補助輪期間の短さに不安がある方(学生)は、事前に手を打ちましょう。

残念ながら、学級担任となれば、補助輪があろうがなかろうが、同じレベルの指導が求められます。

経験不足はいずれ時間が解消してくれます。

経験不足を嘆くのではなく、自分の培ってきた経験を生かすことを考えるとよいですね。

 

※子供の支援にも「補助輪」の発想が有効です。「スモールステップの原則」でもあります。

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March 25, 2023

4月当初の教師の仕事 ~令和5年度バージョン~

今年度は例年に比べて、入学式・始業式までの余裕がありません。

翌週4月10日からは、通学班会議・通学路点検・学級写真・身体測定・給食・清掃などが始まります。

「学活」の時間には、タブレット端末や各種のファイルなどの持ち上がり作業、学級写真(そのための背順決め)、学級目標、学級ルール、清掃当番、給食当番、係、日直、学級委員などを決めます。

取り残されないように学年の先生としっかり打ち合わせてください。

自己紹介カードなど学年で共通の掲示物を用意されるかもしれません。

「黄金の三日間」「学級開き」などネットで検索すればたくさん出てくるし、学校にも図書があります。

とにかく自分で調べてみてください。

 

そうした学級づくりの体制を整えながら、2週目から各教科の授業が始まります。

注文したワークやノートが届いていなくても各教科の授業が始まります。

各教科の学習ルールなどを確定してください。時間割も自分で確定します。

 

市教委から貸し出された書籍には「3730の法則」と書いてあります。

最初の出会いの3日間・・・授業が始まる一週間(7日)・・・軌道に乗る1か月。

学級づくりと授業づくりを軌道に乗せてまずは4月を乗り切ります。

たぶん、GWまで怒涛の一か月です。

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March 24, 2023

「子供の出会い」までのはじめの一歩

◆学校でわからないことは、まず学年の先生に聞く

(今年はしっかり聞いて、次年度は、やさしく教える先輩先生になりましょう)

・職員会議で、学校と学年での自分の仕事内容を把握する(起案はないかも)。

・職員会議で、学校としてのルール等を把握する。(特に給食・清掃・生活指導)。

・学級事務のできそうな時間がどこかを把握する(出張等で確保できない日がある)。

・印刷機、裁断機などの機材の場所と使い方を確認する(PCの設定や個人登録も)。

・補助教材などは、学年で決めることになる(基本はお任せになるかも)。

・配られた「教育課程」を大事にする。これが年間の授業計画の根幹。

 

(1)担任する児童を確認する(名前の読み方も)

  クラス編成カードや差し替える健康カードや指導要録などで、およその状況をチェックする。大まかに、家庭の様子(兄弟、片親など)、子どもの様子(学力、友達関係、障害など)を把握し、申し送りで配慮しなければならないことを確認する。

  前担任がいる場合は、話を聞く。学校によっては年度当初に情報交換会が設定される。

(2)教室を確認する

  机・いすの確認(数、傷、汚れ、名札など)、掲示板のスペースの確認。

  靴箱、ロッカー、傘立て等の確認。

(3)初日に話す内容(自己紹介プラス所信表明)を準備する。

 どんなクラスにしたいか、どうなってほしいかを学年に応じて端的に

 (モノを用意したり、黒板に書いておいたりすると印象に残る)。

 学年便りに自己紹介欄があるかも。

(4)始業式の日から数日間の流れを確認する(学年通信に丁寧に記載があるかも)

・教科書配付、さまざまな配付文書(回収文書)、

・学級委員決め・日直・係・給食や掃除の仕事内容とメンバーの決定。

 (自分勝手な子、遠慮しがちな子が分かる。ズルは許さない)

・学級のルール決め(言い出せない子の意見も尊重する)

・子供の自己紹介(スピーチでもカードでもタブレットでもOK

・仮の時間割を決め、各教科の授業のスタートで失敗しないようにしっかり準備する。

・通学団会議は、担当者として責任をもって。

 

(5)学校に来てから帰るまでの子供の動きをイメージして、混乱がないように手を打つ。

・子どものその日の動きや持ち物、配付物・回収物などについて事前に確認する。

・翌日の持ち物を、朝、黒板に書いておいて連絡帳に書き写す学級が多い。前々日の夕方には黒板に書いておけるように余裕をもって準備する(計画表を有効活用する)。

・置き場所、置き方、その他のルール(動線)をあらかじめ決めておく。

 

※初日が晴れだとスムーズだが、雨が降ると混乱することが多いです。雨バージョンも別途考えておきましょう。

※該当学年の学年通信春休み号の記載内容を確認しておきましょう。始業式の連絡事項などが書いてあるはずです。

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March 23, 2023

「フィードバック」の重要性 ~叱る場合は納得させる~

よかった点を指摘するのは、ポジティブフィードバック。

悪かった点を指摘するのは、ネガティブフィードバック。

「叱る」という行為は、「ネガティブフィードバック」の1つだ。
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ネガティブフィードバックとは、相手の行動について「改善すべき点」を指摘し、成長を促すフィードバック方法です。
上司側としては、「現状維持ではなく、さらに上のパフォーマンスを期待したい」「冷静に課題を分析するスキルを身につけてほしい」という狙いで行います。
相手によっては精神的なダメージになることも多いため、語気や言葉遣いなど、伝え方には十分注意するようにしましょう。
伝え方の一例としては、「あなたの成長のために、あえて厳しいことも伝えるね」と会話の主語を"相手"にして、励ましの文脈で部下のやる気を醸成するようにします。
行動に改善が見られたら、ポジティブフィードバックで称賛することも大切です。
「正しく指摘する」→「改善できたら称賛する」を繰り返すことで部下の意識改革を促進できることもあるため、ぜひ参考にしてみてください。
https://mpg.rightmanagement.jp/tm/hrcafe/leader/20201208-04.html
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・・・改善を促すためとはいえ、ネガティブな指摘は、伝え方も十分注意したい。
「正しく指摘する」→「改善できたら称賛する」を繰り返すことで部下の意識改革を促進できる」という記述に納得した。

また、上記サイトのフィードバック(相手の行動に対して改善点や評価を伝え、軌道修正を促すこと)を効果的に行う7つのポイントも、「叱る」際のポイントとして読み取れる。

(1)具体的に伝える

(2)リアルタイムに行う

(3)人にではなく行動に対して行う

(4)実現可能なものにする

(5)本人の意思を確認する

(6)シチュエーション・態度に気をつける

(7)普段から信頼関係を築いておく

特に以下の指摘は「叱る」の重要ポイントとして耳に痛い。

◆ネガティブフィードバックの場合は、相手が「叱られる」「否定される」と思い、萎縮してしまうケースもあるかもしれません。
だからこそ、部下へ精神的な負荷をかけないためにも、必要以上に強い語調や高圧的な態度は避けるようにしましょう。
また、フィードバックは決して「恥をかかせること」が目的ではありません。そのため、あえて全員の前で指導するようなシチュエーションも避けるべきです。


◆一方的な考え方の押しつけは、相手の不満を募らせてしまいます。
そのため、フィードバックしたあとには、できるだけ相手に理解できたか・納得したかを確認することが大切です。

・・・「子どもを納得してから帰らせる」という私なりの生活指導の鉄則も、ここで重なってくる。
一方的な考え方を押しつけて、不満を募らせたまま下校させると、子供の言い分を聞いた保護者から反撃を食らうことがある。

◆伝わったかどうかを確認して、納得させてから帰す。

◆厳しい指摘を受け入れるには、相手の気持ちを汲み取る姿勢が欠かせない。

どれも、もっともな指摘だと思う。

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March 22, 2023

子供を挑発する先生に!

ある授業で、ベテランの先生が学習プリントを配る前に、

「すごく難しいプリント。みんなできるかな?」と、子どもの挑戦意欲をかきたてていました。 

「うん、できる」「やってみる」と、子どもがやる気になりました。

たった1枚プリントを配る場面でも、このような一言を加えるかどうかで、子どもの意欲や集中度がぐっと変わってきます。

その後、プリントを配る際に、「姿勢のいい列から配ろうかな」と言うと、子どもの姿勢が一瞬でよくなりました。

このような一言・二言が言えるかどうかで、学習のしつけがぐっと変わってきます。

 このような対応がベテランの「技」です。

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できない子に共感する先生に!

ある2年生の子が漢字の間違い直しで苦労していました。

「来」が書けなくて「半」と書いています。

「惜しいね。」と声をかけると、今度は「米」と書き直しました。

なるほど、確かに「半・米」と「来」はよく似ています。

しかし、よく似ているから簡単なのではありません。

むしろ、よく似ていると混同しやすいから難しいのです。

 

「季節の季」と「委員の委」で苦労した先生も多いのではないでしょうか。

 

「簡単だからすぐ覚えられるよね」などというアドバイスは要注意です。

数字・ひらがな・カタカナ・アルファベットなどで、つまずく子たちの困り感に寄り添う教師であってほしいです。

 漢字は、できない子が「悪い」のではなく、書ける子が「すごい」のです。

 

ストレスマネジメントのアドバイスに

「辛い気持ちを乗り越えると、一画増えて、幸いになる」とありました。

「辛い」と「幸い」が一画違いというのも意味深いですね。

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子供に寄り添う先生に!

例えば、GWの連休明けでさっそくいつも通りの授業するのは、子供に酷です。

体育の授業でクタクタな時、「さあ、算数の授業やるぞ」と言いのも、子供に酷です。

週末、ある学級の子どもたちは、持ち帰りの荷物で両手いっぱいでした。

仕方ないことですが、だからといって、ただ「我慢しろ」ではなくて、配慮できるところは配慮して、子どもの大変さに共感することが大事です

「聞いていない子が悪い」「忘れた子が悪い」「みんな同じだからワガママを言う子がおかしい」では子供も不満がたまります。

日常のあらゆる場面で、「子どもたちも大変だな」と思って、手を打てるかどうか。それが「子供に寄り添う」です。

 

先生がいつも子どもたちの状況を理解して配慮していれば、その思いはきっと子供に通じます(保護者にも通じます)。

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子供に好かれる先生に!

4月には一緒に遊んでくれた先生が、忙しくなってだんだん遊んでくれなくなり、教室が荒れてしまったという事例をよく聞きます。

子どもに好かれている先生は、放課になると子どもたちが寄ってきて仕事が進みません。

だからといって「仕事しているときは近づかないで」とブロックしたら、いずれ子どもが寄ってこなくなるでしょう。

「先生、遊ぼう」と誘ってきたときに、「よし、遊ぼう」と相手をする先生。

「先生、聞いて」と話しかけてきたときに、「何?」と身を乗り出して聞いてくれる先生。

子供が学校にいる間は、子供との時間を最優先できるとよいですね。

「リーダーは隙をつくれ」という言葉もあります。

上司は、部下が相談しやすいように暇そうにしろという意味です。

学級担任も同じです。

話しかけやすいオーラを出しましょう。

そして、子供が学校にいる間は、子供最優先で過ごしましょう。

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ワクワクする毎日に!

脳は『安定』を好みますが、『不安定』も大好きです。

だから、いつも同じことやっていると飽きてきて、ハプニングやサプライズが欲しくなるのだそうです。

人生にはドキドキやワクワクが大事なのです。

「そうか、私は『安定』志向なんだ~」

という方はいませんか?

 

「自分の心地よいゾーンを『コンフォートゾーン』と言います。別名は『ぬるま湯」です。

快適なゾーンは、「楽」です。でも楽ばかりしていると、人間ダメになりますよね」

 

「そうか、もっと刺激を与えないといけないね~」

「何でも楽をしちゃあダメだね~」

という方はいませんか?

 

教師がワクワクしないと、子供もワクワクしませんね。

教師は安定した職業と言われがちですが、子供と過ごす毎日はハプニングとサプライズの連続です。

ドキドキワクワクの毎日を大いに楽しみましょう。

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教室をワンダーランドに!

「学校はWOW体験を与える場であれ」と聞いたことがあります。WOW(ワオ!)は英語で驚きや感動を表します。

Wと言えば「WONDER(ワンダー)」も「驚き」や「不思議」を表します。驚きがいっぱいで「ワンダフル」、驚きがいっぱいの場所は「ワンダーワンド」です。

茂木健一郎氏は、楽しいことを続けていればどんどん上達することを「強化学習」と呼びました。

◆何かをやっていて、うれしいとドーパミンが出る。

◆快感を生み出す行動が次第にクセになり、繰り返していくうちにその行動が上達していく。

のだそうです。

笑顔、驚き、歓喜、熱中、感動、わくわく、WOW体験、ワンダーランド、好奇心・・・

みな同じです。

子供が「できた!分かった!」と歓声を上げ、「明日も学校に来たい」と思わせる毎日にしてください。

 

※「脳を活かす勉強法: 奇跡の『強化学習』」(PHP)

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最初は誰だってできないものです!

初任の先生たちは、周りの先生のようにできなくて落ち込むこともあると思いますが、最初はできなくて当たり前です。

ここで「ああ、自分にはできない。自分には向いていない」と諦めたら、何だってできないまま終わってしまいます。

続けているうちに、早くできるようになるし、たくさんできるようになるし、質も上がってきます。

そこまでは、苦しいけど踏ん張ってほしい。できなくたって当たり前なのです。

UNIQLOの柳井正社長(当時)はあるインタビューで「商売はスポーツと一緒で、ある程度できるようになったら面白い」と話していました。

最初から一輪車に乗れる人いないでしょう。数回やって自分には無理だと諦めた人は永遠に一輪車に乗れません。

ようやく採用されたのです。面白さが分かる前に、あきらめて突然辞職するなんてもったいないではありませんか。

 

最初から自転車に乗れる人はいない。

永遠に自転車に乗れない人はいない。

乗れてしまえば、最初の苦労が嘘のようにスムーズになる。



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学級経営の極意 教師は「褒める」より「驚く」!

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子供を褒めるのは、教師が「こういう子供たちを育てたい」という気持ちのあらわれです。

子供のよさに気づいたらどんどん口にして、子供をいい気分にしてあげてください。「そんなの当たり前」と思ってしまったら、ほめ言葉は出てきません。

ポジティブな雰囲気の教室にするための秘訣は「ほめる」ですが、さらに効果的なのは「驚く」です。

「すごいね」 「ちゃんとできているね」 「はやいね」

と、できている子に驚きをぶつけます。

先生のオーバーリアクションが教室の雰囲気を和ませます。

  

さすがだなあ!

しらなかったなあ!    

すごいなあ!

センスあるなあ!

そうなんだ!

 

ほめ言葉の「さしすせそ」まだまだあります。素敵なほめことばをたくさんストックしておきましょう。

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March 14, 2023

「ひ・ど・い」叱り方の正反対が、「心理戦略」

「ひ」・・比較

比較する叱り方は、脳の視床下部をアタックする。

闘争心をあおるので、反発を招きやすい。

反省を促すことができない。

 

「ど」・・怒鳴る

怒鳴る叱り方は、扁桃体をアタックする。

恐怖を与え、逃走心をあおるので、相手が逃げ出してしまう。

緊急性を意識させるが、落ち着いて理解させられない。

 

「い」・・嫌味

嫌味な叱り方は、海馬をアタックする。

心を傷つけるので、トラウマを残す

反骨精神を引き出すが、素直に聞かせられない。

 

・・・2015年、人材コンサルタント会社社長、麓聡一郎氏の講演で聞いたお話。

演題が「スマホ世代の子供への叱り方のコツ」。

 

 「叱る」の意味は、口で「切る」。

 「相手の甘え」を断ち切るというのが「叱る」のスタンスとのことだった。

 自己の都合を優先して他人の都合を無視するのも甘え。

 「これぐらいいいじゃん」と相手の領域に踏み込んでくるのも甘え。

 分かっていながら約束を守らないのも甘え。

・・・子供たちのお試し行動を適切に制す(一線を越える行動は毅然と制す)のも、甘えの断ち切りと言えるが、愛情確認の行動なので問答無用で遮断するのはよくないと言われている。

 

さて、この講演の冒頭で、DJポリスの話題があった。

2013年のサッカーワールドカップで話題になったので、もう10年経ちましたね。DJポリスを知らない人もいるでしょうか。

ワールドカップ勝利で盛り上がった渋谷の交差点の人だかりで、1人のけが人も逮捕者も出さずに、その場を制圧したのがDJポリスの誘導。

DJポリスは、「心理戦略(サイコロジカルストラテジー)」に基づいて、指示を出した。

youメッセージではなく、Iメッセージでもなく、WEメッセージを使い、「みんなが12番目のメンバーです」「私だって気持ちは皆さんと同じなんです」と話して、集団を味方につけた。

叱らないで、怒鳴らないで、強圧的な態度をとらないで相手の行動を制御した。

エアーコントロール・エアーマネージメントと言うそうだ。当時のメモ書きに「DJポリスに、統率の極意を学ぶ」と書いた。

向山先生が統率の極意を学んだのは、学生運動であったから、まさに「心理戦略」だったのだろうと思う。

叱らないで、怒鳴らないで、強圧的な態度をとらないで相手の行動を制御する

・・これがスタンダードになるように、自分もしっかり学んでおきたい。

 

ところで、

多くの先生(大人)は、「怒鳴る」はさすがにまずいと分かっている。

怒鳴ってはいけないけど、それでは腹の虫がおさまらないという人はどうするか。

ネチネチとやる。比較する。嫌味を言う。

あるいは「どうして、そんなことをしたの?ダメだよね。ダメって分かっているのに、どうしてそんなことしたの?」という無限ループで追い詰める。

川上康則先生が指摘した「毒語」は、この類だ。

============

(1)質問攻めの問い詰め

・何回言われたらわかるの?・どうしてそういうことするの?

・ねえ、何やってるの?・誰に向かってそんな口のきき方をするんだ?

 

(2)裏を読ませる言い方

・やる気がないんだったら、もうやらなくていいから(本当は「やりなさい」)

・勝手にすれば(本当は「勝手なことは許さない」)

・あなたの好きにすれば(本当は「言う事を聞きなさい」)

 

(3)脅しで動かそうとする

・早くやらないと、〇〇させないよ。

・じゃあ、〇〇できなくなるけどいいね。

 

(4)虎の威を借りる言い方

・お母さんに言おうか。

・校長先生に叱ってもらおうか。

 

(5)下学年の子と比較する

・そんなこと1年生でもやりません。

・そんな子は一年生からやり直してください。

 

(6)見捨てる

・じゃあ、もういいです。

==================

・・・子どもにしてみたら、ネチネチと長く拘束されるくらいなら、いっそ怒鳴ってもらった方がすっきりする。

ぱっと見は「怒鳴る」に比べて「比較する」「嫌味を言う」は許容されそうだ。

しかし、どれも脳をアタックする教育虐待だ。

 

「怒鳴る」は自己嫌悪に陥る人もいると思うが、「比較する・怒鳴る」はそうならないと思う。

それだけ根が深く、罪が重い。

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『なぜあの教師は保護者を怒らせるのか』

~関根眞一著(教育開発研究所)~
この時期になると、謝辞を述べる保護者もいるが、手厳しい保護者もいる。
手厳しい保護者というのは 
「最初は我慢していたけど、もう我慢の限界なんだろうな」
「最初は期待していたけど、もう落胆ばかりなんだろうな」
と思う。
日々忙しい先生に保護者対応のスキルまで求めるのは酷だ。
ただ、そのスキルがないために苦情が減らず、保護者を味方に付けられないのだとしたら損失は大きい。
対応が悪い教師・対応を知らない教師は、保護者を怒らせる。あるいは失望させる。
そうならないために、「未然防止」として、少しは知っておくと良い。
著者の関根氏は苦情・クレーム対応アドバイザー。
裏表紙には、本書の肝である2つの言葉が提示してある。
①ひとまずすべて「苦情」として受け止めることができいれば対応の失敗は最小限となる。
②言わずにいられない保護者の気持ちの「落としどころ」が見つかるかどうかがポイントになる。
・・・①は「最悪を想定する」の意味。保護者の電話や来校する理由を軽く考えない方が誤解がなくて済む。
そして②はわざわざ電話や来校した苦労に報いる結果を出さないと、さらに不満が増えてしまうという意味。「電話してよかった・来校してよかった」と思ってもらえれば、それ以上悪い方向に進まない。
保護者が不満を持つ多くの原因は学校サイドにあるとして、次の11点を挙げている。P34
===============
1、教師が保護者の話を最初から真剣に聴かないことがある。
2、申し入れは嫌なものだと頭から否定している教師がいる。
3、相手の申し入れを苦情と考えていない。
4、苦情対応の能力が、教師は一般人より劣ることを認めたくない。
5、話の腰を折り、言いわけや正当性を主張する。
6、詳細を調査しないで話を終結させようとする。「時間をいただけますか」が言えない。
7、時系列に添った正確なメモをとらない。
8、多少でも自分に非があると、独力で穏便に解決しようとする。
9、上司への報告が遅く、対応が自分の判断能力内に留まる。
10、事が大きくなるまで幹部に相談をしない。
11、苦情の対応事例等を学ぶ場がない。つくらない。研究しない。
===============
・・・我々教師は苦情・クレーム対応専門の職員ではないから、その対応スキルに特化して技量を磨く暇はない。
ただし、この11項目の指摘を真摯に受け止めるべきだろう。
なお、次の様子は、学校ではよくある光景だ。
====================
多くの教師が保護者を、管理職のいる職員室近くの応接室ではなく、教室に連れていき、二人きりになる。さらに「どこに座りましょうかなどと、保護者に尋ねてしまう。通常、担任がセッテイングしておくべき場の設定でさえ決定できず、挙げ句は主導権を保護者に委ねるときもある。保護者も、校長室の隣の応接室なへ通されたなら、軽々しい発言はつつしみ、いい加減なことは言えないし、悪態もつけなくなるだろう。
=======================
この後、保護者が座ったらお茶ぐらい出すべきで、お茶は問題解決の最適な小道具なのだと書いてある。
私もかつて明らかに問題がありそうな懇談の場合は校長室を使わせたが、担任が自分の判断で教室で済ませることが多かった(しかも担任1人で)。
今思えば、明らかに問題がありそうな場合は2名で聴くのが基本だろう。
また、私自身、担任として1人で自宅を訪問したこともあるが、明らかに問題がありそうな場合は2名で行くのが基本だろう。
自分自身もそうだったから自戒を込めて書くが、何でも1人で済まそうとすると事態が悪化する。
事態が悪化してから、管理職に報告されても、手が打てない。
だから、先の「多少でも自分に非があると、独力で穏便に解決しようとする」「上司への報告が遅く、対応が自分の判断能力内に留まる」「
が大きくなるまで幹部に相談をしない」は、まさにその通りだと思う。
今年度、保護者対応で苦労された先生方、お疲れさまでした。
みんなで事例を共有して、苦しむ教師を減らしていきましょう。
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March 10, 2023

2年目の落とし穴 ~教育は「菊づくり」ではないから~

朝の会、授業、給食、清掃など、1日の流れ・授業のが流れがシステム化されて、「先生がいなくても」あるいは「先生が言わなくても」スムーズに流れる場面が多くなってくる。
2年目以降になれば、1年目の反省を活かし、年度当初から意図的にシステム化に向けて子供を鍛えていくことができるだろう。
1年目より快適に学級経営・教科経営ができるはずだ。
しかし・・・
学級が違い、子どもが違えば「今年の当たり前」が通用しないことも多々ある。
強引に自分のやり方を押し通そうとすると、逆に今年よりもうまくいかないことが多くなるかもしれない。
向山先生も紹介している「菊つくり」の話とリンクする。
◆江戸時代の儒学者である細井平洲が『教育とは、菊好きの人間が菊を作るようにしてはならない。百姓が野菜や大根を作るようにすべきなのだ。』と語っている。
「菊を育てる」は、自分の理想に合わないものを摘んで、最後に1つ残す方法。
「野菜を作る」は、それぞれの形を受け入れて育てていく方法。ダメな野菜を捨てたりしない。
初任の先生には、次年度、自分の理想を押し付ける「菊づくり」ではなく、どの子も大事にする「野菜作り」の精神で、授業づくり・学級づくりに邁進してほしい。
今年と同じ失敗をしないようにと焦るあまり、理想像を子供に押し付けると、今年以上に失敗する。

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初任が次のステージに上がるために

日々の授業準備や事務仕事に追われていると、休みはただただボーっとしていたくなる。

あるいは休みぐらい、仕事のことを忘れたくなる。

でも。

少し余裕ができて、

「本でも読んでもみるかな」

「研修資料に目を通してみるかな」

「休日の学習会にも参加してみるかな」

と思えるようになると、そこでノウハウが手に入るからますます余裕ができる。

そして、プラスのサイクルが回り出す。

しかし余裕がないと、いつまでたってもインプットできないからスキルアップもできない。

こうして、学びのサイクルに入った先生と入らない先生の差は、今後どんどん広がっていく。

実習生・学生ボランティアと正規担任では仕事が全く違う。

初めての教員生活で、1年間、大変だった時期もあると思うが、今年度の苦労をバネにして、次年度、独り立ちしてほしい。

端末活用の授業実践では、校内で先進的な存在になってほしい。

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初任を苦しめる要因(10)とりあえずラスト

「教師を辞めました」という悲しいエピソードを目にするたびに、こういうネガテイブな発言だけが取り上げられるのは嫌だなあと思ってきました。
「教壇に立つ前、何も教わりませんでした。いきなり担任として仕事を任されました」みたいなことが書いてあると、
◆大学で何をしてきたか。教育実習で何をしてきたか。
と思うし、
◆なぜ、採用試験で通過できたか。
と思ってしまいます。
小学校の場合、いきなり担任として1年を任される大変な仕事ですよ。
それを覚悟で就職希望したのじゃないのですか?
「いきなり担任になるなんて知らなかった」ということはないはずなのです。
むろん、不幸にして
◆大学では何も教わらなかった
◆教育実習では何も教わらなかった
ということがあったかもしれません。
でも、他人のせいにして自分の人生を棒にふるのは悲しすぎます。
今は「学生ボランティア」を受け入れている学校が多いです。
それやりましたか?
塾などの「教える」アルバイト、イベントなど「集団を相手にする」経験は教職に役に立ちます。居酒屋のような対人関係のアルバイトをした人もタフでいいと思います。
それやりましたか?
教育雑誌や教育セミナーやTOSSランドだって、そうです。
ネットで検索すれば、すぐに出てきます。たとえ本を買わなくても授業や学級経営のノウハウはネットで出回っています
それ見ましたか?
心を病んだ人に追い打ちをかけることは酷です。
でも、そうなる前に手を打てなかったのでしょうか。
自分は管理職のとき、実習にくる学生に、こう伝えてきました。
「実習で、自分には教師は向かないと思ったら、やめればいい。適性を考える最後のチャンス」
かつて県内の有名な女子大学の教授にお会いした時、冗談まじりに次のように話しました。
「先生の大学のまじめな女子学生が採用試験を受けたら成績優秀だから受かっちゃいますよ。でも、本当にそれでいいかどうか、よく考えるよう学生にお伝えください」
まじめな女子大生では「やんちゃ君」や「すごい保護者」の対応でつぶされてしまうことが多いからです。
こんな意地悪な言い方をするのは、未経験の学生が「受験学力の高さ・受験対策の高さ」によって採用試験に受かる一方、経験豊富な常勤講師が受からない状況に疑問を持つからです。
新卒にメンタルをやられるリスクがあるなら、常勤講師の正式採用をもっと優遇してほしいのです。
もちろん、教師の魅力あるエピソードを読んで「教師になりたい」と思う学生が増えることは望ましいです。
でも、その一方で、「教師を辞めました」という悲しいエピソードを見て、「教員はブラックだからやめておこう」と思う学生がいるなら、それはそれでいいかなとも思います。
そういう大変さも承知で採用された方が「こんなはずじゃなかった」という挫折を防ぐことができるからです。
意地悪な発信で申し訳ありません。だから丁寧語で書いています。
改めて向山洋一先生の『斎藤喜博を追って』を読み返してみて、
「生半可な気持ちで教職を選んではいけない・教壇に立つ責任の重さを自覚しなくてはいけない」
と感化されています。
いかなる状況で採用されたにしても、メンタルをやられない教師に育つように初任者指導をしていきたい・
・・・自分への決意を込めて発信しました。
「レジリエンス」について、次のような記述があります。
 むしろ、厳しい状態を耐え抜くことによって、「諦めずに頑張り抜く心」が鍛えられていくのである。きついを状況の中、諦めずに頑張ることによって、何とか逆境を乗り越えることができた。そんな経験が自信になって「諦めない心」が育つのである。
『伸びる子は〇〇がすごい』榎本博明著(日経BP)P108〜109

・・・教師をめざすなら、失敗を乗り越える力 ・レジリエンスを高めておいてほしいし、教師になってからも、日々高めてほしいです。
私は、指導員として初任の先生に「失敗を乗り越える力 ・ レジリエンス」の大事さを伝え、励ましていきます。



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March 09, 2023

初任者を苦しめる要因(9)

「教わる気持ち」と「学ぶ気持ち」


校内研修にしろ校外研修にしろ、公的な研修は「教わる」という受動的・他律的な意味合いが強い。

一方、休日返上で身銭を切って参加する自主研修は「学ぶ」という能動的・自律的な意味合いが強い。

同じような意味合いで使われるのが「誘因」と「動因」という言葉。

「誘因」は、外的な環境や条件のことで給与や昇給などが含まれる「インセンティブ」。

「動因」は内発的なモチベーションで、自分で奮い立たせるやる気のことを「ドライブ」と言う。

 ビジネスシーンで使われる場合の「ドライブ」とは、通常「駆り立てる」「追い立てる」の意味になる。

他人や自分を鼓舞したり、気持ちを奮い立たせるために使われる言葉で、噛み砕いて言えば「気合を入れる」「もっとがんばる」といった意味合いになる。

 

授業の準備に奔走するのが給料をもらう生計=「誘因」のためなら、それは、いわば「ライスワーク」。

もらえる給料に見合うところで行動すれば良い。

一方、授業の準備が楽しくて子供の反響が楽しみで取り組んでいるとしたら、それは「動因」になっている。

いわば「ライフワーク」。自分が納得するまで追究すれば良い。

「学ぶ」ではなく「教わる」気持ちの相手に熱心に教えても、相手は迷惑だろう。

5分のつもりで指導の言葉をもらいにきたのに、30分もも講話されたら本人もたまったものではないが、良かれと思って逆に恨まれる方もたまったものではない。

だから「啐啄同時」。

学ぶ気持ちがあるなら指導者も熱を入れて教えるし、教わる側の気持ちがそれほどでもないならほどほどにしておけば、お互いの無駄が省ける。

「学ぶ」と「教わる」の間に「教えを請う」がある。。

自分から進んで訊ねてくれるなら、教える側もそのリクエストに特化すればいい。

本当に学ぶ気があるなら漫然と「教えてもらう」ではなく、「教えを請うてみよ」なのだ。

・・・とまあ、これは教師の研修も問題だから、これでいいと思っていた。

しかし、子供の場合と重ねてみたら、そうでもないなと思えてきた。

子供にとっての「授業」が、「教わる」だけで「学ぶ」を感じていなかった時、教師はそこで諦めるか。

学ぶ意欲を奮い立たせられなかった自分の力量を反省して、何とか「学ぶ楽しさ」を実感してもらおうと努力するではないか。

ならば、教師の研修も同じだ。

相手に学ぶ意欲がないからと諦めるのではなく、学ぶ楽しさを実感できるまで教えるのが指導者の仕事だ。

初任者研修や校内研修で学ぶ側の熱を感じないとしたら、熱するよう働きかけ工夫するのが、指導者側の仕事なのだ、

もし、いつまで経っても自分から「教えを請う」姿が見られないとしたら、指導の中身がお粗末か、コミュニケーションが足りていないかどちらかだ。

若い先生も「僕を教えるのも給料のうちですよね」と開き直れば良い(その代わり、その言葉は保護者から浴びることがあることを覚悟しておいてほしい)。

「若い教師が学ばない」と嘆くのではなく、そのような教師を「優れた学び手」にしていくことを課していかねばならない。

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初任者を苦しめる要因(8)

自転車操業

初任者は、次の時間の授業、目の前の仕事に追われて火の車だ。
論語の「遠き慮りなき者は必ず近き憂えあり」を思い出す。


◆将来のことをよく考えないで目先のことだけに追われていると、近いうちに必ず困ることが起こる。

「目先の準備をしないと回らない」のが現実だが、そんな中でも、先々を見通して準備をしてほしい。

「あっ、この授業ネタは1か月後に使えそうだな」とキープできるようになると授業準備にも余裕ができる。

たまりにたまった火の車の負債は、GWや夏休みなどで挽回してほしい。

◆作家の幸田露伴は『努力論』の冒頭で、努力には「直接の努力」と「間接の努力」の二種類があると言っています。

 前者は「当面の努力」で、さしせまった目標に向かって精一杯頑張ること、後者は「準備の努力」で、将来のための基礎づくりとなるものです。

 たとえていえば、明日の試験に出そうなところを集中的に暗記する努力と、すぐに結果はでないけれど、将来のために基礎から学んでいく努力との違いといったらよいでしょうか。

 努力してもなかなか目標が達成できないのは、多くの場合、直接の努力ばかりで間接の努力が欠けているからだと、露伴は説いています。

 ~上廣哲治 「目標を達成するための地図」『倫風』2022年2月号~


論語の「遠き慮り」は、露伴の言う「間接の努力(準備の努力)」だ。

「近き憂え」は、「直接の努力(当面の努力)」。

差し迫った仕事を終えないと、自分らしい学び(準備の努力)に向かう余裕はない。

「木こりのジレンマ」につながる無限ループだが、それでも奮闘していると、ふと懸案だった仕事が片付く時が来る。

そうなった時を見逃さずに、先に先にと片づけていく習慣をつけておくとよい。

そこで「ほっと一息」すればいいところを、「どっぷり休養」してしまうと、また自転車操業になる。

「明日できる仕事は今日やるな」という言葉もあるが、その甘言にまどわされないで、

「できるだけ早め早めに仕事は済ませておく」=先手必勝の習慣を身につけてほしい。

 

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新規採用者を苦しめる要因(7)#初任者

UNIQLO柳井社長はあるインタビューで「商売はスポーツと一緒で、ある程度できるようになったら面白い」と話していた。

自分も初任には

「最初から一輪車乗れる人いないでしょう。数回やって自分には無理だと諦めた人は永遠に一輪車に乗れない。教師も、慣れるまで、ある程度訓練するしかない。」

といった話をしてきた。

ある年の2学期末の初任の様子を見ていると、残念ながら「ある程度できるようになって面白さが分かってきた」という雰囲気はなかった。

むしろ、1学期は何とかおとなしくしていた子どもが騒がしくなってきて、年度最初より自信をなくしているようだった。

いよいよ教職の難しさに直面してきたというところだろうか。

「ある程度できるようになったら面白さも分かってくるよ」とアドバイスしたいところだが、そのためには「努力の見通し」を解決しないといけない。

「今の調子なら、1か月もあれば大丈夫ですよ」というように、指導する側が達成状況を客観視して伝えてあげられるといい。ある程度できるようになるまで、あとどれくらい訓練が必要か、その見通しがないとくじけてしまう場合も多いが、残念ながら支援する側にそのような眼力がない。

初任の授業は、ベテランから見れば足りないところはたくさんある。

だからといって一から十までダメ出ししても本人の役に立たない。

授業や学級経営のアドバイスも、今の状況、今のレベルに合わせて伝えないと初任は凹んでしまう。

啐啄同時。

初任が求める支援と、指導員が与える支援がうまくマッチしないと、指導の成果は上がらない。

アドバイスは一般論でなく個別対応で、本人の良さや精神状況に合わせて、本人の腑に落ちるものにしたい。

初任に初任者研修が必要なら、指導員にも指導者研修が必要だ。

しかし、校内指導の役割を担う教務主任に、指導者研修の機会はほとんどない。

それをいうと、その教務主任の研修を担う指導主事だって、その指導能力に長けているとも言えるのかどうか・・。

どこにも「上達のシステム」がなく、全てが「個々の学び」に依存しているので、システムとして初任を支援することができていない。

TOSSだけが、授業力・学級経営力向上の指標を持っているとしたら、国家的な問題を解決するには、あまりに脆弱だ。

一部の教師が身内の中でだけ学びを深めていては、多くの教師が救われないと思う。

まだまだ自分のやるべき課題は多い。

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初任者を苦しめる要因(6)#初任者 #働き方改革

かつてイチローが「人の2倍も3倍もがんばるのは無理」と話していた。

できるのは、2倍も3倍でなく、2、3割増程度の努力。

5割超勤すると過労死ラインに突入するから、「死に物狂い」の度を越した根性努力は、本当に死を招く。

かつて、野口芳宏先生は「絶縁能力」が必要だと言われた。

人はあれもこれもできないのだから、どこかで絶縁の判断をしなくてはならない。

だから野口先生は、他教科を断ち、「国語の名人」になった。

「選択する、断つ、断る」ができない人は、あれもこれも手を出して結局成果が出せずに終わってしまう。

二刀流の大谷選手を否定するつもりはないが、彼は常人ではない。

新人だって仕事を任されたら、真面目だから「あれもこれも」になる

まして担任業務となれば、どれひとつも疎かにはできない。

手を抜いていいなんて夢にも思わない。

しかし、どこかで軽重(メリハリ)を付けて、手を抜いたり、他人に頼ったりしなければ教育の質が維持できない。

結局全部ダメになる。

 

だから指導者が「これはやらなくていい」「これはやるな」と言ってあげないといけない。

やらなくていい仕事を「見える化」し、「命令」しない限り、若い先生を過労死や精神疾患から守れないのだ。

◆人間だれしも時間は1日24時間と決まっている。一人で1日48時間も使えるという人はいない。24時間あっても、本当に「24時間仕事バカ」だと死んでしまう。睡眠もとらなければならない。プライベートの生活もある。どんなに集中力があっても、まともに仕事に使える時間はせいぜい一日12時間だろう。

◆何から何まで、商売丸ごとを動かして成果を出すのが経営者。しかもハンズオンのスタイルで仕事をするとなると、時間がいくらあっても足りなくなるのが当たり前。ということは、自分で手を出すことと、手を出さないこと、その線引きがよほどしっかりしていなければならない。

・・これは、経営コンサルタントの楠木健氏の発言だ。
このコラムのタイトルは、「優れたリーダーは何を『していないか』」(楠木建の週刊10倍ツイート)

従業員を守るなら、優れたリーダーは、部下に対して「何をさせないか」も重要なのだ。

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初任者を苦しめる要因(5)#初任者

1日中仕事をしても、疲れ知らずで楽しそうな人がいる。

疲労は労働時間の長さでは決まらない。

だから、落合陽一氏は、超過勤務は、時間超過ではなくストレス超過で判断すべきだと言う。

◆働く時間、休み時間という捉え方より、ストレスのかからないことのバランスの方が重要だ。(中略)
要するに1日中「仕事」や「アクテイビテイ」に従事していても、遊びの要素を取り入れてストレスコントロールがちゃんとできていれば、それでもいい。「超AI時代の生存戦略」落合陽一(大和書房)P33・34

 

これを学校現場に置き換えてみると
◆先生たちは、日々の仕事を楽しめているか。

◆先生たちは、この仕事が好きなのだろうか

が気になってくる(子どもが好きかどうかも気になってくる)。

毎日暗い顔をした先生を見ていると、楽しめていないなと思う。

◆事前準備をぬかりなく行い・・うまくいき・・成功体験を味わえ・・次もがんばろうと思う好循環に対して、

◆準備不足で挑む・・撃沈する・・失敗して落ち込む・・次への意欲がわかないという悪循環がある。

落合氏の言うように「ストレスコントロール」が必要だ。

たまたま「発達障害の二次障害」の次の特徴を読んで、うまくいかない教師のメンタルも同じじゃないかと思ってしまった。

・低い自己評価(自分へのあきらめ)

・どうすればいいのか分からない困惑(困り感)

・自分の存在を否定する周囲への反発

・すべてに対するやる気の喪失

・怒りなどの情動抑制の不能

・自分を評価しない周囲への反発

・自分の将来への悲観(自暴自棄)

 

・・・「事前準備さえぬかりなければ、必ずうまくいく」とは限らない。

しかし「うまくいく可能性(成功率)」は高くなるよね。

数回がんばったくらいで「成功」はしないかもしれないが、数を積めば「成長」はするよね。

「成功」にこだわると「失敗」が気になって一歩が踏み出せなくなる。

だから「成功」なんて、めざさなくていい。

「好き」で挑戦し、少しずつ「成長」していけばいい。

日々の授業、日々の学級経営を楽しんでくれればそれでいい。

東京オリンピックの試合後のインタビューで「がんばりました」より「楽しみました」と答える選手が何人かいて印象に残っている。

行動そのものを楽しめていれば、結果がどうであろうと納得できる。胸を張れる。

「好き」と言う気持ちがあれば、止まない雨はないし、明けない夜はない。

「仕事を楽しむ」は、慣れない初任にとっては、難しい課題だと思う。

決して容易なことではないが、せっかく縁あって就いた職業だ。

教職を楽しむ・日々を楽しむという心意気を持ってほしい。

※警告
「楽しければ超過勤務でも苦にならないでしょ」という上司の押し付けは「やりがい搾取」であり、パワハラです。

◆やりがい搾取とは、労働者の「やりがい」を利用して、雇用主が従業員に不当な長時間労働・低賃金で業務を強いて、利益を搾取する行為です。
「やりがい搾取」は、東京大学大学院教育学研究科教授・社会学者である本田由紀氏が2007年前後に定義した労働搾取構造を意味します。

「ブラック企業」や「名ばかり管理職」などと同じく、労働者の権利を侵害するキーワードとして注目が集まり、官民共同での抜本的改革が求められています。
https://romsearch.officestation.jp/jinjiroumu/mentalhealth/5014

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初任者を苦しめる要因(4)#初任者

学校現場は極めて多忙である。
しかし、忙しい職業(毎日やることが山ほどある職業)だからこそ、一息ついたり、自己研鑽したりしないと、オーバーワークで結局は作業効率が下がっていく。
そのような事態を皮肉っているのが「木こりのジレンマ」と呼ばれるお話だ。

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旅人が、仕事熱心な木こりに出会った。
木がなかなか切れていないので、のこぎりを見ると刃こぼれが目立っていた。
旅人が「木こりさん、のこぎりの刃を研げばもっとたくさん切れますよ」とアドバイスしたが、木こりは「私は今忙しくて、のこぎりの刃を研いでいるヒマがないんじゃよ」と答え、再び木を切りはじめた。

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忙しい時に休むのは勇気がいる。

忙しい時に本を読んだり研修会にでかけるのも勇気がいる。

そんな暇があったら、少しでも目の前の仕事を片付けなくてはと思う。

しかし、勇気をもって一歩立ち止まらないと次の一歩が出ない。

睡眠や食事時間を削って仕事をする人もいるが、作業効率を考えたら「休息・睡眠・栄養補給」を入れた方がいい。

まさに、「急がば回れ」だ。

例えれば、マラソンの給水。

マラソンの給水は一瞬のタイムロスだが、それでも効率よく、早め早めに手を打っておかないと結局は大事な場面で水分切れで力が出せなくなる。

 

「レバレッジ思考」という言葉がある。

「テコの原理」の意味で、「前もって仕事の計画に10%の時間を費やせば、いざ実行した際に90%の時間が節約できる」こと。

あるいは、「1時間の読書という先行投資をすることで、10時間かかっていた仕事が2時間でできるようになる」こと。

忙しいからこそ「時間への投資・自分への投資」をするべきだ。

 

しかし、残念ながら、「忙しいから立ち止まっている時間がない」と追いまくられている新任は、いつまでも、そこから脱出できない。

疲労困憊のまま仕事を続けたり、時間短縮のノウハウを身につけないままでいたりすることが多い。

他の先生の授業を見ないのも同じだ。せっかくスキルアップのチャンスを、時間がないからと放棄している。

日々苦しい先生方は、まずはリフレッシュして明日を迎えることが最優先。スキルアップはその次だ。

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初任者を苦しめる要因(3)

中教審の「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して(答申)」3年1月26日付には、

「教師の長時間勤務の状況は深刻」であり、「世代交代が進み若手の教師が増えてきた結果、経験の少なさなどから中堅・ベテラン教師と比べて勤務時間が長時間化してしまった」

と報告されている。

そして、中堅・ベテランを含めた時間外勤務が小学校で「59時間」とある。

ずるい。

経験の少ない若手だけで集計したら、過労死ラインの80時間超はたやすく到達するだろう。

平均59時間という数値が、過労死ラインを隠蔽するまやかしだと中教審は分かって書いている(と読める)。

しかも、そのような現状を憂いながら、

◆日本の学校教育はこれまで、学習機会と学力保障するという役割のみならず、全人的な発達・成長を保障する役割や人と安全・安心につながることができる居場所としての福祉的な役割も担ってきた。この役割の重要性は今後も変わることはない。p2

と学校教育の重要さを強調し、その重要性と過度な要求は「今後も変わらない」と述べている。

イヤらしい。

確かに大変だけど、重要な仕事なんだ。だからがんばって!

というメッセージだとしたら、これは、「やりがい搾取」の手口なのだ。

超勤80時間にならざるを得ない多くの若い先生方のための具体的な提案がみえてこない。

ならば、現場で工夫して守るしかないのだ。

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初任者を苦しめる要因 (2)

実習生がどこにもいないなと思ったら、控室で授業準備(指導案作成)していることが多かった。

大学からの「観察記録」の指定時間も特にないし、指導案作成で遅くまで残すわけにもいかない。

だから授業中に控室にこもって指導案作成することを容認しているが、せっかくの実習期間にいろんな先生の授業を見ないなんて何ともったいないことかと思う。
他人の授業を見るから、良い授業・悪い授業のイメージが持てる。
◆本採用になってからも他人の授業を参観できる機会はなかなかないから、本採用の前に、参観の機会を増やして良い授業のイメージをしっかり持ってほしい。

◆それに、本採用になればどの学年になるかわからないのだから、できるだけいろんな学年の授業を参観しておいてほしい。

これまで見てきた苦しい初任者も、参観した授業時間数が不足しているのかなと思う。また、自分の授業を見てもらう時間数も不足していると思う。


若い先生には、「他人の授業を100回見る」を課したい。

無論、学校現場だけでは難しいかもしれないので、セミナーの模擬授業もカウントするとしよう。

セミナーの模擬授業はたとえ時間が短くても綿密に準備されているので学びは濃い。

日々の自分の授業がうまくいってないと、他人の授業を見る気力も生まれない(自己嫌悪に陥るからだ)。
本当は他人の授業を参考にするから自分の授業づくりもうまくいくのだが、空き時間に採点したり、連絡帳を点検したりすることが多い。

それも分かるが、機会があれば他人の授業(動画でなく、生の授業)を見てほしい。

自分の授業がうまくいかない時こそ、他人の授業を見て参考にし、指導法の引き出しを豊かにしてほしい。

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初任者を苦しめる要因(1)

ここ数年、教育実習の授業時間数が減ってきた。

2週間から3週間の実習が多い。

大学からの指定授業数は「特になし、学校事情でお任せします」ということが多く、そう言われると、研究授業を何時間も組めない。

実習生にとって授業実数が少ないのは、その場はラッキーかもしれないが、長い目で見ると不幸だ。

いざ就職して担任を持った時、あまりに経験が乏しくて立ち往生するからだ。

実習生への最初の教育講話では

「学生ボランテイアをやったことがあると言っても所詮はT2。大事なのはT1で授業を任された時に、自分1人で応対できるか」

だと少し脅す。
軽い気持ちで「子ども相手だから楽な仕事」だと、安易に教師になられたら、本人も子供も不幸だ。

これまでも、苦しんだ初任を見て

「もともと教師に向いているのだろうか。不幸にも合格してしまったのではないだろうか」

と感じることがあった。

近年、志願者が減り、競争倍率も下がってきているから合格しやすいのも事実だ。

「子供が好き」「日々の授業にやるがいを感じる」という初心があるのなら、ぜひ支えていきたい。

ある程度乗り越えた先生なら、春休みは充電して、勉強もして、新年度の準備を進めておいてほしい。

種火を消すと着火に時間がかかるから、少しは火を残しておいてほしい。

しかし、苦しかった先生は、「春休みは学校のことを忘れて、しっかり英気を養ってほしい」と言わざるを得ない。

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日々、苦しんでいる初任の皆さんへ

初任の皆さん、最初は誰だってできないよ

自分は初めてスキーを習った時のことを今でも覚えている。


初日の午前・午後、2日目の午前と全く滑れなかったし、全く止まれなかった。何をどうやったらいいのか分からなかった。
2日目の午後。重心のかけ方が少し分かった。エッジの効かせ方で止まったり曲がったりできた。

1日目で終わっていたら「ああ、自分にはスキーは向いていないんだ」と諦めていたと思う。

先生たちも、今週は、他の先生のようにできなくて落ち込むこともあったと思うけど、最初はできないよ。
でも、ここで「ああ、自分にはできない。自分には向いていない」と諦めたら、何だってできないまま終わってしまう。
続けてるうちに、

早くできるようになるし、
たくさんできるようになるし、
質も上がってくる。

そこまでは、苦しいけど踏ん張ってほしい。

できなくたって当たり前。

でも、慣れてしまえば、最初の苦労がウソのように思えるものだから。

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March 07, 2023

ラクをしたがる子に共感しつつ・・・

新たな課題にチャレンジしない子にイライラすることがある.

しかし、できることだけを練習していれば、楽だし楽しいのだから仕方ない。

◆ノエル・テイジ―教授は、三つの同心円を描いて解説している。内側の円が快適ゾーン、中間の円が学習ゾーン、外側の円がパニックゾーンだ。快適ゾーンの外で思い切ってやってみようとしなければ、何千時間かけたところで少しも上達しない。    『非才』より

「快適ゾーン」の別名は「ぬるま湯」。

快適ゾーンに浸かるのは、楽だし、楽しい。

だから、結局「今できること」の繰り返しになってしまう。

「快適ゾーンの外で思い切ってやってみようとしなければ、何千時間かけたところで少しも上達しない」とは、厳しい指摘だ。

現状に満足せず、一歩外側のゾーンでレベルアップさせることの大切さは伝えていきたい。

漢字練習・計算練習で言えば、次のような上達の実感を子供たちに持たせたい。

◆同じ5分で、できる量が増えてきたね。   

◆同じ1ページを早くできるようになったね。

◆正確で・丁寧に仕上げられるようになったね。

・・・ただし、あまりに無謀なチャレンジを続けさせると心が折れてしまう。

 

◆できない経験を繰り返すと・・がんばろうとしなくなる。

◆わからない経験を繰り返すと・・・理解しようとしなくなる。

◆やってもらう経験を繰り返すと・・自分でやろうとしなくなる。

これが「学習性無力感」。

何をしても無駄だという気持ちになると回復が難しい。

そう思わせないようなバックアップが我々の仕事である。

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報道の極意=2つのF

[2つのF]についてどこに書いていたか探していたら、2000年の発信記事だった。

 野沢尚の『破線のマリス』(講談社文庫)。

 テレビ業界の裏側を扱った江戸川乱歩賞受賞作品である。

  その中の一節に衝撃を受けた(p154)。

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   「どこで」「いつ」「だれが」「何について」「なぜ」「どのような方法で」

 という 全体の目鼻立ちに加えて、

   真の報道には「FOR WHOM」 「FOR WHAT」が必要なのだ

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誰のためか・・相手意識

何のためか・・目的意識

ということになるだろうか。

作文や調べ学習・総合的な学習の発表などが物足りなくなる原因は、まさにこの2点の欠落にある。

  「〇〇について調べたことをまとめましょう」

と、とりあえずやらせてみる。

 A  「自分の疑問を解決するために調べている」

 B  「とてもいい資料が見つかったので、みんなにそれを伝えたくてまとめている」

このABの2つをとってみても、方向は明らかに違う。

 3年生が国語の授業として「学校自慢」に取り組んでいた。

 教科書は、お世話になった地域の方にプレゼンすることになっているから。2つのFが明確だ。

 しかし、プレゼン相手が、同じクラスの仲間では、「どうせみんな知っている内容」ということになるからモチベーションは下がる。

 新1年生に観てもらうよ。

 新3年生に、見本として使ってもらうよ。

 動画にとって、おうちの人に見てもらうよ。

というプレゼン相手を確定しないと、惰性の調べ学習・惰性の発表になってしまうのだ。

 

 「2つのF」は、「興味づけ」「動機づけ」のことでもある。

 

念頭にこの「2つのF」があると、子供の活動は、ぐっと濃いものになる。

 

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「いじめ対応はシステムで」の先にあるもの

 少々古いが、「教育新聞」2019年2月14日号の和久田学先生の連載7回のタイトルが「いじめ対応はシステムで」。
 これは、向山先生の主張と重なっている。

 和久田先生氏は、学校は、1個人の腕に左右される「個人経営の店」か、どこでも一定の質とサービスが保障される「チェーン店」かを問いている。そして、「結局は個人に任されている」とマニュアルが機能していない現状を憂いている。

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 前回述べたとおり、いじめ対応は教師にとって大きなリスクをはらんでいる。個々の判断に委ねれば、教師は無意識のうちに見て見ぬふりをしたり、対応を避けたりするようになりかねない。
 だからこそ、個人に任せないシステムが必要になる。(中略)
組織対応、すなわち教師個人でなく、システムとしての対応が重要としているのである。
 チェーン店の例のように、いじめへの対応をシステム化すれば、個人の技能に左右されず、質の担保が可能になる。教育を商品やサービスと同じように捉えることへの是非はあるかもしれない。しかし、いじめ対応のように、絶対に間違ってはいけないものに関しては、システム化こそリスク管理の第一歩になり得るのだ。
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・・・その通りだと思う。
 が、教師個人でなくシステムとしての対応が求められるのは、どんな教育課題も同じだ。

学力保証も英語教育もプログラング教育(STEAM教育)も、一部の優秀な先生の学級だけ突出しても学校全体は評価されない。

 実は、この「システム」に関する記載が、和久田氏の連載の上にある。

「フィンランドの教育が掲げる目標」(慶応大学教授 今井むつみ氏の連載)だ。

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 フィンランドはヨーロッパの中で常に経済的に難しい状況にあった。海洋資源もなく、国際的に競争力のある産業もなかった。そのような状況の中で「国力を上げるためには、国民の知識力を上げるしかない」という覚悟の下、1970年代に大きな教育改革に着手した。改革では「親の経済力や学歴、居住地域にかかわらず、誰でも、どこでも均等に高い質の教育を受ける機会を提供すること、つまりQuality and equity(質と公平性の保証)が国の目標として掲げられたのである。
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・・・学校運営を図る上では、カリスマレベルの先生が1人いるよりも、どの学級担任も一定の水準をクリアすることが求められる。

それが「質と公平性の保証」だ。

 だから、すべての先生が授業技量検定を受けて25級クリアを目指すといい。

同様に考えたら、英会話もプログラミングも一定のレベルをクリアできるような認定講習があっていい。

 さて、今回の教育新聞の1面には「教員採用に見る公立学校の危機」(帝京科学大学教授 剣持勉氏)という論稿がある。

「いじめはシステムで」「フィンランドは国家をあげて『質と公平性の保証』をめざしている」とリンクする内容だ。

教員志望者の減少は学力の低下と教師の質の低下に結び付くからである

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教師の質が低下すれば、必然的に児童生徒の学力向上が困難になり、日常の授業改善が進まない。学級経営のノウハウを身につけないまま教壇に立つ者も増えるかもしれない。教師としての力量が未熟なままでは、日本の教育実践に大きな不安を抱えることになるだろう。
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・・ここまででも、なるほどと思う。
 この後「システム」というワードが登場する。

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 大学、教委、学校の各機関はこうした状況を理解した上で、教員の養成、採用、育成を重層的に進め、若手教師を支えていくシステムを構築していくことが求められる。そうしない限り、自信を持って教師としての第一歩を踏み出すのは不可能である。
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・・・若手教師の育成も「システム」として行わねばならない。若手1人1人の資質だけに頼ってはいられない。
 いい人材は「見つける」のではなく、「育てる」のだ。

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 全国の自治体においては、教員不足時代に突入している。教員の定数が配置されないまま、管理職が臨時教員を探すのにエネルギーが取られ、学校経営が揺らぐ事態も起きている。一定度の力量、質の保証を前提に教壇に立つ制度設計の構築も忘れてはならない。
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・・クラスが荒れ、先生が休みに入り、代わりの先生がつぶれて、学校が回らないという惨状が現実にある。

担任1人の責任で何とかしようとすると、ミイラ取りのように次々に犠牲者が出る。

 「一定度の力量、質の保証を前提に教壇に立つ制度設計の構築」とある。これは要するに「システム構築」だ。
 和久田先生の連載に戻るが、学校・学級が一個人の料理店のような各々の対応に任せていては、「一程度の質の保証」ができない。

 「システム構築」の重要性をしっかり肝に銘じたい。

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March 06, 2023

上農は草を見ずして草を取る

農家に関する諺で

上農は草を見ずして草を取り、

中農は草を見てから草を刈り、

下農は草を見て草を取らず

があるそうだ。

賢い農民は、雑草が生える前に草を取り、

普通の農民は、雑草が生えてから草を刈り、

つまらない農民は、雑草を見ても草を取らない

見事な3者の対比だ。

◆未然防止=リスクマネジメント

◆事後対応・事故対応=クライシスマネジメント

で考えると、優れた手は「未然防止」なのだ。

 

ちなみに、予測される事故を放置するのが「不作為」。

分かってて何もしないのだから「草を見て草を取らず」という下農の行為は「不作為」に近いのかも。

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March 03, 2023

「逆境のときに、どう生きるかで人間の真価は決まる」

「小学校国語教室」102号(光村図書)2022年4月号。
巻頭は東京パラリンピックで金メダルを取った道下美里さんのコラム記事だ。
彼女にとっては「東京パラリンピック」の延期が「逆境」であった。
そりゃあそうだ。
延期決定から1年以上、コンデイションとモチベーションを維持しないといけない。
もちろん日々の生活もある。あと1年オリンピック最優先の生活ができるかどうか。


逆境のときに、どう生きるかで人間の真価は決まる。
順風満帆のときは、うまくいく。そうじゃないときに、どう生きるかがすごく大事なんだ。


という道下さんの言葉に納得してしまう。


そして、たまたま読み返している『伸びる子は〇〇がすごい』榎本博明(日経プレミア)。
「〇〇」の中は「レジリエンス」が入る(はず)。


人生は思い通りにならないことだらけである。そんな人生を力強く前向きに生きていってもらわねばならない。そのためには、思い通りにならない状況に置かれたときも粘り強く頑張り抜く力をつけさせることが必要である。P109


たまたま読み返していた本と、たまたま机の中を整理していた冊子とがつながって、もう少し深めてみたくなってきた。

https://www.mitsumura-tosho.co.jp/kyokasho/johoshi/s-kokugo/sodan/s102

09

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人の短を道うことなかれ、己の長を説くことなかれ

◆人の短を道うことなかれ、己の長を説くことなかれ。

→人の短所は追及するな、自分の長所は自慢するな。

 

◆人に施しては慎みて念うことなかれ、施しを受けては慎みて忘るることなかれ。

→人に恩を施したら早く忘れよ、だが、人から恩を受けたら決して忘れるな。

 

◆世誉(せいほ)は慕うに足らず、唯だ仁のみを紀綱(きこう)と為せ

→世間の名誉を得ようなどとは思うな、ただ仁を心の寄り所にせよ。


◆……言を慎んで飲食を節し、足るを知れば不祥に勝つ。

→……言葉を慎み暴飲暴食をせず、足りることを心得ておれば災いにも勝てる

 

◆之を行いていやしくも恒有らば、久久(きゅうきゅう)としておのずから芬芳(ふんぽう)あらん。

→以上のことを常に行えば、長い間おのずからかおり続けるであろう。


出典:
『新釈漢文大系 93 文選(文章篇 下)』389ページ

https://kokugonomado.meijishoin.co.jp/posts/1371

こうしてみると、「漢文古典なんて必要ないじゃん」とは思えません。
昔の人の言い分にもきちんと耳を傾けてみたくなります。

93 

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March 02, 2023

同じ形の面は、いくつずつありますか?

と問われたら「2つずつ」と答えてほしい。

ただし、それまでの指導の経緯があるから、この場合、「2」が合っていればマルにせざるを得ない。
2年生の算数のテスト。
あえて数値を間違えた子もカウントすると
「○」が5人
「○つ」が6人
「○こ」が6人
「○こずつ」が5人
「○つずつ」が6人

正確に「○つずつ」と答えた子は約5分の1。
おまけで正解となった子が5分の4。
この比率を逆にしないと、確かな読みの力が育たない。

今日の誤答の多くは「6」だった。
面の全ての数を答えてしまったのだが、「6つずつ」と書けば、違和感があったと思う。
問いに正体すると誤答に気づきやすいのだ。
D9745595c08a42ed8a0925944d2af4ef_1_201_a

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授業が加速度的に効率化する

◆毎回先生が教え込み、知識を与え続ける授業をしていると、1時間目でも100時間目でも授業の手間は変わりません。際限なく時間は必要になります。しかし、子供が自ら知識を獲得するように育つと、指導する先生の手間は減り、むしろ先生の行為の質が高まります。 

◆そのように学習者が能動的に学び、自立するようにというわけです。校内のすべての先生が、それを意識して行えば、1年間の後半になればなるほど、学齢が上がれば上がるほど学びのスピードは上がってきます。
 『教育技術2020年3月号』P83 田村学氏解説より 
・・・子供が本気で自ら学んだり、友達と学び合ったりできると「授業は加速度的に効率化し、内容に対して時間はそれほどかからなくなってきます」と田村氏は言う。
 学習指導要領の主目的ではないが、子供が自律的に学び始めたら、結果的にそうなるということだ。
逆に言うと、いつまでも授業に加速がつかないとしたら、
①教師が「教える授業」にこだわって、手放していない。
②教師が子供たちを信用していない
③子供たちが学習スキルを定着させていない(自動化できる項目が増えていない)
④子供たちが教師に依存している
などの理由になるだろうか。
「自動化」というとややこしいけど、
「速くできるようになる」
「たくさんできるようになる」
「正しく(丁寧に)できるようになる」
を意識して、加速がつく授業づくりに励んでほしい。

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