新規採用者を苦しめる要因(7)
UNIQLO柳井社長はあるインタビューで「商売はスポーツと一緒で、ある程度できるようになったら面白い」と話していた。
自分も初任には
「最初から一輪車乗れる人いないでしょう。数回やって自分には無理だと諦めた人は永遠に一輪車に乗れない。教師も、慣れるまで、ある程度訓練するしかない。」
といった話をしてきた。
2学期末の初任の様子を見ていると、残念ながら「ある程度できるようになって面白さが分かってきた」という雰囲気はなかった。
むしろ、1学期は何とかおとなしくしていた子どもが騒がしくなってきて、年度最初より自信をなくしているように思う。
いよいよ教職の難しさに直面してきたというところだろうか。
「ある程度できるようになったら面白さも分かってくるよ」とアドバイスしたいところだが、そのためには「努力の見通し」を解決しないといけない。
「今の調子なら、1か月もあれば大丈夫ですよ」というように、指導する側が達成状況を客観視して伝えてあげられるといい。ある程度できるようになるまで、あとどれくらい訓練が必要か、その見通しがないとくじけてしまう場合も多いが、残念ながら支援する側にそのような眼力がない。
初任の授業は、ベテランから見れば足りないところはたくさんある。
だからといって一から十までダメ出ししても本人の役に立たない。
授業や学級経営のアドバイスも、今の状況、今のレベルに合わせて伝えないと初任は凹んでしまう。
啐啄同時。
初任が求める支援と、指導員が与える支援がうまくマッチしないと、指導の成果は上がらない。
アドバイスは一般論でなく個別対応で、本人の良さや精神状況に合わせて、本人の腑に落ちるものにしたい。
初任に初任者研修が必要なら、指導員にも指導者研修が必要だ。
しかし、校内指導の役割を担う教務主任に、指導者研修の機会はほとんどない。
それをいうと、その教務主任の研修を担う指導主事だって、その指導能力に長けているとも言えるのかどうか・・。
どこにも「上達のシステム」がなく、全てが「個々の学び」に依存しているので、システムとして初任を支援することができていない。
TOSSだけが、授業力・学級経営力向上の指標を持っているとしたら、国家的な問題を解決するには、あまりに脆弱だ。
TOSSがTOSSの中で収まっていては、多くの教師が救われないと思う。
まだまだ自分のやるべき課題は多い。
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