初任を苦しめる要因(10)とりあえずラスト
「教師を辞めました」という悲しいエピソードを目にするたびに、こういうネガテイブな発言だけが取り上げられるのは嫌だなあと思ってきました。
「教壇に立つ前、何も教わりませんでした。いきなり担任として仕事を任されました」みたいなことが書いてあると、
◆大学で何をしてきたか。教育実習で何をしてきたか。
と思うし、
◆なぜ、採用試験で通過できたか。
と思ってしまいます。
小学校の場合、いきなり担任として1年を任される大変な仕事ですよ。
それを覚悟で就職希望したのじゃないのですか?
「いきなり担任になるなんて知らなかった」ということはないはずなのです。
むろん、不幸にして
◆大学では何も教わらなかった
◆教育実習では何も教わらなかった
ということがあったかもしれません。
でも、他人のせいにして自分の人生を棒にふるのは悲しすぎます。
今は「学生ボランティア」を受け入れている学校が多いです。
それやりましたか?
塾などの「教える」アルバイト、イベントなど「集団を相手にする」経験は教職に役に立ちます。居酒屋のような対人関係のアルバイトをした人もタフでいいと思います。
それやりましたか?
教育雑誌や教育セミナーやTOSSランドだって、そうです。
ネットで検索すれば、すぐに出てきます。たとえ本を買わなくても授業や学級経営のノウハウはネットで出回っています
それ見ましたか?
心を病んだ人に追い打ちをかけることは酷です。
でも、そうなる前に手を打てなかったのでしょうか。
自分は管理職のとき、実習にくる学生に、こう伝えてきました。
「実習で、自分には教師は向かないと思ったら、やめればいい。適性を考える最後のチャンス」
かつて県内の有名な女子大学の教授にお会いした時、冗談まじりに次のように話しました。
「先生の大学のまじめな女子学生が採用試験を受けたら成績優秀だから受かっちゃいますよ。でも、本当にそれでいいかどうか、よく考えるよう学生にお伝えください」
まじめな女子大生では「やんちゃ君」や「すごい保護者」の対応でつぶされてしまうことが多いからです。
こんな意地悪な言い方をするのは、未経験の学生が「受験学力の高さ・受験対策の高さ」によって採用試験に受かる一方、経験豊富な常勤講師が受からない状況に疑問を持つからです。
新卒にメンタルをやられるリスクがあるなら、常勤講師の正式採用をもっと優遇してほしいのです。
もちろん、教師の魅力あるエピソードを読んで「教師になりたい」と思う学生が増えることは望ましいです。
でも、その一方で、「教師を辞めました」という悲しいエピソードを見て、「教員はブラックだからやめておこう」と思う学生がいるなら、それはそれでいいかなとも思います。
そういう大変さも承知で採用された方が「こんなはずじゃなかった」という挫折を防ぐことができるからです。
意地悪な発信で申し訳ありません。だから丁寧語で書いています。
改めて向山洋一先生の『斎藤喜博を追って』を読み返してみて、
「生半可な気持ちで教職を選んではいけない・教壇に立つ責任の重さを自覚しなくてはいけない」
と感化されています。
いかなる状況で採用されたにしても、メンタルをやられない教師に育つように初任者指導をしていきたい・
・・・自分への決意を込めて発信しました。
「レジリエンス」について、次のような記述があります。
むしろ、厳しい状態を耐え抜くことによって、「諦めずに頑張り抜く心」が鍛えられていくのである。きついを状況の中、諦めずに頑張ることによって、何とか逆境を乗り越えることができた。そんな経験が自信になって「諦めない心」が育つのである。
『伸びる子は〇〇がすごい』榎本博明著(日経BP)P108〜109
・・・教師をめざすなら、失敗を乗り越える力 ・レジリエンスを高めておいてほしいし、教師になってからも、日々高めてほしいです。
私は、指導員として初任の先生に「失敗を乗り越える力 ・ レジリエンス」の大事さを伝え、励ましていきます。
「教育」カテゴリの記事
- 行動を価値づけする(2024.09.12)
- 人々が画一化しないために(2024.09.08)
- 「原爆裁判」については、ほとんど知りませんでした!(2024.09.06)
- パラリンピックの理念(2024.09.02)
- 先生が子離れしないと、子どもは自立できない。(2024.09.02)
Comments