「ひ・ど・い」叱り方の正反対が、「心理戦略」
「ひ」・・比較
比較する叱り方は、脳の視床下部をアタックする。
闘争心をあおるので、反発を招きやすい。
反省を促すことができない。
「ど」・・怒鳴る
怒鳴る叱り方は、扁桃体をアタックする。
恐怖を与え、逃走心をあおるので、相手が逃げ出してしまう。
緊急性を意識させるが、落ち着いて理解させられない。
「い」・・嫌味
嫌味な叱り方は、海馬をアタックする。
心を傷つけるので、トラウマを残す
反骨精神を引き出すが、素直に聞かせられない。
・・・2015年、人材コンサルタント会社社長、麓聡一郎氏の講演で聞いたお話。
演題が「スマホ世代の子供への叱り方のコツ」。
「叱る」の意味は、口で「切る」。
「相手の甘え」を断ち切るというのが「叱る」のスタンスとのことだった。
自己の都合を優先して他人の都合を無視するのも甘え。
「これぐらいいいじゃん」と相手の領域に踏み込んでくるのも甘え。
分かっていながら約束を守らないのも甘え。
・・・子供たちのお試し行動を適切に制す(一線を越える行動は毅然と制す)のも、甘えの断ち切りと言えるが、愛情確認の行動なので問答無用で遮断するのはよくないと言われている。
さて、この講演の冒頭で、DJポリスの話題があった。
2013年のサッカーワールドカップで話題になったので、もう10年経ちましたね。DJポリスを知らない人もいるでしょうか。
ワールドカップ勝利で盛り上がった渋谷の交差点の人だかりで、1人のけが人も逮捕者も出さずに、その場を制圧したのがDJポリスの誘導。
DJポリスは、「心理戦略(サイコロジカルストラテジー)」に基づいて、指示を出した。
youメッセージではなく、Iメッセージでもなく、WEメッセージを使い、「みんなが12番目のメンバーです」「私だって気持ちは皆さんと同じなんです」と話して、集団を味方につけた。
叱らないで、怒鳴らないで、強圧的な態度をとらないで相手の行動を制御した。
エアーコントロール・エアーマネージメントと言うそうだ。当時のメモ書きに「DJポリスに、統率の極意を学ぶ」と書いた。
向山先生が統率の極意を学んだのは、学生運動であったから、まさに「心理戦略」だったのだろうと思う。
叱らないで、怒鳴らないで、強圧的な態度をとらないで相手の行動を制御する
・・これがスタンダードになるように、自分もしっかり学んでおきたい。
ところで、
多くの先生(大人)は、「怒鳴る」はさすがにまずいと分かっている。
怒鳴ってはいけないけど、それでは腹の虫がおさまらないという人はどうするか。
ネチネチとやる。比較する。嫌味を言う。
あるいは「どうして、そんなことをしたの?ダメだよね。ダメって分かっているのに、どうしてそんなことしたの?」という無限ループで追い詰める。
川上康則先生が指摘した「毒語」は、この類だ。
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(1)質問攻めの問い詰め
・何回言われたらわかるの?・どうしてそういうことするの?
・ねえ、何やってるの?・誰に向かってそんな口のきき方をするんだ?
(2)裏を読ませる言い方
・やる気がないんだったら、もうやらなくていいから(本当は「やりなさい」)
・勝手にすれば(本当は「勝手なことは許さない」)
・あなたの好きにすれば(本当は「言う事を聞きなさい」)
(3)脅しで動かそうとする
・早くやらないと、〇〇させないよ。
・じゃあ、〇〇できなくなるけどいいね。
(4)虎の威を借りる言い方
・お母さんに言おうか。
・校長先生に叱ってもらおうか。
(5)下学年の子と比較する
・そんなこと1年生でもやりません。
・そんな子は一年生からやり直してください。
(6)見捨てる
・じゃあ、もういいです。
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・・・子どもにしてみたら、ネチネチと長く拘束されるくらいなら、いっそ怒鳴ってもらった方がすっきりする。
ぱっと見は「怒鳴る」に比べて「比較する」「嫌味を言う」は許容されそうだ。
しかし、どれも脳をアタックする教育虐待だ。
「怒鳴る」は自己嫌悪に陥る人もいると思うが、「比較する・怒鳴る」はそうならないと思う。
それだけ根が深く、罪が重い。
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